ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第１部 本
ビジネス・仕事力向上
できる人の仕事のしかた（テンプラー）
『できる人の仕事のしかた』2012/12/26
リチャード・テンプラー (著)
（感想）
「世界のどこでも通用する世界標準の仕事のルール」を教えてくれる本です。
第1章に設定されているのが、「誰よりも成果を出すための14のルール」であるように、誰よりも早く「出世したい」と望んでいる人にとっては、とりわけ参考になるものが多いと思います。もちろん「出世はそこそこでいいや」と思っている人にも、参考になる話が満載です。
さて、この「仕事のルール」は、著者のテンプラーさんがライバルとの出世競争に敗れた時の出来事をきっかけに生まれたそうです。仕事の経歴で勝っていた自分ではなく、ライバルが昇進すると事前に予測していたコンサルタントが、その理由としてあげたことは、「歩き方がマネージャーらしくないこと」でした。この経験を通してテンプラーさんは、「仕事というのは、経験があり、実務能力が高いだけでは十分ではない」ことを発見したのです。
こうして「仕事のルール」をまとめていった成果が、この本として結実し、10章のカテゴリーで108のルールとなっています。それらのルールは、「控えめに約束し、約束以上の仕事をする」「仕事への情熱を労働時間で示さない」「努力を他人に見せない」「クールに適度な距離を保つ」「チームでの自分の役割を心得る」「うわさ話を広めない」「職場のしきたりには黙って従う」「幹部ともっと交流する」「重要人物を味方につける」「自分の情報を明かしすぎない」など、意外に普通のことばかり（汗）。
でも実際には「当たり前だけれど、なかなか実行できない、仕事で大切なこと」だけが集められています。自分に合っていると思うルールを、少しずつでも実行していくと、「仕事ができる人」と認められるだけでなく、周囲との関係も良くなっていくと思います。
著者のテンプラーさんはイギリスの会社に勤めていた方なので、日本の会社で実行するのは勇気がいるような内容もありましたが（汗）、どのルールも「実行したことで、かえって悪い結果になる」ものはないように思えました。内容（目次）は以下の通りです。
1章 誰よりも成果を出すための14のルール
2章 他人に好印象を与えるための9のルール
3章 目標を実現するための11のルール
4章 上手な話し方をするための10のルール
5章 自分の身を守るための13のルール
6章 周囲と調和するための11のルール
7章 昇進すべき人物と見なされるための11のルール
8章 外交能力を身につけるための9のルール
9章 組織の力学を活用するための10のルール
10章 ライバルに絶対負けないための10のルール
＊
個人的に特に参考になったのは、「8章 外交能力を身につけるための9のルール」。さすがは老獪なほどに外交上手のイギリス人だけあって、「世渡り上手」になる本物の秘訣が書いてあります。「対立の当事者に質問する」「中立の立場を貫く」「求められるまで、自分の意見は言わない」「なだめ役を務める」「絶対にカッとならない」「いじめにはアサーティブな態度で立ち向かう」などの９ルール。
例えば「対立の当事者に質問する」と、感情的になっていた当事者たちが「思考」せざるを得なくなり、結果的に、高まった場の緊張がほぐれるそうです。なるほど……。
その他にも「他人のミスから学ぶ」ためには、「困っている同僚を助ける」のが良いという話にも感心させられました。確かに、こうすると相手から感謝されるだけでなく、自分自身が同じ失敗をしてしまうのを防ぐことが出来るんですよね。……さすがです。
この本に書いてあるルールは、ごく一般的なものも多いですが、親戚のおじいちゃんが身内だけに教えてくれるようなものもあって、ハッとさせられます。例えば「ライバルを「替えのきかない存在」と思わせる（＝昇進させず、そのままの位置におかせる）」とか、「陰の権力者を味方にする」などの生々しいほど現実的なルールは、なかなか身内以外から教えてもらえないことのような……（汗）。ちなみに、「陰の権力者を味方にする」のは、「フェアではないし、気分が悪いのもよくわかる。しかし、もっといいシステムが開発されるまでは、今のシステムに従わなければならないのである」……だそうです（汗）。
知っておいて損はないルールが満載です。自分に合うと感じたルールだけでも、少しずつ実行していくと、同僚との関係を良好に保てるとか、仕事がもっと楽しく感じられるようになるなどの効果を期待できると思います。読んでみてください。
＊ ＊ ＊
テンプラーさんは、他にも『できる人の人生のルール』、『できる人の自分を超える方法』、『上司のルール』、『上手な愛し方』、『できる人のお金の増やし方』、『賢い人のシンプル節約術』などの本を出しています。
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