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第1部 本
IT
ブロックチェーン・レボリューション(タプスコット)
『ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』2016/12/2
ドン・タプスコット (著), アレックス・タプスコット (著), 勝木 健太 (その他, 翻訳), & 1 その他
(感想)
世界経済に将来、最も大きなインパクトを与える技術としての「ブロックチェーン」を分かりやすく解説してくれる本です。
「ブロックチェーン」や「ビットコイン」の技術的解説というよりは、その理念や影響について、多数のキーマンや企業への取材によって明らかにしているので、一般の人にとっても理解しやすいと思います。
ブロックチェーン革命の核となる7つの原則として、著者は次のものを上げています。
1)信頼:嘘をつかないネットワーク
2)権力:力の集中から分散へ
3)インセンティブ:利己的な行動が全体の利益になる
4)セキュリティ:不正のできないプラットフォーム
5)プライバシー:個人情報のブラックボックス化
6)権利:スマートコントラクトによる明確と自動化
7)インクルージョン:格差を解消するデザイン
ブロックチェーンの決定権やインセンティブ構造のなかに不誠実な行動を排除するしくみが備わっていることや、ネットワークに中心がなく一か所の不具合で全体がダウンするような単一障害点が存在しないこと、そして、データは暗号で守られていて勝手に改ざんや否認ができないようにつくられていることや、相手を信用しなくてもデータを信用できるしくみが設計されていることなど、ブロックチェーンにはいくつもの利点があり、これを活用することで、今までのインターネットに足りなかった信頼のプロトコルを構築できると言うのです。
そしてブロックチェーンが既存の金融業界へ与える影響として、つぎの8つを上げています。
1)本人認証・取引認証
2)価値の移動
3)価値の保存
4)価値の貸し借り
5)価値の交換
6)資金調達・投資
7)リスクマネジメント
8)会計
さらにブロックチェーン的な考え方が、企業のマネジメントにも取り入れられるかもしれないとして、マネジメント科学にもとづく「ホラクラシー」というスタイルを紹介しています。このホラクラシーの基本方針には、「役職ではなく役割」「権限の委譲ではなく分散」「社内政治ではなく明確なルール」「大きな改編ではなく小さな改善の繰り返し」等があるのだとか。
この本では、ブロックチェーン技術が、金融だけでなく、さまざまな業種に及ぼす影響を幅広く考察しています。ブロックチェーン技術がもたらす未来を、かなり明るいものとして展望しているようですが、現実にこのように進むかどうかは未知数だと思います(汗)。なぜならブロックチェーンの代表とされるビットコインにも、技術的な問題が残されていますし、ブロックチェーンのコア開発者のコミュニティ内にいくつかの派閥が生まれて別々の方向性を主張し始めているなど、組織的な問題もあるようです(これらの問題の一部については、この本の中でも紹介されています)。
それでも「ブロックチェーン」技術(あるいは、その理念)は、将来、確実に私たちのインターネットに取り込まれていくことが予測できるので、今後も注目していきたいと思っています。
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タプスコットさんは、他にも『ウィキノミクス』、『マクロウィキノミクス』、『デジタルネイティブが世界を変える』などの本を出しています。そちらも、おすすめです☆
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別の作家の本ですが、『一冊でまるわかり 暗号通貨 2016~2017』などブロックチェーンや暗号通貨に関して参考になる本は、多数あります。
なお社会や脳科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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