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第1部 本
社会
日本再興戦略(落合陽一)
『日本再興戦略』2018/1/31
落合 陽一 (著)
(感想)
AI、ブロックチェーンなどのテクノロジーの進化、少子高齢化・人口減少などにより、世界と日本が大きく変わりつつあります。今後、世界の中で日本が再興するにはどんな戦略が必要なのかについて、テクノロジー、政治、経済、外交、教育、リーダーなどの切り口から、メディアアーティストの落合さんが考察している本です。
この本の中で語られていることすべてに賛同できたわけではありませんでしたが、少なくとも主張が明快で分かりやすかったように感じました。
例えば「第1章 欧米とは何か」では、「そもそも欧米というものは存在しません。」と言い切ります。目を引くこの文章で、実際に落合さんが言っているのは、特に先鋭的でもなく、普通に妥当な意見でした。
「日本人は、外来的に入ってきたものをすべて「欧米」と呼んで、いろんな分野で各国の方式を組み合わせてきました。そして、いいとこ取りをしたつもりが、時代の変化によって悪いとこ取りになっているケースが目立ってきています。」
「欧米とは何で、具体的に何がよくて、何がよくないか、それを見極める必要があるのです。」
また「第2章 日本とは何か」では、「士農工商のモデルは、これからの時代にも合っています。」などと言っていて、ぎょっとさせられましたが、その意味するところは、「モノを生み出さない「商」の価値低下、拝金主義からの脱出」で、階級制度への復帰ではないようです。この「新しい士農工商」は、「インドのように生まれながらカーストによって職業が決まっているのではなく、職業の行き来のしやすいカーストにする必要はあります。」のだとか……それを主張するのなら、「士農工商」のような誤解されやすい名称を使うべきではないのでは? と思ってしまいました。「これからの日本に大事なのは、いろんなコミュニティがあって、複数のコミュニティに所属しつつ、そのコミュニティを自由に変えられることです。」ということであれば、「士農工商」のような身分制度を感じさせる名前ではなく、単純に「ワークグループ」でも良いような気がします。
そして個人的に参考になったのは、「第4章 日本再興のグランドデザイン」の「人口減少と高齢化がチャンスである3つの理由」。
1)自動化、省人化に対する「打ち壊し運動」が起きないこと
(人口減少と高齢化の時代では、機械化によるメリットの方が大きいから)
2)輸出戦略(高齢化社会に向けた新しい実験をやりやすい)
3)教育投資(少子化なので、一人一人によりお金をかけられる)
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「人口減少と高齢化」は悲観的予測につながりやすいのに、むしろチャンスだという主張に説得力を感じました。
というのも高齢化は、日本だけでなく全世界的に起こっている現象なので、世界に先駆けて高齢化が進行していく日本で、高齢者向けの新商品を開発することが出来れば、有望な輸出商品として育っていくのは確実だと思うからです。
日本は機械との共存を受け入れやすい社会ですし、機械製造の高度な技術力がある一方で、少子高齢化による労働力不足に悩んでいる……ならば「AI」や「ロボット」などのIT技術(機械化)で、世界に先駆けて、その問題を解決していけばいい……ピンチをチャンスに変えるんですね!
「人口減少は日本にとって大きなチャンスです。ロボット、自動運転、自動翻訳、ブロックチェーン、トークンエコノミーといった新しいテクノロジーも日本の強力な武器になります。」
「機械と相性のいい日本は、あらゆる国のモデルケースとして、あらゆるものを自動化した国になれる可能性が十分にあります。そして、自動化を進めると同時に、日本は文化的に優れた国になります。」
また、この延長線上にあるものとして、「第5章 政治(国防・外交・民主主義・リーダー)」にあった「自衛軍強化の柱になるのは、自動化です。日本は強い自衛軍をつくれます。」にも説得力を感じました。
その他にも、「「ワークライフバランス」から「ワークアズライフ」へ」とか、「トークンエコノミーが、シリコンバレーと戦う最高の戦略になる」とか、考えさせられる意見が、いろいろありました。
あなたは何を考えるでしょうか。ぜひ読んでみてください。
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