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第1部 本
生活
知られざる地下街(廣井悠、他)
『知られざる地下街』2018/3/9
廣井 悠 (著), 地下街減災研究会 (著)
(感想)
全国に79箇所もある地下街の歴史や意外と知らない豆知識、最新の防災技術、進化した未来の姿まで紹介してくれる「地下街が分かる一冊」です。
地下街というのは鉄道や地下鉄などリンクしていることが多いので、とても便利なだけでなく、ちょっと迷路っぽい感じもあってワクワクしてしまいます(笑)。とりわけ東京駅の地下街や、大阪梅田あたりの地下街は、驚くほど広くて「あれ? 今どこにいるんだっけ?」と自分のいる場所が分からなくなるほどで……(汗)、これって、よく考えると地下迷宮(ダンジョン)そのもので……けっこう危ないのかも……?
えーと、この本は、日本にある地下街の概要(場所や歴史、防災事情など)を幅広く紹介してくれます。「地下街の通路に看板やワゴンが置かれていないのはなぜか」のような豆知識も豊富です(その理由は、「地下街の通路部分が「道路」だからなのです。道路である「通路」に物を置いたりする場合、道路法によって料金(道路占用料)を納めなければなりません。」なのだとか)。
ただし地下街のマップなどは詳細ではないので、地下街歩きのガイドマップとしては少し物足りないと思いますが……。
さて、日本で最初の地下街は、上野にあるそうです(現在のEchika fit上野)。
「1927年(昭和2)、東京の浅草から上野までの地下鉄が開通し、あわせて地下道が建設されました。そこに商店がはりつく形で、1930年(昭和5)、上野駅に、現在の銀座線を開業させた「東京地下鉄道」が日本で最初の地下商店街「地下鉄ストア」を開業しました。」
なるほど。
そして「全国地下街案内」として主要な地下街が写真つきで紹介されています。が、なぜか渋谷や銀座の地下街や、京都の地下街などが掲載されていません……あれ、かなり広いのになーと不思議に感じていたら、その後に「全国地下街MAP」があり、その中に渋谷や銀座などは名前だけが掲載されていました。「全国地下街案内」に記事が掲載されているのは、一部の地下街だけだったんですね。
そして「全国地下街MAP」には仙台の地下街もないな、仙台には地下鉄があるのに地下街はないの? ともう一つ不思議に思っていたことの答えは、「第3章 災害から地下街を守る、日本の進化する技術」の中にありました。
1970年の大阪天六ガス爆発事故、1980年の静岡駅前地下街爆発事故など、地下街で起こった過去の火災を受けて地下街の安全基準が厳しくなったことで、「地下街自体も1986年の川崎アゼリア開業まで新設されず、また当時に仙台市で計画されていた地下街開発も計画中止となりました。」なのだそうです。ふーん、そうだったんだ。
最後の「第4章 地下街のこれから」では、「地下の迷路性を解消するICT技術」などが紹介されていました。スマホなどを活用した道案内、自動運転車、自走ロボット、ドローンなどは、今後、地下街での活用が進むのでしょう。
この章には、他に「ICT技術に頼らない」迷路性の解消方法の紹介もあり、これらもぜひ進めていって欲しいと感じました、災害の時は「停電」してしまうことが多いようですから。その一例をあげると、「地下空間に目印となるものを設置したり、場所ごとにデザインを変えたりすることが有効です。例えば、サンタンガーデン(吹き抜け)やトップライト(天窓)を積極的に設けて地上の光を取り入れ、地上の景色を地下からも見えるようにする、天井や壁のデザインを変化させたり、オブジェをおいた広場空間をつくり、地下空間にそれぞれの風景をつくる工夫をしたりすることです。」とか、蓄光材をつかった案内板の利用などです。階段のステップの端に蓄光材を貼りつけた写真を見て、地下街からの避難には階段を利用することが多いはずなので、階段にこれがついていれば、かなり安心できそうと感じました。すごく役に立ちそうなので、自分の家の階段にも、つけておくべきかも。
地下街のことをいろいろ知ることが出来る本でした。読んでみてください。
* * *
別の作家の本ですが、『超高層建築と地下街の安全 :人と街を守る最新技術』、『大きな写真と絵でみる地下のひみつ〈3〉街に広がる地下の世界』など、地下街のことを知ることができる本は多数あります。
なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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