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第1部 本
ビジネス・経営
ありえない! 町工場(久保寛一)
『ありえない! 町工場~20年で売上10倍! 見学希望者殺到!』2020/7/5
久保寛一 (著)
(感想)
東京・羽村にある電源装置を製造する町工場NISSYOが、売上大幅アップの成功の秘密を具体的に教えてくれる本です。
20年前は売上2億、社員十数人だったNISSYO。「ルールや方針がない。規律がない。体系化されたしくみがない。仕事が属人化しているので、業務の引継ぎができない」状態だったとか。社長の久保さんは、何とかしないといけないと思いながらも何をしていいか分からなくて苦しんでいたのです。そんな時、先輩経営者の「社長が成長しないと、会社も成長できないよ」という一言で、はっと目が覚めました。
そして久保さんは自ら成長し、会社も変わっていきました。売上20億、社員160人に成長し、国内外のトップ企業で製品が活躍するまでになったのです。
その秘密は、人を育て、生産性を高める「ありえない仕組み!」。
NISSYOはその業務改善で、8つの成果を得たのです。
1)工場の清潔さ
2)技術力の高さ
3)新卒社員の定着率の高さ
4)外国人従業員の多さ
5)社員教育費の高さ
6)残業時間の少なさ
7)IT化の早さ
8)財務体質の健全さ
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「第1章 技術のレベルがありえない!」には、すごくまっとうな売上高増加の理由が書いてありました。NISSYOは、「基幹事業(トランス事業、電源装置事業)の拡大と、付加価値の高い2つの派生事業(ソフトウェア事業、人材派遣事業)を展開」していて、量産品、標準品、汎用品には手を出さず、「短納期、高品質、低価格」を武器に「多品種一品(少量)」のニッチな市場で勝負しているそうです。
この製造業の理想ともいえる「短納期、高品質、低価格」をどう実現しているかについても解説がありました。例えば、「短納期を実現できる4つの理由」は次の通りです。
1)設計から納品まで一気通貫で請け負うから
2)部品を内製化しているから
3)セールスエンジニアが技術的な提案を行っているから
4)工程会議を行い、情報を共有しているから
……これらの理由はすぐに真似できるものではないように感じましたが、この本には、どんな業種の会社でもすぐに真似できる仕組みも書いてあります。例えば、「第2章 生産性のレベルがありえない!」の「仕事をやりやすくするための環境整備」。整理整頓を心掛けることですが、例えば整頓では、「三定管理(定位置、定品、定量)」とか、清潔では、「毎日20分間決められた場所を決められた人が徹底的に磨く」など、すぐに実践できそうな施策が具体的に書いてありました。
そして「凄い!」と驚かされたのが、人材教育の方法。社員一人当たりの教育費もかなり多いようですが、会社独自の人材教育方法が本当に凄いのです。「第3章 人づくりのレベルがありえない!」には「ジャンケン工場長」という仕組みが紹介されていました。これは、「全社員でジャンケンをしてその週の工場長・副工場長を決める制度」で、年2回6週間だけ行っているそうです。
「工場長は責任を負う役職ですが、責任を負うからこそ、広い視点から物事を考えるようになります。指示をする側とされる側の違いを理解することで、今まで見えなかったものが見えてくるわけです。また、一度工場長を経験した社員は、「管理職の大変さ」を理解しているので、協力的になります。」
……素晴らしいですが、これ、なかなか出来ない方法ですよね……。
さらに「第4章 経営計画のレベルがありえない!」には次の方法も。
「管理職は連続して9日間の有給休暇をとらなければいけません。部署の中核メンバーが1週間程度不在になると、その間に若手が仕事をフォローするため、成長のきっかけづくりになります。上司が休んで業績が下がると、それは上司の責任です。ですから上司は部下に、自分がいなくても部署の仕事がきちんと回るように、仕事の引き継ぎをします。一方、部下は上司の不在の間に「上司と自分の2人分の仕事」を責任もってこなすため、その間に著しく成長する。だから、人が育つのです。」
……これもすごく良い方法のようです。「ジャンケン工場長」よりは真似しやすそうだし、関係者全員が何らかの「得」をするところが、とても素晴らしい☆
「ありえない町工場」の秘密を教えてもらえる本でした。冒頭には、社内が写真で紹介されていて、社員みんなが本当に活き活きと働いている様子が分かります。
自分の会社をよりよくするのにどうしたらいいか悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。何かヒントをつかめるかもしれません。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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