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第1部 本
(しかけ絵本&技法、ペーパークラフト)

しかけ技法(日本の作家)

型紙つき

紙仏巡礼(菊地清)

『紙仏巡礼』2017/10/14
菊地 清 (著) )


(感想)
 紙を仏像の形に切り抜き、折り筋をつけて、開くと立ち上がる「立体の紙彫仏」の作り方を教えてくれる本です。
 ……正直に言って、この本を初めて見た時は、「仏様がモチーフのポップアップ・カード」? ないわー、と思ってしまいました(汗)。
 でも良く考えると、そう思うのは、いったい何故? クリスマス・カードとかで「天使のカード」なら作ったことが何度もあるのに、仏様だとポップアップ・カードにならないとか、それって偏見じゃないの? と少し反省しながら中身を見ているうちに……いやいや、仏様のポップアップカードって、「あり」だなと思うようになりました。なぜなら、これを作って飾ると、仏壇の素敵な飾りになるのでは?と考えたからです。お盆や法事などで仏壇の扉を開く時に、これを飾って、行事が終ったら畳んでしまっておく……狭いマンションなどで、立派な仏壇がない家では、大活躍できるのでは?
 そういうちょっと邪な考えで眺めているうちに、これを作っていると、気持ちが静かになっていきそうな気もしてきました。仏様を切り出すなんて、すごく敬虔な気持ちになりそうだし、瞑想のように心を整える効果がありそう……。
 この本で作り方を教えてくれるのは、干支にちなんだ「守護仏」8体と、普遍的な魅力を持つ木彫仏13体の「紙彫仏」です。すべて型紙つきで、作り方を写真で丁寧に解説してもらえます(道具の紹介もあります)。
 これらの仏様は、全国の国宝・重要文化財級の有名な仏像をモデルに、初心者でも作りやすいよう細部に工夫を施したものだそうです。大日如来坐像などの守護仏は、高級な色厚紙を使っているようですが、紙彫仏の方は、背景に、表具などに使われる和風の色柄紙が使われています。これは薄い紙なので、ボール紙に貼って使うそうです。和風の色柄紙を使うと、仏様たちにいっそう重厚感が出て、ありがたい感じになります。ここでは一般に市販されていない「紙どんす」を使っているそうですが、包装紙などで背景に使えそうな和風の色柄紙を選んで、「紙どんす」の代わりに使ってもいいのではないでしょうか。

『紙仏巡礼』で作ることができる仏様のポップアップカードの一例は、次の通りです。
<守護仏>
・大日如来坐像―奈良・円成寺(国宝)=未年・申年
・阿弥陀如来坐像―「鎌倉大仏」鎌倉・高徳院(国宝)=戌年・亥年
・文殊菩薩坐像―奈良・法隆寺(国宝)=卯年
・不動明王坐像―京都・東寺“教王護国寺”(国宝)=酉年
・勢至菩薩坐像―京都・三千院(国宝)=午年 他
<紙彫仏>
・金剛力士像―「阿形(あぎょう)」奈良・興福寺(国宝)
・金剛力士像―「吽形(うんぎょう)」奈良・興福寺(国宝)
・弘法大師坐像―奈良・法隆寺(重要文化財)
・薬師如来坐像―奈良・新薬師寺(国宝)
・吉祥天立像―京都・浄瑠璃寺(重要文化財) 他
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 菊地 清さんの他の本、『紙ワザ建築 世界遺産』、『ポップアップカード入門』、『しかけ絵本の基礎知識 実技編〈1〉平行折り・斜折り』、『ペーパークラフト 紙ワザ工房―平行折りと基本テクニック』、『はさみで5分、初めての立体カード』に関する記事もご覧ください。
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 菊地さんは、他にも『紙の仏像彫刻―紙ワザ仏師 切って、折って作る国宝17体』などの本を出しています。

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