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第1部 本
教育(学習)読書
秒速8キロメートルの宇宙から 宇宙編(大西卓哉、他)
『秒速8キロメートルの宇宙から 宇宙編』2017/6/26
大西卓哉 (著), 宇宙航空研究開発機構 (著), JAXA (著)
(感想)
宇宙飛行士・大西卓哉さんのISS(国際宇宙ステーション)滞在日記。宇宙でのリアルな日常を綴った人気の宇宙ブログを書籍化した本です。
大西卓哉さんは、2016年7月、ロシアのソユーズ宇宙船で宇宙に飛び立ち、ISS(国際宇宙ステーション)に115日間滞在しました。この『秒速8キロメートルの宇宙から 宇宙編』は、2016年7月の打ち上げから2016年10月のISS滞在中のブログで、宇宙飛行士がISSでどんな生活をして、どんな仕事をしているのかがリアルに描かれています。
「宇宙での生活」は、もちろん「宇宙飛行士の訓練生活」よりずっと非日常的なので、「へえー」情報ばかりです!
まず打ち上げの時のリアルな感想。「打ち上げ」自体は、思っていた以上に穏やかだったそうです。加速度で身体がシートに押し付けられていく……そして第1段エンジンの燃焼終了と切り離し。大西さんはこの時の感覚が一番びっくりしたのだとか。「これまで身体を持ち上げてきた大きな手が、急にその手を放したように感じます。上昇から降下に転じるような錯覚が一瞬あったあと、そのまま第2段エンジンによって再加速していきます。」
こうして始まった「宇宙生活」。「無重力」に近い環境であるために、身体にさまざまな変化が起こったそうです。「顔がパンパンになる」「目が充血する」「食欲がなくなる」などですが、驚いたのは「背骨がいたい(無重力で背が伸びる?)」「尿意をもよおさない(尿が溜まっているという重さの感覚がない)」ということ! そうなんですか……。
また換気口の掃除をしたそうですが、なくしたものは大抵どこかの換気口で見つかるそうです(笑)。大西さんは、メガネ、シャンプーボトル、鉛筆などを見つけたとか。トイレの掃除(交換)もしたようですが、トイレは調子が悪いことが多かったようで、修理もしなければならなかったとか。宇宙飛行士というと華やかな感じですが……なにもかも自分でやらなければならないので、大変ですね……。
そして「昨日のコーヒーが明日のコーヒーになる」という誰かの名言には、思わず変な笑いが出てしまいました。なぜならISSでは尿を飲料水に再生するという画期的な装置が作動してるそうなので……(うーん)。
また、なんとISSでも避難訓練(緊急事態対処訓練)をしているそうです。地上との交信が切れているという設定が多いようですが、これは本当に大事ですよね。もちろん実際にISSのステム機器を操作するわけにはいかないので、PCやタブレット上のシミュレーターを使って機器の操作を模擬するそうですが。そんな事態にならないことをみんなが祈っているだけではなく、このように、きちんと想定して訓練していれば、いっそう安心だと思います。
さらに、ISSに実験装置などを届けるドラゴン宇宙船のキャプチャ、実験装置の組み立て、不要なものをドラゴン宇宙船に運び込むなどの作業にも、すごくわくわくさせられました。まるで映画みたい……。
そして散髪もメンバー同士で行うようです。散髪はバリカンを掃除機につけて行うのだとか。刈った頭髪が散らばったら大変ですものね(笑)。かなり短く切られてしまった写真もありましたが、散髪中の写真に、メンバー同士の仲のよさが如実に表れていて、すごくほほえましく感じました。
また3Dプリンターの試用も始まっているようです。実験の部品が壊れてしまった時でも、宇宙だと簡単には新しい部品を調達できないので、実用化されるといいですね。
ISSから撮影した貴重な写真もたくさんあって、すごく興味深いISS滞在日記でした。もちろん最後には、帰還の時のことも書いてあります。写真を見るとみんな笑顔ですが、けっこう大変なことも多かったようです。小さなものでもすごく重かったとか、動くたびに目がグルグル回る「地球酔い」になったとか……やっぱり宇宙飛行士って、いろいろ大変なんですね。
すごく「貴重な体験」をリアルに教えてくれる本でした。ぜひ読んでみてください☆
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大西さんの他の本、『秒速8キロメートルの宇宙から 訓練編』に関する記事もごらんください。
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別の作家の本ですが、『宇宙に挑むJAXAの仕事術』、『完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動「全記録」』、『夢をあきらめなければ宇宙にだって行ける』、『宇宙へ「出張」してきます ―古川聡のISS勤務167日』、『宇宙においでよ!』など、宇宙開発の現状について知ることが出来る本は、多数あります。
なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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