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第1部 本
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モビリティー革命2030 自動車産業の破壊と創造(デロイト トーマツ コンサルティング)
『モビリティー革命2030 自動車産業の破壊と創造』2016/10/6
デロイト トーマツ コンサルティング (著)
(感想)
2030年に、自動車産業は大きな変化を遂げているだろう……「モビリティー革命」の到来を解説してくれる本です。
まず気温2℃上昇抑制の観点から、自動車メーカーはガソリン車の割合を大幅に減らし、次世代車に本格的にシフトすることが求められるそうです。そして自動運転車などクルマの知能化・IoT化が進むことや、Uberなどのシェアリングサービスが普及することによって、自動車産業は急激に変化していくのだとか。
この本は、これらの「モビリティー革命」によってもたらされる自動車産業の変化を予測すると同時に、どのように対処すべきかについての方向性も示唆してくれます。
個人的に興味を持っている「自動運転車」については、2030年時点で完全自動運転の実現に要するセンサーのコストは50万円を下らない見通しだそうです。一方、2014年にデロイトが行った日本の消費者調査に基づくと、自動運転車に50万円以上の追加コストを支払う意思がある消費者はたったの3.3%だったとか! 私だったら少なくとも50万円を少し超える程度までなら支払うと思いますが……。だって「運転手付」なんですよ? 車の外観や内装のグレードを落としても「自動運転車」の方がいいと思いますが……でも、多分すぐには飛び付かないとも思います。実用化状況を確認して、安心して使えると判断してから利用することにするでしょう。
いずれにせよ自動車の費用が高額化する一方で、シェアリングサービスも一般化していく……となると、やはり「自動運転車」を「共有」で利用する形態が一般化していくのかもしれません。
この本では、これらの状況から、「乗用車メーカーの利益が半減」「部品産業存亡の危機」「ディーラー数が7割減る」などの衝撃的な未来を予測しています。
しかも影響は、自動車製造販売産業だけではありません。
米保険業界団体の道路安全保険協会によると、自動ブレーキを搭載した乗用車の保険請求件数は14%減少し、また自動運転車の普及によって、現在の自動車事故全体の90%を減らせると試算されているそうです。これ自体はとても素晴らしいことだと思いますが、従来型保険市場は縮小し、修理業を含むカーディーラーやサービスショップの収益に悪影響を及ぼすことにもつながるそうです。
自動車ビジネスは、今まさに転換点を迎えつつある、といえそうです。
デロイトは、2030年に半自動運転(レベル2)が新車販売の約7%、完全自動運転(レベル3)が約1.2%を占めると予測しています(技術的・法的障壁はクリアされているという前提で)。今後、日本はますます高齢化社会になっていくので、このような自動運転化が進むのは嬉しいと単純に歓迎していましたが、自動車業界にとっては、今後、想像以上にいろんな影響を乗り越えていかなければならないようです。
今後の自動車業界を考える上で、とても参考になる本でした。ぜひ読んでみてください☆
なお、この本は将来の自動車産業の市場予測に重点があり、「自動運転」に関する技術的な情報はあまり詳しくありませんので、購入時にはご注意ください。
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別の作家の本ですが、『ASEANの自動車産業 (ERIA=TCERアジア経済統合叢書)』、『自動車産業の技術アウトソーシング戦略 現場視点によるアプローチ』など、自動車産業を考える上で参考になる本は多数あります。
なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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