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第1部 本

自己啓発・精神力

寛容力のコツ(下園壮太)

『寛容力のコツ: ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかない』2017/6/22
下園 壮太 (著)


(感想)
 陸上自衛隊衛生学校の心理教官として、20年にわたってメンタルケアを行ってきた下園さんが、ささいなことで怒らない、ちょっとしたことで傷つかないようになれる「寛容力」のコツを教えてくれる本です。
 私自身はあまり攻撃的な性格ではないので、めったに怒ることはないのですが、あまりにもひどいと感じた時には、やっぱり怒ってしまうこともあります。でも、怒った後に襲ってくるのは自己嫌悪……たまには怒ることも人間関係上、必要なことだと自分に言い聞かせてみても、やっぱりモヤモヤした気持ちが心にわだかまってしまいます。
 この本は、私と同じように感じている人の心を和らげてくれます。
 イライラして部下や子供を怒ってしまう人には、「しっかり生きよう」と真剣に日々を過ごしている人が多いそうです。胸の中に、「人はこうあらねばならない」という強い信念があるので、どうしても他人に厳しくなりがちなのだとか。そしてこういう人々は、相手を責めるのと同時に、無意識のうちにどこかで自分を責めてしまう傾向にあるそうです。……うーん、確かに……。
「人に寛容でありたい。そう思うのなら、自分にも寛容である必要があります。相手を許す前に、自分を許すことが大切なのです。寛容力を高めるためのコツは、ここにあります。」なのだとか。
 また、「いつでも」「誰にでも」寛容であることは不可能なのだそうです。例えば、疲れている時には、ストレス耐性が落ちてくるので、どうしてもイライラしてしまうそうです。また「怒り」は生存本能からくる生理的なメカニズムによる場合もあるので、必ずしもいつも抑えることが良いわけではないのだとか。
 そして怒りの感情を忘れようとするのも正しくないのだそうです。
「いったん「なかったこと」にされた怒りの感情というのは、そのままくすぶり続け、折に触れて怒りを盛り返そうとするからです。つまり、忘れようとすればするほど、その怒りが蘇ってくるようになります。」
「怒り」や「悲しみ」には理由がある……それらは「危機に対して心や体が正しく働いている」証拠だと考えて、いったん、それらの感情や状況を受け入れた上で、見方を変える・考え方を変えることを試みるといいようです。
 とはいっても、「「考え方を変える」「物事のとらえ方を変える」というのは、本来、大変なエネルギーを必要とするのです。」ということなので、イライラしている時に、無理に考え方を変えようとしても、うまくいかないことも多いようです。
 そんなこんなで「プチうつ」状態に陥ってしまったと感じた時には、「三日間、集中して休む」方法が効果的なのだとか。
 また、「怒りのピークは6秒から10秒ほど」だそうなので、カッときたら、意識的に深呼吸を数回して怒りのピーク時間をやり過ごすようにすると、後で自己嫌悪に陥るほどの衝動的な怒りを抑えられるかもしれません。
「七つの視点切り替え法(いろんな角度から出来事を捉え直す)」や「瞑想」など、「寛容力」を高めるための、さまざまなヒントを与えてくれる本でした。身近な人々とより良い人間関係を築いて、自分の人生をより気楽に生きていけるようになるために、ぜひ読んでみてください。
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 下園さんは、他にも『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術』、『自衛隊メンタル教官が教える 折れないリーダーの仕事』、『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』、『学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ』、『改訂新版 家族・支援者のためのうつ・自殺予防マニュアル: 増補改訂版 家族・支援者のための』などの本を出しています。

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