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第1部 本
自己啓発・精神力
クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方(海老原嗣生)
『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方 (星海社新書)』2017/4/26
海老原 嗣生 (著)
(感想)
「クランボルツの計画的偶発性理論」をもとに、「夢とのつきあい方」を教えてくれる本です。『クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方』という、かなりネガティブなタイトルの本なので、まったく期待せずに読み始めたのですが、意外なことに「夢を持つのも良いもんだ」という感想を持つことになりました(笑)。
クランボルツというのは、キャリア理論を構築した方だそうで、この「計画的偶発性理論」はキャリア理論の基礎中の基礎なのだそうです(汗……知りませんでした)。
そしてこの本は、「夢がなければ人生はつまらない。だけど夢ばかり追いかけていては生活が成り立たない。この、夢といいう厄介なシロモノと、キャリアの間に答えを出すための一冊です」なのだとか。
さて、学生時代は「君の夢は何?」と尋ねられることで、「夢を持つことは大事なんだ……」と思わされ、社会人になってからは「夢ばっかり見てるんじゃねーよ」とばかりに現実を直視させられてきたように感じてきた私ですが……実のところ「私の夢って何?」と自分でもよく分からない状態にあったので、どちらの場合も、その場その場でなんとなく「臨機応変」に(柔軟に?)対応してきただけだった気がします(汗)。
でも……この本を読むことで、今まで「君の夢は何?」という問いに自信を持っては答えられず、「本当の夢」がなくて肩身の狭い思いをしてきた自分を、ようやく許せた気がします。なぜならクランボルツ理論の最初の結論が、「夢とか趣味とか目標とかって、どんどん変わっていく」ということを知ったからです。
実は(おそらく)私の「本当の」夢は、かなり大それたもので、「レオナルド・ダ・ヴィンチのような万能の超人になりたい」だったのだと思います。つまり「なんでも上手に出来るようになりたかった」ので、「ピアニスト」とか「弁護士」とか、特定の職業への夢ではなかったのでした……こういうのは「夢」ではなく、「妄想」なのだとは思いますが……振り返ってみると、意外にこの夢、すでにある程度はかなっているのかも。大人になってからも、かつての苦手科目(体育・数学)を克服しようと努力してきたので、今では両方とも「そこそこ」出来るレベルに育っています。……もしかしたら、こういうのが本当の「豊かな人生」なのかもしれません(笑)。
そして何らかの確かな「夢」を抱いていたのに挫折している人へは、「夢を生煮えのままにしておくな」ともアドバイスしてくれます。なぜなら「夢はチャレンジしなければ葬ることはできません。(中略)夢はしっかりこだわって、その結果、消化して、次の夢に行く」……つまり、何らかの「夢」を抱いたならば、「とにかくチャレンジ」するのが大事なのです。チャレンジして成功すれば、それが一番良いことですが、たとえ失敗の結果に終わったとしても、そこで夢を終わらせることが出来るので、「次の夢に進める」のだとか。……確かに、そうですね!
というとで、この本はタイトルは『夢のあきらめ方』ですが、その実は、「いろんな夢を持っていい」、「夢はけっこうかなう」、「夢をあきらめる前に、一度はチャレンジしよう(代謝しよう)。ダメなことに納得すれば、次の夢に進める」ということを教えてくれる本でした。
とても素敵だと思ったのが、「夢は流れない。それは積み重なる。」という言葉。夢のための努力は無駄にならず、別の形で他の分野でも活かせるのだと思います。
とにかく「夢を持つことは無駄にはならない(夢は自分を成長させてくれる)」し、「夢を抱いたなら、やってみよう!」、さらには「無理に夢を持つ必要はない」ということまで……「夢」との付き合い方を教えてくれる本でした。夢のある方も、ない方も、夢に苦しんでいる方も、一度、読んでみてください。何かヒントがつかめるかもしれません。
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海老原さんの他の本『無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論』に関する記事もごらんください。
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