ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
工作(紙以外)
世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑(グレイ)
『世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』2020/9/17
セオドア・グレイ (著), 前島 正裕 (監修), 佐々木 勝浩 (監修), & 2 その他
(感想)
美しい時計や鍵などの写真を見ることが出来るだけでなく、身の回りであたりまえに見かける製品の内部で何がどんなふうに機能しているのかを、透明モデルや模型を使って説明し、機械にまつわる物語や歴史も教えてくれる『世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』。とりあげられているのは、「錠と鍵」「時計」「はかり」「布作り」です。
まず登場してくるのが、「透明ケースに入った機械たち」。外装が透明や半透明で、内部の美しい構造を見ることのできる品物をたくさん見ることが出来ます。お店で透明なケースに入ったものを見ると、「わあ☆」と精神不安定になり、つい駆け寄って眺めてしまう私にとっては、本当にお宝のような写真たち! こういうのって、高級時計以外は割とチープだったりもしますが……(汗)、透明なプラスチックケース越しに中身が見えるのって、本当に素敵ですよね!
でも……最後の「透明な受話器」までたどり着いて、素敵な「透明なグッズ」が実際にはあまり売られていない理由が分かりました。目に入る情報量が多すぎて、どのボタンを押すのかが分かりにく過ぎ(苦笑)。これは……確かに使いにくいわ……。
そして「透明なものがある理由」は、私のような工作(仕組み)好きのためばかりではなく、なんと「刑務所」のためでもあるそうです。中にドラッグやナイフなどの禁制品を隠せないようにするために……そうだったんだ……。
続いて「錠と鍵」。ここではいろんなタイプの錠と鍵を見ることが出来ました。大きな金庫式ダイヤル錠には、想像していた以上の工夫が詰め込まれていたんですね!
「ハンドルを力づくで上げようとしても、このナットが空回りするだけです。ナットはデッドボルトよりもずっと弱くできています。」
「扉の表側のダイヤルを切断または破壊し、その後ろの穴にはまっている軸を動かせば、ダイヤル錠のメカニズムのすべてを無効化できます。しかし、いいことなんてひとつもありません。「リロッカー」という仕組みが発動してデッドボルトを叩き込み、扉は決して開かなくなります。」
「扉をバーナーで焼き切ろうとする泥棒にとって厄介なのが、この「可燃リンク」です。扉の温度が上がると2つの輪をつなぐ融点の低いはんだ部分が焼けてちぎれ、やはりデッドボルトが叩きこまれます。そうなると、金庫の中に入るには切断用バーナーと耐火コンクリート層に穴をあける削岩機を使うほかありません。」
……こんな「金庫」に、中に大事なものを入れた後で万が一「故障」したらどうなる? うーん……入れるのが怖くなってしまいそう……。
そして、待っていました「時計」!
古い時計や美しい時計をたくさん見ることができます。砂鉄が入っていて、下に落ちた砂がハリネズミみたいにトゲトゲになる面白い砂時計なんかもあって、すごく楽しめました。影を時間の目安に使うロウソク時計とか、玉が落ちてチャイムを鳴らすロウソク時計とか、昔の人たちの工夫もとても素敵です。
また振り子時計の振り子の棒に、金色と銀色が交互に使われている理由を初めて知りました。それは「金属は温度が上がるとわずかに膨張する」ので気温が上がると少し遅れてしまうから、それを解決するための工夫だったのです! 真鍮と鋼鉄の棒を交互に並べて、巧妙なやり方で連結して両者の熱による膨張を打ち消すのだとか。でも、現在作られている時計には、この理由を知らないまま、膨張を打ち消す連結にせずに、ただ金色と銀色の棒を交互に並べているだけのものも多いそうです。
時計のような精密機器にとって、「温度変化」は大きな問題のようで、腕時計は「腕の温度で正しい時を刻むように調整」されているので、ずっと腕につけたままの方が良いそうです。……そうだったんだ。でも私は今では「電波ソーラー」を愛用しているので、温度変化も気にしなくていいんです。やっぱり電波ソーラーが最強ですよね☆
この他、「はかり」や「布作り」の仕組みも、じっくり写真で教えてもらえました。
なんと「布作り」では、「木綿のなべつかみ」が出来るまでを本当に最初から見せてもらえます。つまり「綿花の種蒔き」から! そして摘み取り、綿繰り、紡ぎ、織り、縫製……それぞれの過程で、別々の機械に出合えます。100円ショップで売られているような木綿製品も、こんなに大変な手間をかけて作られているんですよね……製品の尊さを痛感させられました……。
いろんなもの仕組みを教えてもらえるだけでなく、その美しさ、尊さを感じさせてくれる『世界で一番美しい「もの」のしくみ図鑑』でした。もっと記事が読みやすくなるように、できれば文字の色は「白」ではなく「黒」にして欲しかったなー、とは思いましたが(汗)、眺めて楽しく、読んで勉強になる素敵な図鑑です。ぜひ眺めてみてください。工作好きの方には、特にお勧めします☆
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