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世界にほこる日本の和紙(世界遺産になった和紙)(紙の博物館)

『世界にほこる日本の和紙 (世界遺産になった和紙)』2015/5/28
紙の博物館 (監修)


(感想)
 2014年11月、ユネスコは「和紙」を無形文化遺産に登録したと発表しました。この本は、和紙について、さまざまな角度から教えてくれます。シリーズは次の4巻から構成されています。
第1巻:世界にほこる日本の和紙(和紙とその文化的背景)
第2巻:紙の発明と日本の和紙(和紙の起源と世界の紙の歴史)
第3巻:和紙の徹底研究(特徴・比較)
第4巻:手づくり和紙・和紙アート(和紙をつくってみよう)
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 この本は、そのシリーズの1冊目で、和紙についての簡単な説明と、文化遺産になった経緯を紹介してくれます。
 さて、和紙というのは「日本製の紙」のことですが、明治時代に、ヨーロッパなどから製造法が伝わってきた洋紙(西洋紙)に対して、日本製の紙をこう呼ぶようになったそうです。
 また豆知識として、「紙という漢字の「糸」は、植物の繊維のことで、「氏」は平らで滑らかなことを表すといわれています。」とも書いてありました。ふーん、そうだったんですか……。
 ところで、実は、和紙は2014年に初めてユネスコ無形文化遺産登録されたわけではないそうです。すでに2009年には島根県の「石州半紙」が登録されていたのですが、それに岐阜県の「本美濃紙」と埼玉県の「細川紙」を加えて登録しなおす「拡張登録」という方法で登録されたのだとか。
 でも「和紙」は、これら3地域以外にも、北海道から沖縄まで多くの和紙生産地があるそうです。それでも登録されたのは、今のところこの3地域だけ。これまでの経緯としては、日本人の「和紙ばなれ(日本人自身も高価な和紙を使わなくなってきている)」に危機感を抱いた和紙産地や国の努力によって、和紙文化を保護するために島根県の「石州半紙」が2009年にユネスコの無形文化遺産に登録されたのですが、その後、「本美濃紙」を登録しようとしたところ、「石州半紙に似ている」という理由で登録されなかったのだとか! そのため、作戦を練り直して「拡張登録」という形で登録し直したそうです。無形文化遺産に登録するのも、いろいろ大変なんですね……。登録された三つの地域は、かなり離れた場所の産地(島根・岐阜・埼玉)なので、それぞれが核となって、残りの地域の和紙産地の振興に寄与してくれると良いなと願っています。
 この本は、和紙について、「和紙の概要」と「無形文化遺産」を中心に、豊富な写真・イラストを使ってフルカラーで解説してくれます。お子さんも読んでくれることを期待しているのか、文字には「よみがな」がついていてページ数も32ページと薄い本ですが、内容はかなり充実しているので、大人が読んでも読み応えがあります。2500円+税と、値段がわりと高価なのが残念ですが、とても立派で丈夫な装丁で作られているので、大勢の人々に図書館で読んでもらうことを想定しているのかもしれません。興味のある方は、ぜひ読んでみてください☆
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「世界遺産になった和紙」シリーズの他の本、『2紙の発明と日本の和紙』、『3.和紙の徹底研究(特徴・比較)』、『4.手づくり和紙・和紙アート』に関する記事もごらんください。

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