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第1部 本

描画技術

基礎から身につく はじめての人物デッサン(梁取文吾)

『基礎から身につく はじめての人物デッサン』2013/4/30
梁取文吾 (監修)


(感想)
 人物デッサンを基礎から学べる本です。身体のとらえ方から、さまざまなポーズの描き方まで、ポイントをわかりやすく解説してくれます。
 しかも『骨・筋肉の図版付き』。ページを開くと冒頭からいきなり「人体の基本構造」として医学書みたいな「骨」と「筋肉」の構造図が載っています。
 すごく参考になったのが、その次の「人体の基本構造とデッサン」。頭部、腕、体幹、脚のパーツごとに、人物のそのパーツの写真・骨・筋肉・デッサンの四種類を並べて見せてくれるので、実際に見える腕(写真)の中では、骨や筋肉がこんな形をしていて、それを意識してデッサンすると、このように描けるのだということが、本当に実感できます。各パーツのどこに注目して描くべきかについてのヒントも教えてもらえるので、すごく分かりやすかったです。
 さらに髪の毛や手と足の描き方など、さまざまな部分の描き方を詳しく教えてもらえます。例えば、「かかとと連動するふくらはぎ」というコラムでは、「かかとを上げると筋肉が連動して動くので、ふくらはぎも上がる」ということが写真で例示されていました。本当に「基礎から身につく」人物デッサンの教科書だと感心させられました。
 正直に言うと、人物デッサンはすごく苦手です(汗)。風景や静物デッサンは得意なのですが(笑)、人物デッサンにはある種の感情的葛藤が付きまとうのです(汗)。小中学校の時、「お互いに描きっこをしましょう」と隣同士の肖像画を描かされたことが何度もありましたが、そんな時、相手の顔をじっと見るのが苦手だっただけでなく、(変な顔に描いて、気を悪くされたらどうしよう……)という気弱な葛藤に悩まされ、結局、あまり似ていない平凡な顔ばかり描いてしまいました。もちろん今でも苦手のままなので、人物デッサンは出来る限り避けて通りたいと思っています。それでも、どうしても描かなければならない時には、文明の利器・デジタルカメラを活用します。描きたいポーズを写真にして、それをトレースするのです(笑)。こうすると熟視する対象は「写真」なので気まずさもなく、すでに二次元になっているので造詣も楽で、出来上がりもプロ並みに見えます(笑)。
 ……という「小狡い方法」を使ってしまう人にとっても、この本はすごく参考になります。なぜなら「骨や筋肉」のことまで考えて描くと、単なる輪郭のトレースに終わらずに、筋肉の盛り上がりによる「陰影」をつけること出来るので、よりリアルに描けるからです。
 すごくお勧めの本なのですが、気になることが一つ。人体を描くために裸の人体の写真があるのですが、男性の写真は全部下着をつけているのに、なぜか女性の写真だけつけていないんです。違和感と不平等感があるので、改版する機会があるなら男女とも同じように裸にするか、背中側だけ裸にして、男女とも下着をつけさせるように変更して欲しいと思います。
 それはともかく、人物デッサンとして、すごく参考になる本でした。描画技術を向上させたいと思っている方は、ぜひ一読してみてください。お勧めです☆
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 別の作家の本ですが、『人物デッサン攻略77のポイント』、『人物クロッキーの基本 早描き10分・5分・2分・1分』、『人物デッサンの基本』、『人体のデッサン技法』、『やさしい人物画』、『人物デッサンのすべて―顔・肉体・服のシワ』、『どうすれば上達するかがよくわかる! 人物デッサン』など、人物デッサン力を向上させるのに役に立つ本は多数あります。

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