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第1部 本

自己啓発・精神力

世界のエリートの「失敗力」(佐藤智恵)

『世界のエリートの「失敗力」』2014/1/18
佐藤 智恵 (著)


(感想)
 トップクラスの経営大学院の授業と、世界で活躍する12名の日本人エリートの実例から、身につけるべき「失敗力」の実情を考えさせてくれる本です。
 日本では、「失敗すること=避けるべき恥ずかしいこと」という風潮があるように感じていますが、世界最高峰の組織では、どんなことに挑戦し、失敗から何を学んできたかが、人事評価の重要な要素となるそうです。
 この本の前半では、ハーバード大学とスタンフォード大学の経営大学院が「失敗」をどのように教えているかを詳しく紹介してくれます。失敗の方が成功よりも、さまざまなことを効率よく学べるという面もありますが、優秀な学生は失敗をしたことがあまりないので、講義を通して学生たちに「失敗」を体験させるという目的もあるようです。これらの授業では、教授が正しい解決法を教えてくれることはなく、失敗の実例ケースによって失敗を疑似体験し、ディスカッションによって失敗の立ち直り方やリーダーシップを自覚していく、それがハーバード流の失敗力の鍛え方だそうです。
 後半では、世界で活躍する12名の日本人エリート(会社の名前と実名)の失敗の実例を教えてくれるのですが、顧客の目の前で自社のパートナーから、「このプレゼンはマッキンゼーのクオリティではありません。申し訳ありません。持ち帰ってやり直します」と言われてしまったなどの、失敗の赤裸々な状況までが明かされます。その他、ゴールドマン・サックスやグーグルなどの外資系企業の他、トヨタ自動車や三井物産などの世界で活躍する日本の企業の実例もあります。
 これは凄いことだと思います。なぜなら大企業の失敗には、大変なお金がかかっている(多額の損失金を出している)ので、失敗を隠すことには、「恥ずかしいから隠す」だけではなく、「ライバル企業にタダでは教えてあげない」という実利もあるはずだと思いますので……(汗)。本当にありがたいことです。
 失敗力とは、失敗から学び、自分の成長に活かす力……世界で活躍しているエリートたちの「失敗力」の凄さを実感します。
 最後に、この本を読んでとても心に残った、アメリカのコラムニストのシドニー・ハリスさんの言葉を紹介させていただきます。
「挑戦してうまくいかなかったときの後悔は、時が経てば薄れていく。一生消えることがないのは、挑戦しなかったことへの後悔だ」
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 佐藤さんは、他にも『ハーバードでいちばん人気の国・日本』、『ハーバードはなぜ仕事術を教えないのか』、『世界最高MBAの授業』、『ハーバード合格基準』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『巨大な夢をかなえる方法 世界を変えた12人の卒業式スピーチ』、『人と企業はどこで間違えるのか?---成功と失敗の本質を探る「10の物語」』、『合理的なのに愚かな戦略』など、自己啓発の参考になる本は、多数あります。

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