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第1部 本
天文・宇宙・時空
宇宙人の探し方 地球外知的生命探査の科学とロマン(鳴沢真也)
『宇宙人の探し方 地球外知的生命探査の科学とロマン』2013/11/29
鳴沢 真也 (著)
(感想)
日本のSETIの専門家の鳴沢さんが「宇宙人の探し方」を教えてくれる本です。
あなたは「宇宙人」って、いると思いますか? 私は、宇宙人は存在していると思います。しかもすでにこの地球にいることも知っています。なぜなら「地球人」も宇宙の中の一員、宇宙人でもあるから……という、しょうもないオチはともかく(笑)、「地球外に知的生命体」は存在するのでしょうか? 鳴沢さんたち天文の専門家の一部の人々は、それを真面目に追及しています。その活動がSETI。SETIとは、「Search for Extra‐Terrestrial Intelligence」の頭文字をとったもので、望遠鏡が受信する電磁波から宇宙人が発したと思われる信号を解析する「地球外知的生命探査」を言います。
宇宙はこんなに広くて星もいっぱいあるのだから、地球以外に知的生命が存在しないと考えている人がいる方が不思議なような気もしますが、鳴沢さんは、「太陽系には地球人以外に知的な生き物はいないと断言」しています。脳を使うのにはエネルギーが必要だから、知的生命には酸素の大気を持つ陸上が必要となり、地球以外には知的生命の「ハビタブルゾーン(生命が住める領域)」がないからだそうで……なるほど、そうかもしれませんね。
だから宇宙人(iET)との直接コンタクトには、恒星間飛行が必要で、それには膨大な予算がかかります。それは困難なので、間接的なコンタクトとして、秒速30万キロメートルというスピードを持つ電磁波を使うのが現実的にはベストだそうです。
その最適な電波は、「1から10ギガヘルツ」、なかでもねらい目は1420メガヘルツと1665~1667メガヘルツなのだとか。その理由は、「可視光線などは宇宙空間にわずかに存在するガスやちりによる吸収を受ける」、「周波数の高い高い電磁波ほどエネルギーが高く、したがって放射するのにお金がかかる」、「30メガヘルツより低い周波数は大気の電離層で反射される」、「周波数の低いマイクロ波では天の川からやってくるある種の宇宙電波が強くなる(ノイズが多い)」だそうで……本当に真剣に宇宙人を探しているようです。
この本では、日本や世界でのSETIの活動についても具体的に紹介してくれています。なかでも鳴沢さんも中心になって活動したという日本の全国同時SETI「さざんか計画」(2009年)や、日米合同SETI「ドロシー計画」(2010年11月)の活動経緯は、協力しあった時のやりとりなどがリアルに紹介されていて、同じような活動をしている人々の参考や励みになるのではないでしょうか。「宇宙人探し」という、正直言って現実的な成果があまり期待できない活動は、一人の努力で大きなことを成し遂げるのは困難ですが、世界中の天文学者・科学者が少しずつ協力しあうことで、現実的な予算範囲で、最大限の効果をあげられるのではないかと思います。今後も活動を期待したいと思います。
なお、「究極のSETIの桃源郷は月の裏側(ファーサイド)」なのだそうです。「ファーサイドは地球からの電波が届かないので、人工的な電波による受信障害が基本的にありません。また、地球と違って大気の影響も皆無ですし、重力も地球の6分の1なので、大きなアンテナを建設することも可能です。アレシボやFASTのように、クレーターの地形をそのままアンテナに使用することもできます。」なのだとか。しかも「光学観測(OSETI)でもベストサイトは月」だそうです。ロケットでの宇宙旅行は、どんどんコストも下がってきているので、今後は、月の裏側にSETIの基地が本当に出来るかも知れませんね。
さて、この本には、この活動で万が一「宇宙人を発見したら、どう行動すべきか?」についても書いてありました。すでに「地球外知的生命からの信号の発見に関する議定書」というものがあるそうです。その要点は、「間違いないか確認せよ」、「確定するまでは公表するな」、「確定したら隠蔽するな」、「勝手に返事をするな」の4つなのだとか。……万が一、たまたま宇宙人を発見してしまったら、この方針でいこうと思います(笑)。
面白くて勉強にもなる本でした。天文学に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
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鳴沢さんの他の本『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』に関する記事もごらんください。
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鳴沢さんは、他にも『天文学者が、宇宙人を本気で探してます! ~地球外知的生命探査〈SETI〉の最前線』などの本を出しています。
なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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