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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

日本の地質構造100選(日本地質学会、他)

『日本の地質構造100選』2012/6/1
日本地質学会 (編集), 構造地質部会 (編集)


(感想)
「日本の地質百選」の枠組みの中の構造地質編で、露頭写真を中心に国内の重要な地質構造の写真を集めたカラーアトラスです。
 断層、活断層、断層岩、褶曲、小構造、メランジュなど6つのカテゴリーの地質構造の写真&解説があります。日本にこんな場所があったんだ! と、びっくりするような地層の写真が満載☆
「これらの地質構造の多くは大地のきわめてゆっくりした運動により、数百万から数千万年かけて岩石が変形した結果形成されます。」
 長い時間をかけて形成された凄い光景を写真で見て、簡単な解説を読むことが出来るだけでなく、地図もあって場所(住所やGPS情報)や交通情報も掲載されているので、実際に行く時の参考にもなると思います。ただし解説は「専門家向け」のもので、説明もないまま専門用語が多数出てくるので、素人にはかなり辛いものがありましたが……(汗)。
 それでも、日本中のすごい地層構造の写真がこんなに網羅されている本は貴重だと思います。
「第1章 断層」では、「006:糸魚川―静岡構造線(山梨県南巨摩郡早川町新倉、早川と内河内川との合流点から約100m上流の内河内川左岸壁)」などのフォッサマグナを構成する層群の場所の他、断層を見られる各地の場所を知ることが出来ましたし、「第2章 活断層」では「030:野島断層(兵庫県明石市小倉 北淡震災記念公園内のの島断層保存館)」の写真で、「地球の地面が動いている」ことを痛感させられました。
 ただし、絶景ではあっても素人には地層構造が分かりにくいものもあって、「第3章 断層岩」の「049:日高変成帯のシュードタキライト(北海道浦河郡浦河町野深元浦川上流ソエマツ川沿い)」の写真には、ちゃんと「横ずれ斜交断層」部分に赤い破線がつけてあるのですが、実際にこの場所に行ったとしても、これが「横ずれ斜交断層」だと分かるかなーと思わされるものもありました(細かく見ると、やっぱり凄い写真なのですが……)。
 個人的に一番「これは凄い!」と感動したのは、素人にも分かりやすい「第4章 褶曲」。どの写真も、まるでS字にぐいっと折り畳んだ雑誌のページを横から見ているみたいな凄まじい「褶曲」っぷり! こんな地層を見ることが出来る場所が、こんなにたくさんあるなんて!
 例えば「055:牡鹿半島の褶曲とスレート(宮城県石巻市牧ノ野崎西端南岸)」。びっくりするような凄い光景なのですが、残念ながらこの場所は、2011.03.11の東北地方太平洋沖地震で1メートル以上沈降してしまったそうで、見つけにくくなってしまったようです。でもこの本には「この露頭の実物大レプリカは、つくば市の産業技術総合研究所地質標本館に展示されています。」とメモがありました。実はこの本を読む前に、実際に、このレプリカを、つくば市の地質標本館で見たことがあるのですが、本当にすごく見応えがありました☆ 「ここで何があったんだ……」と茫然としてしまうほど、すごい褶曲っぷりです(笑)。これはプレートテクトニクスによるものなんでしょうか……とても見応えがあるので、お近くの方は、ぜひ見に行ってください。
 その他にも、「061:伊良湖岬、秩父帯のチャートの褶曲(愛知県伊良湖恋路が浜の東側)」、「062:牟婁層群の褶曲(和歌山県西牟婁郡すさみ町黒崎)」、「063:沼島のさや褶曲と上立神岩(兵庫県南あわじ市沼島)」、「066:室戸、行当岬の褶曲(高知県室戸市行当岬)」なども凄いです。
 さらに「第5章 小構造」、「第6章 メランジュ」など全部で100の凄い地質構造写真が……3800円+税と少し高価な本ですが、地学好きにはお宝になるような素敵な写真集でした。ぜひ眺めてみてください☆
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 日本地質学会の他の本、『はじめての地質学―日本の地層と岩石を調べる』に関する記事もごらんください。

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