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第1部 本
自己啓発・精神力
“偽りの自分"からの脱出(梯谷幸司)
『“偽りの自分"からの脱出』2018/3/2
梯谷 幸司 (著)
(感想)
「本当の自分」を表現することで、実りある人生を送る……トップ営業マン、経営者、スポーツ選手など大勢の人々を変化・変容に導いたメンタルトレーナーが、人生を変えるための実践哲学を教えてくれる本です。
私たちが生きている資本主義社会では、「本当の自分」を見失いがちなそうです。この本には次のような記述があり、ハッとさせられました。
「大量生産の歯車になるためには、自分の価値観を捨て、社会の価値観に合わせる必要がありました。そこで、「本当の自分」を無視することが始まり、それが人生や健康に影響を及ぼし始めるのです。」
そして病気などの身体の不調も、これが原因のことが多いのだとか。
「病気になる前には、必ずビジネスないし恋愛や家庭、対人関係がうまくいかない現象があります。背景には、他人や世間の価値観に合わせた「偽りの自分」を生き、本当の自分を生きていない事実があります。しかし、多くの人はそこに気づきません。」
そこで「偽りの自分」を捨てて「本当の自分」を再構築するためには、どうすればいいのか、ということになるわけですが、この本にはそのための10のエクササイズが紹介されています。(本の後ろ半分はこのエクササイズの詳しい解説で、項目は以下の通りです)。
1)本当の自分の姿を洗い出す
2)本当の自分からのメッセージを読み解く
3)生きる目的の方向性に気づく
4)FE型とFA型 本気度合いをコントロールする
(※FE型=結果期待型、FA型=結果行動型)
5)途中で投げ出す人のほうがなぜ成功するのか?
6)限界とメタ無意識を再編集する
7)なりたい自分になれる記憶を創る3つのステップ
8)愛についてのメタ無意識を再捜索する
9)意識レベルの振り幅を大きくしていく3つのステップ
10)自由の定義を見直し、流れを変えていく3つのステップ
*
精神的なエクササイズというと、瞑想などの精神統一や、呼吸を整えるなど、身体的行動を伴うものなのかと想像していたのですが、ここで紹介されるエクササイズは「イメージする」「自らの心の中を問い直す」感じのものが、ほとんどでした。
例えば、「1)本当の自分の姿を洗い出す」では、「あなたの憧れの人から夏のホームパーティーへの招待状が来た」という設定で、「何を思ったか」「参加者はどんな人たちか」「居心地はどうか」「パーティーの主催者は、どんな生きる目的を持っているか」などの質問への答えが求められます。このパーティーの主催者像は、潜在意識が認識している「本当の私はこういう人」という本当の自分の姿なのだそうです。
このようなエクササイズをすると、自分の「メタ意識」を良い方へと書き換えていけるのだとか。梯谷さんのセミナーでも受講者の方々にやってもらって、非常に効果が出ているそうです。
梯谷さんは言っています。
「偽りの自分から抜け出し、自分の価値観を明確にし、生きていく。そうするとどうしても、他人の期待には応えませんので、自分勝手だなどと言われて、周囲との摩擦が生まれ始めます。それでも自分は自分の人生を生きるのだと覚悟を決める。そこで初めて満足感や生きている感覚を味わい始める。そうなれば、病気にもならなくなる。ビジネスも、本当は自分が何をしたかったのかがわかってくる。こんなふうに「本当の自分」で人生を生き切りましょうよ、と私は提案したいのです。」
私自身は、かつてはかなり八方美人的な性格をしていたために、人間関係でストレスを感じることも多かったのですが、年をとって図々しくなってきたせいか、今では「本当の自分」をさらけ出すことに抵抗がなくなり、ストレスも病気も減っています(笑)。他人に迷惑をかけない程度に、「本当の自分」をさらけだして生きる方が、「偽りの(?)良い人」を演じるよりも、ずっと気が楽だと思います。でも「本当の自分」でいるのは、「他人に迷惑をかけない」程度に留めるのも大事です。「他人に迷惑をかけてしまう」と、それが逆に大きなストレスの元になってしまいますから……。
「病は気から」とよく言われますが、楽しい漫画などを見て笑ったり、運動や瞑想など、さまざまな方法でストレスに対処できる能力を高めたりすることは、免疫力を高める・身体の炎症反応を抑えるなどの効果があり、結果として病気を克服できた例が多数あるそうです。
この本にも、「心の持ちようを変えた」ことで、「がんが消えた」人の事例などが書いてありました。本当に、「心の持ちようを変える(偽りの自分から抜け出す)」だけで、がんや認知症などの病気を克服できるのかどうは分かりませんが、この本で紹介されているエクササイズは、「薬」や「何らかの装置」を使用せず、設定されている問題に答える・イメージするという精神的な方法だけなので、身体への悪影響はほとんどないと思います。現在、病院で治療を受けている方であっても、本が読めるなら、この本で紹介されているエクササイズをやることが出来ると思います。それに、お金もほとんどかかりません(笑)。
今現在、なんらかの病気やストレスで悩んでいる方は、一度、読んでみてください。そして自分に合いそうだと感じたら、エクササイズも行ってみてください。人生をより良い方向へ変えていくための、何らかのヒントをつかめるかもしれません。
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