ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
自己啓発・古典&定番
コミックでわかるアドラー心理学(向後千春)
『コミックでわかるアドラー心理学』2014/10/25
向後 千春 (監修), ナナト エリ (イラスト)
(感想)
「ある理由」でアパレル店の店長を退職し、失意の中、シェアハウス「日暮荘」にやってきた坂井麻衣が、そこで出会った同居人たちとの関わりの中で成長していく物語。落ち込んでいる彼女を勇気づけたのは、同居人のイケメン男性・藤崎が教えてくれた「アドラー心理学」の考え方でした……。
可愛い若い女性(坂井麻衣)の苦悩・奮闘に共感しながら読んでいくうちに、「アドラー心理学」的な考え方が自然に身についていって、自分自身の人間関係や精神生活も改善していく……そんな魔法のようなコミックです☆ 漫画だけでなく、アドラー心理学の考え方の解説の文章や、用語集まで掲載されているので、「アドラー心理学」の概要を知るための入門書としても役に立つと思います。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
新しい仕事を探さなきゃ……失意のなかでも頑張ろうとする麻衣に、同居人の藤崎は、自分の塾で先生のアルバイトをすることを(半ば強引に)勧めます。人間関係の問題で退職したために、新しい仕事への自信がなくてためらう麻衣に、藤崎は言います。
「そうやって原因探しをしている間は、悩みなんて本当に解決はしないと思うよ。今の自分を何かのせいにしたいんでしょ? でもそうなるように選択したのは自分なんだって考えたことある?」(中略)「人は傷つかないまま、人を傷つけないまま生きることはできない。人は必ず人と関わって生きているから……何かに逃げることは出来ないんだよ」。そして「強くなるっていうのは、自分を分解して考えることじゃない。自分を好きになることだ」
……この冒頭のエピソードに、たちまち引きこまれてしまいました。
この後も、塾生の勉強家の女の子に、「勉強以外のところをほめてあげる」エピソードや、シェアハウス同居人の「厳格な父親」的管理職の大久保に、「自分は変われないと選択しているだけでは?」と問いかけるエピソードなど、心に響く物語&文章が満載☆
さらに、解説の「「トラウマ」や「生まれつきの性格」は自己欺瞞のための便利なキーワードにすぎず、「できない」は「やりたくないだけ」だ」という指摘は、耳に痛いのではないでしょうか(汗)。(アドラー心理学は、けっこう「自分に(他人にも)厳しい心理学」ですよね……)
感動的だったのは、いたずら小僧の勝がパン屋で万引きした時のエピソード。心配する麻衣、正しく諌めようとする母親たちの前では強がるだけだった勝が、最後には……この話は、ぜひご自分の目で確かめてください。
とても素敵な本でした。でも一つだけ気になることが(笑)。麻衣はアパレル関係での就職活動を停止して、しばらく塾の先生(アルバイト)を続けることを決意しますが……アドラー心理学を一番活かせるのって、子どもを教育する先生や親、そして管理職じゃないかと思うんですよね。だから彼女は、このままずっと先生を続けていきそう、そしてこのシェアハウスに居続けそう……でも、それでいいのかな?
なにしろこのシェアハウス、住人がどんどんアドラーの言う「共同体感覚を持ち」始めていて、全員にとって、すごく居心地がいい環境になっているんですよね。アドラー心理学的なアドバイス&悩みを話し合う藤崎たちに、「だからそれが、うっとうしいんじゃーん」と遠慮なく指摘する同居人の美幸、「ご飯の時は座りなさい」と説教する大久保、それぞれが自然体で生きているんです。
……うーん、やっぱり、それでいいのかも。そして、これこそがアドラー心理学のめざす理想の姿なのかもしれない、とも思いました。周囲の人々を勇気づけて共同体意識を育み、他人を思いやる気持ちを広げていく……すると、みんながどんどん幸せになれる……そんな良い循環が、自然に生まれていくのかもしれません。
この本は、読み終わった後は、家庭や職場の休憩スペースに何気なく置いておきましょう。そして周囲のみんなの「共同体意識」をひそかに育んでいきましょう。みんなで幸せになりましょう(笑)。
ぜひ読んでみてください。お勧めです☆
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向後さんは、他にも『幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉』、『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』などの本を出しています。
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別の作家の本ですが、『まんがで身につく アドラー 明日を変える心理学』、『マンガでわかる! アドラー心理学 折れない心の作り方』、『まんがと図解でわかる アドラー心理学式折れない心の作り方』、『まんがでわかるアドラー勇気の心理学―自分を変える!組織が変わる!』など、アドラー心理学を漫画で学べる本は、他にも多数あります。
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