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第1部 本

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超常現象の科学(ワイズマン)

『超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか』2012/2/11
リチャード・ワイズマン (著), 木村 博江 (翻訳)


(感想)
 占い師、超能力者、予言者、体外離脱、幽霊、ポルターガイスト、降霊術、カルト教団……超常現象を信じてしまう理由はなぜかを、心理学的に考察している本です。
「幽霊が見える」というミステリーは、たいてい私たちの脳内に原因があるようで、この本では、最先端科学実験が、そんなヒトの認知システムの盲点を明らかにしています。
 特に参考になったのが、「第1章 占い師のバケの皮をはぐ」。「霊視能力があるように見せかけるテクニック」には、次のものがあるそうです。
1)巧みな言葉がすべての鍵(人間の自己中心的な思考を利用して相手の気持ちをくすぐる)
2)人は自分の見たいものを見る
3)意味のないものが意味のあるものへと変わる
4)相手の反応を見て話しの流れを変える
5)「自分は特別」という幻想
 ……なるほど、と納得させられるものばかり(汗)。そして「見知らぬ相手に、すべてを見抜かれたと思わせる方法」は次の通りになるのです。
1)相手の気持ちをくすぐる
2)どちらにもとれる言葉を使う
3)表現はあいまいに
4)探りを入れる
5)誰にでもあてはまりそうなことを口にする
6)抜け道を用意しておく
 ……占い師として成功したい方や、詐欺師志願の方には必読の内容かも?(笑)
 この後、「第2章 幽体離脱の真実」、「第3章 念力のトリック」、「第4章 霊媒師のからくり」、「第5章 幽霊の正体」、「第6章 マインドコントロール」、「第7章 予知能力の真偽」でも、一見すると超常現象に見えるものが、実は「錯覚」のような「ヒトの認知システムの特性」に原因しているものが多いことが、どんどん明らかにされていきます。
「第6章 マインドコントロール」によると、マインドコントロールには次の4つの原則があるそうです。
1)段階的に少しずつ帰依の度合いを深めさせていく
2)グループから不協和音をすべて排除する
3)奇跡の力(奇跡を起こせるようにみせかける)
4)自己正当化(苦しい体験をすると、それを正当化しようとする)
 ……これを受けて、「洗脳から身を守る方法」は次のようになるのだとか。
1)自分はいま「段階的要請法」の罠にはまっていないか
2)異論を認めない団体に気をつける
3)団体のリーダーは奇跡を起こせると言っていないか
4)団体では苦痛や困難、恥をともなうイニシエーションの儀式を要求していないか
   *
 合理主義の私ですが、「超常現象」の有無は「保留」にしています。これまで超常現象の謎は科学的に解明されてきたものが多いですが、現在の科学ではまだ解明できていない超常現象も残されているでしょうし、なにより私たち人間の精神には弱い部分があるので、「神」のような「超常」的な存在に縋りたい状態にある人がいることも許容されるべきだと考えているからです。……まあ要するに、信じたい人は信じていてもいいんじゃないの、という立場です。私は信じてないけどね(笑)。
 ただどんな人でも「占い師」のアドバイスに従うことを決めるのは、常に「自分自身」であって欲しいと思います。アドバイスに従って悪い結果に陥ったことを「占い師」のせいにしても、結果自体は何も変わらないのですから。
 そういう意味でも、この本が具体的に教えてくれる「人間が超常現象を信じてしまうメカニズム」を知ることが、自分自身の判断力を向上させるのに、とても役に立つと思います。
 不思議な現象を体験する理由はなぜかについて、科学的実験を通して心理学的に明らかにしている本でした。ぜひ読んでみてください。
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 ワイズマンさんの他の本『運のいい人の法則』に関する記事もごらんください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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