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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

絵でわかる日本列島の地形・地質・岩石(藤岡達也)

『絵でわかる日本列島の地形・地質・岩石』2019/1/25
藤岡 達也 (著)


(感想)
 日本列島の岩石や地形の成り立ちを、イラストや写真を利用して分かりやすく教えてくれる本です。内容は以下の通りです。
第1章 奇跡の島,日本列島
第2章 日本列島の自然環境史
第3章 地形・地質・岩石はどのようにできたか
第4章 人間活動と地質・岩石
   *
「人々が日本列島に住み始めた頃は、日本列島は大陸と陸続きでした。(中略)しかし、最終氷期(約1万2千年前)が終わって、海進により列島が大陸と離れてしまい、現在では、日本列島にしか生息しない固有種も存在します。」
 日本列島が大陸と陸続きだった頃のイラストを見ると、瀬戸内海の広島や岡山の南あたりは四国と繋がっていたんですね!
 この本では、大昔の日本列島の形の変化や、日本列島の自然環境の歴史について知ることが出来ます。
 コラムにも面白い情報がのっています。例えば、日本の国歌「君が代」に出てくる「……さざれ石のいわおとなりて……」のさざれ石は、「石灰岩が雨水で溶解して生じた粘着力の強い液が、少しずつ小石を凝結し、石灰質の作用によってコンクリート状に固まってできたものです。」なのだとか。なーんだ、意外に「普通」の成り立ちだったんですね(笑)。
 また、とても興味深かったのは、「第3章 地形・地質・岩石はどのようにできたか」「第4章 人間活動と地質・岩石」。日本にある有名な観光地など、いろいろな地形の成り立ちを知ることが出来ました。
 例えば、「砂丘」については、次のような記述があります。
「日本で元も面積の大きい砂丘は青森県の猿ヶ森砂丘です。しかし、観光用の砂丘として有名なものは鳥取砂丘です。(中略)これだけの砂の堆積は岩石の風化と河川の堆積、そして海岸に向けての沿岸流などの自然の力だけで供給されたものではありません。ある意味では上流側の人為的な力も加わっています。」
「鳥取砂丘の砂の起源は中国山地の花こう岩です。花こう岩が風化により石英粒の砂となります。しかし、花こう岩を砕いたのは自然の力だけではなく、かつて中国地方で見られた「たたら製鉄」とも関係があります。たたら製鉄では、花こう岩の鉄分、例えば褐鉄鉱などを取り出すために意図的に花こう岩を砕き、その後、残された岩石を千代川に流していました。これが下流の沿岸に堆積したことによって、砂丘が一層発達したのです。」
 ……へえー、そうだったんだ。あの広大な鳥取砂丘が、日本一の大きさではないことも意外だったけど、自然の力と人工の力の合作だったということも初めて知りました。
 また次の記述にも驚きました。
「砂州によって陸と繋がった島を陸繋島と言います。その砂州部分をトンボロと言います。(中略)宮崎県・青島も陸繋島ですが、観光地としては、北海道の函館山が有名です。5000年前に函館山は陸続きになり、現在、函館市の中心街はこの砂州の上にあります。」
 な、なんですと? 函館市の中心街は砂州の上? そうだったんだ……そういえば、あの美しい街の夜景の形は、確かに「砂州」っぽく見えますね。なるほど……。
 こんな感じに、興味深い記事が満載でした。地理や地学が好きな方は、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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