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第1部 本
生活
住まいの基本を考える(堀部安嗣)
『住まいの基本を考える』2019/4/25
堀部安嗣 (著)
(感想)
建築家の堀部さんが「普遍的な家のかたち」を考察している本です。
省エネルギーを実現しながら冬暖かく、夏涼しい室内環境。独りでいても寂しくなく、家族といても窮屈でない広さ。心身のさまざまな状態に呼応する生活動線。そんな「情緒と機能性」をあわせもつ、普遍的な住まい〈ベーシック・ハウス〉とは何かを考え、立地・広さ・間取りからコスト・寿命まで、家を建てる前に知っておきたいことを教えてくれます。
「2 小さな家の魅力」では、家はあまり大き過ぎない方がいいと言っています。
「家も人体と同じように使われていない機能や場所があっては血流が滞り、全体の稼働率が低くなるとそこからバランスを崩し、病気や劣化や痛みにつながっていってしまいます。(中略)そう考えると住宅は数人で暮らしても窮屈でなく、一人になっても寂しくない、そんな大きさがちょうどいいのではないでしょうか。具体的な数値にあらわすと、延べ床面積で百平米前後が一つの基本単位になるのではないかと私は経験上考えています。」
……確かに、そうかも。広すぎる家は掃除も大変でしょうし、無駄な光熱費もかかりますし……。
「3 〝パッシブ〟な家の魅力」では、伝統的日本家屋の良さを取り込んだ、現代住宅について次のように語っています。
「太陽のエネルギーや気候風土といったすでに存在しているものを活かすようにデザインすることで、なるべく少ない労力でその働きを効果的に引き出してゆくのです。」
「冬の日射取得や夏の日射遮蔽、通風、防湿、蓄熱の工夫といったデザインの基本は、かつての手法や知恵を改めて評価し、手本にすることが大切だと考えています。」
「現代の生活や環境に対応するには、新たな素材や工法によって、昔の優れたデザインを改良し、新たな手法や考えを取り入れてゆかなければならないことは言うまでもありません。」
そして「5 住宅の寿命」では、新しい住宅を取得する時、一番よく考えなければいけないのは敷地だと言っています。
「最も寿命が長く、変化しないものは敷地です。」
自然災害が少ない土地、日当たりがよく風通しがいい敷地を選ぶことが大切なようです。敷地と言うと、どんな道路に面しているかとか、「駅近」で「学校」「スーパーマーケット」「病院」にも近いなどの利便性を真っ先に考えてしまっていましたが……確かに「自然災害」「日当たり・風通し」も大事ですよね。
この他、「構造」「外装」「設備」「空間設計」「家具調度」などについても、考慮すべきポイントを教えてもらえました。
全体的には、「伝統的日本家屋の良さを現代住宅にうまく取り込んでいる小さい住宅」を推奨している印象で、実際に手がけた住宅事例写真を見ても、美しくて居心地がすごく良さそうな、緑にあふれる本当に「住んでみたくなる家」ばかり(近作8軒の写真と手描き図面(配置兼平面図)が収録されています)。しかも、その家に実際に暮らしている「住まい手インタビュー」もあるので、説得力があり、とても参考になります。
「住まいの基本を考える」とともに、小さめの木造住宅の事例が多数紹介されている本です。これから住宅を建てたい方、住宅の改造を考えている方は、ぜひ読んでみてください。
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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