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トコトンやさしい紙と印刷の本(前田秀一)
『トコトンやさしい紙と印刷の本 (今日からモノ知りシリーズ)』2018/12/20
前田 秀一 (著)
(感想)
紙と印刷について、その歴史から最新技術まで総合的に解説してくれる本です。
ご存じの通り、紙と印刷は、世界の四大発明(紙、印刷、羅針盤、火薬)に含まれているほど歴史的に重大な発明品で、非常に幅広い深い分野です。実は、この「トコトンやさしい」シリーズからも、『トコトンやさしい紙の本(2001年)』と、『トコトンやさしい印刷の本(2012年)』がすでに出ているのですが、この本は、それらの本に追加すべき最新技術として「デジタル化」をキーワードに、紙と印刷について考えることにしたのだそうです。内容は以下の通りです。
第1章 これまでの紙
第2章 紙の物理と化学
第3章 印刷とその用紙
第4章 さまざまな紙と印刷
第5章 紙と環境
第6章 紙とデジタル技術
第7章 これからの紙
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さて、この本によると「紙の定義は時代の変化とともに変遷していますが、現状では「繊維原料を水中に分散させ、ろ過することによりシート状に成形したもの」というのが一番シンプルでわかりやすいと思います。」とのことですが、それだけでなく、「一方、原料やシート化の方法を特定せずに、シート状のものをすべて紙とみなす広義の定義もあります。」そうで、広義の定義によれば、電子書籍などに利用されている「電子ペーパー」も紙の一種と考えられるのだとか。この本では、この電子ペーパーも紙の一種と考えているそうです。
だから特に「第6章 紙とデジタル技術」では、今までになかった「紙」が紹介されていて、とても興味深く感じました。
例えば「紙とデジタル技術との融合1 クロスメディア」では「スクリーンコード」の紹介があり、「スクリーンコード」というのは、QRコードに似た性質のものですが、「人間の目には見えない小さなドット」などを使ってデジタル情報を書き込んであるものだそうです。
また「紙とデジタル技術との融合2 電気を通す透明な紙」で紹介されていた「ナノセルロースファイバーを使った透明な紙」を基盤に使うと、基盤の透明性を保ったまま伝導性を付与することが出来るそうで、タッチパネルや太陽電池などのさまざまな電子デバイスに利用されているそうです。
さらに「紙とデジタル技術との融合3 電子ペーパーの特徴と原理」では、印刷物のように目に優しい「電気的に書き換え可能な紙(電子ペーパー)」に利用されている原理の「電気泳動方式」に関する解説を読むことができました。
この他にも、新しい印刷技術についても最新知識が盛り込まれています。
すごく広範囲に渡っている総合的な解説書なので、各項目については簡潔な説明があるだけですが、イラストを駆使して分かりやすく解説されているので、興味がある方はぜひ読んでみてください。
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トコトンやさしいシリーズの他の本、『トコトンやさしいナノセルロースの本』に関する記事もごらんください。
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トコトンやさしいシリーズからは、紙と印刷それぞれに関する『トコトンやさしい紙の本』、『トコトンやさしい印刷の本』の他、『トコトンやさしい段ボールの本』、『トコトンやさしい包装の本』など多数の本が出ています。
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