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第1部 本
教育(学習)読書
超一流になるのは才能か努力か?(エリクソン)
『超一流になるのは才能か努力か?』2016/7/29
アンダース エリクソン (著), ロバート プール (著), Anders Ericsson (原著), & 2 その他
(感想)
チェス、バイオリン、テニス、数学……世界中のトッププレーヤーたちを30年以上にわたって科学的に研究した結果、導き出された「超一流」への鉄則を教えてくれる本です。
『超一流になるのは才能か努力か?』というタイトルを見た時、すぐに思ったのは、(どうせ「どっちも」なんでしょ)ということ……でも読んでみたら……違いました! 超一流になるのは、才能ではないんです! なんと! 世界の天才たちを30年以上に渡って研究して分かったことは、「生まれながらの天才など、いない」ということだったのです!
嬉しくなってしまいました(笑)。
すると大事なのは「努力」なのか? ……確かに「才能よりは努力」なのですが、エリクソンさんたちは、ただの努力ではダメだと言います。「努力しつづけなさい、そうすれば目標を達成できるよ」というのは間違っているのだそうです。「正しい訓練を、十分な期間にわたって継続することが向上につながるのだ。それに尽きる。」のだとか。
そして超一流になるための効果的な方法として、「限界的練習」を教えてくれるのです☆ それは簡単に言うと「自分の能力を少しだけ超える負荷をかけつづける」こと。その他にも「超一流になる鉄則」として、次のようなことを教えてくれます。
鉄則1:自分の能力を少しだけ超える負荷をかけつづける
鉄則2:「これで十分」の範囲にとどまっていると、一度身につけたスキルは落ちていく
鉄則3:グループではなく、一人で没頭する時間を確保する
鉄則4:自分の弱点を特定し、それを克服するための課題を徹底的に繰り返す
鉄則5:練習を「楽しい」と感じていては、トッププレーヤーにはなれない
鉄則6:これ以上集中できないと思った時点で練習や勉強はうちきる
鉄則7:上達が頭打ちになったときは、取り組むメニューを少しだけ変えてみる
鉄則8:即座にフィードバックを得ることで、学習の速度は劇的に上がる
鉄則9:オンの時間とオフの時間をはっきり分け、一日のスケジュールを組む
鉄則10:どんな能力も生まれつきの才能ではなく、学習の質と量で決まる
*
これらの鉄則は、この本の中のほんの一部です。これ以外にも参考になることがたくさん書いてあるので、ぜひこの本全部を読んでみて欲しいと思います。
さて、効果的な学習法として、これらの具体的なやり方を教えてもらえて、すごく参考になりましたが、一番心に残ったのは、やっぱり「生まれながらの天才はいない」ということ。わずか11歳で協奏曲を書き、生まれながらの天才の代表選手のようなモーツアルトですら、初期の作曲は、他人の作品の焼き直しだったことが分かっているそうです。生得的才能と思われてきた「絶対音感」も、トレーニングで後天的に身につけることが出来たとか。さらに「成功したチェスプレーヤーでもIQとチェスの能力に何の相関もみられない」ということも研究で明らかにされます。
でも子どもの頃、IQが高そうな頭のいい子は、何をするにも習得が速かったような……と思ってしまいましたが、それは確かなことのようです。「最初はIQの高い子どものほうが多少は楽に能力を伸ばしていく。」とエリクソンさんたちも認めています。でも「長期的に勝利するのは、知能など何らかの才能に恵まれて優位なスタートを切った者ではなく、より多く練習した者である。」のです☆
なーんだ、そうだったんだ……だったらもっと頑張るんだったかな、と反省しましたが(汗)、「超一流」になるための「限界的練習」は簡単なものではありません。それどころか、けっこう大変なのです。なにしろ「練習を「楽しい」と感じていては、トッププレーヤーにはなれない」のですから(汗、汗)。
それでも「超一流」になるのは「才能」ではなく、「何かをしようと努力し、失敗し、やり方を見直し、再び挑戦するという作業を繰り返して心的イメージを構築していく」力なのだと、実例をあげて教えてもらえたことは、すごく励みになりました。
Iotや人工知能など、私たちを取り巻く環境は激変しています。これからを生きる私たちは、エリクソンさんたちが言うように、「おそらく現役時代に2~3回は仕事を変えることを覚悟しておかなければならない。」のでしょう。それに対応するために、生涯、学び続けていかなければならないのだと思います。さすがにこれから「超一流」になろうとは思いませんが(汗)、どんなに老いたとしても、新しい技術を「覚えられる」と信じて努力したいと思います、次の言葉を信じて。
「自分の可能性は、自分で切り拓いていけるのだ」
* * *
別の作家の本ですが、『成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール』、『究極の鍛錬』、『元祖プロ・コーチが教える 育てる技術』など、教育や自己啓発の参考になる本は多数あります。
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