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第1部 本

生活

住んでいい町、ダメな町 自然災害大国・日本で暮らす(大木裕子)

『住んでいい町、ダメな町 自然災害大国・日本で暮らす』2015/1/14
大木 裕子 (著)


(感想)
 地震・津波・火山噴火・土石流……住んでいい町、ダメな町の見分け方を教えてくれる本です。
 住宅を選ぶとき、一番気になることは何ですか? 通勤時間や価格でエリアを選び、住みやすい間取りの家を選ぶ? この本は、そういう住宅選びを教えてくれる本ではありません。もっと根本的で重要な視点「そもそもこの土地って自然災害、大丈夫?」の見方を教えてくれる本なのです。なるほど、だから『住んでいい町、ダメな町』だったんだ! とあらためて気づきました。経済発展状況とか、防犯的な意味なのかと思ってた……(汗)。
 特に関東(首都)圏については、具体的な地名での説明があります。埋立地が多い首都圏では、西側の武蔵野台地方面の地盤が硬く、東側の下町側は地盤も緩い上に浸水の危険性がある……関東大震災などの歴史的な被害を知っているので、私にもこの程度の知識はあったのですが、最初に紹介されていた「住みたい街ランキング上位の常連・吉祥寺」の事例に、まず絶句させられました。武蔵野台地の中ほどにある吉祥寺ですが、危ない場所もいっぱいあるのだとか! というのも吉祥寺のように、急激な人口増加によって推し進められた宅地化は、地表の凸凹を、凸の土地を削って凹地を埋めるという方法で整地されるので、凹だった土地は地盤が緩いのです。また都市化の進展に伴う森林伐採で、土地が水を溜めこみにくくなってきて、井の頭池は、今では地下水をポンプでくみ上げ放水することで池として成り立っている状態なのだとか! ……全然、知りませんでした。海抜ゼロメートル以下の土地が多い首都圏の東側はもちろんのこと、堅牢なはずの西側にも危険な土地がいっぱいあるようです(汗)。
 危険ではない地盤の町を探すには、次の3ステップの調査をするといいのだとか。
1)地理院土地条件図で調べる(電子国土Webなど)
2)現場を歩いて確認する
3)耐震性の3つのポイント確認(新しい建築基準に基づいて建てられているか、建物の基礎はどうなっているか、耐震設計になっているか)
 そして、自治体の発行しているハザードマップ(「ゆれやすさマップ」、「液状化マップ」、「津波マップ」、「土地災害ハザードマップ」、「土地災害危険箇所と土砂災害危険区域」、「水害マップ」、「火山ハザードマップ」、「火山危険度マップ」、「倒壊危険度マップ」など)も確認するといいようです。
 なるほど……。うーん、でも、確かに、こうやって堅牢な地盤の場所を選ぶに越したことはないけれど、実際には、通勤・通学時間とか、価格とか周囲の環境とかを優先させないと生活が不便になる、ということも多いですよね。この本では、そんな人のために、「第5章 それでも「あの街」に住みたい人へ」で、災害リスクの高い町に住むためにするべきことも教えてくれます。それは次の4つ。
1)起こりうる災害の種類を知る(ハザードマップを調べる、など)
2)その災害への対策がなされた町かを確認
3)逃げ道・避難場所を確認
4)住む建物に災害対策がなされているか確認
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 家を選ぶ時には、「土地家屋」だけでなく、「地盤」についても確認することの重要性を教えてくれる本でした。現実には、硬い地盤の安全な場所を探すのは大変そうですが、自分が住んでいる場所がどんな場所かを「災害」の面から確認して、対処法を考えておく(準備しておく)ことは大切だと思います。
 電子国土Webを利用するなど、土地の調べ方の具体的方法も教えてくれるので、これから住宅購入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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 別の作家の本ですが、『資産価値を守る! 大災害に強い町、弱い町』など、災害面から住宅を考える上で参考になる本は、いろいろあります。
 なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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