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第1部 本
天文・宇宙・時空
世界はなぜ月をめざすのか(佐伯和人)
『世界はなぜ月をめざすのか』2014/8/21
佐伯 和人 (著)
(感想)
「かぐや2」計画の着陸地点検討会の主査など、月探査プロジェクト立案に参加している佐伯さんが、月の探査計画の歴史から、月に関する最新の研究まで、幅広く、分かりやすく解説してくれる本です。
世界ではいま、アメリカ、中国、ロシアなどを中心に、月の探査・開発をめぐって激しい競争が水面下で始まっています。30~40年後には、月面基地が完成するともみられているのです。
月に人類が到達してから40年余経ちますが、その間、人類は月に行っていません。火星へ、木星へと、世界の人々の目は、より遠くの方へと向いていたようだったのに、今、なぜ、再び月をめざすようになったのでしょう?
それは、月を開発し、その資源を利用しようとしているからだそうです。
その契機となったのは、1994年にアメリカが打ち上げた探査機クレメンタインが、月に鉄とチタンがあることを見つけたことでした。
そして日本も、2007年にハイビジョン・カメラなど多数の機器を搭載した「かぐや」を打ち上げました。この本では、「かぐや」が撮影した月面のハイビジョン画像の写真を見ることが出来ます。クレーターが鮮明に映っていて、とても感動的です☆ 月の開発時には基地空間として利用できそうな大きな三つの縦穴構造も見つけたそうです。
その他にも、レーザー高度計を使って、月の永久日照領域を探した画像など、最新の知見が満載。月では太陽光がもっとも有効なエネルギー源になるだけでなく、日光があたらない場所はマイナス170°にもなってしまうので、月面で使用する機器を有効活用するためには、より長い日照領域の場所が望ましいのだとか。……このような興味深い「へえー」知識をたくさん知ることが出来ました☆
また「4章 これだけは知っておきたい「月科学の基礎知識」」もすごく勉強になりました。月の内部構造の推定イラストが描かれているのですが、これはアポロ計画で月の表側の4か所に置いてきた地震計のデータをもとに推測されているそうです☆ アポロ計画って、ただ月に到達して写真を撮影したり、表面の岩石資料を採取してきただけじゃなかったんですね、知りませんでした……(汗)。
この本を読むと、月に関する幅広い知識や最新の情報を知ることが出来て、すごく参考になります。
そして……今後は、日本が中心になって、月の平和的開発や研究に貢献していけると良いですね☆
* * *
佐伯さんは、他にも『月はすごい-資源・開発・移住』などの本を出しています。
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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