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第1部 本
教育(学習)読書
君たちはどう生きるか(吉野源三郎)
『君たちはどう生きるか』2011/8/6
吉野源三郎 (著)
(感想)
中学二年生のコペル君が、友人や親との交流を通して精神的成長をしていく物語です。
コペル君はおじさんと銀座のデパートの屋上に行ったとき、眼下にいきかう人々を見て、「人間て、水の分子みたいだ」と思いました。おじさんはそんなコペル君に、「君が広い世の中の一分子として自分を見たということは、けっして小さな発見ではない」ということをノートに書いて伝えてくれます。
……コペル君は、本当に恵まれているなと思いました。コペル君のお父さんは二年前に亡くなってしまっているのですが、深い愛情をもって育ててくれるお母さんと、コペル君にいろんなことを教えてくれる素敵なおじさんが、いるのですから。
この本は1937年(!)に発行された古い本ですが、いま読んでも、心に響く素晴らしい教えをたくさん見つけることが出来ます。
身なりが貧しくて性格もおとなしいため、学校で「いじめ」を受けている浦川君。そのいじめられている様子がすごくリアルで、昔も今も子どものいじめは変わらないんだな……と複雑な思いを抱いてしまいました。
そしてコペル君の友達たち。頑固なところがあるけど勇敢な北見君、お金持ちの美少年の水谷君……かれらとのユーモラスな交流を通して、コペル君はしだいに精神的成長をとげていくのです。
ところがある雪の日の出来事で、彼らの友情に深刻な危機が……ここではコペル君の意外な弱さが露呈してしまいます。コペル君の心の苦しみや悲しみが手にとるように分かって、読んでいて、とても辛かった。でも、この時のおじさんとお母さんの態度は、すごく感動的です。
最期に、おじさんのノートから、その一部分を抜粋させていただきます。
「人間であるかぎり、あやまちは、だれにだってある。そして良心がしびれてしまわない以上、あやまちを犯したという意識は、ぼくたちに苦しい思いをなめさせずにはいない。しかし、コペル君、おたがいに、この苦しい思いの中から、いつもあらたな自信をくみだしていこうではないか、……正しい道にしたがって歩いていく力があるから、こんな苦しみもなめるのだ、と。」
* * *
この本には、漫画版の『漫画 君たちはどう生きるか』もあります。
また、この本は、山本有三さんの編纂した『日本少国民文庫』の最後の配本だったそうです。最初の配本(第一回)は、山本有三さんの『心に太陽を持て』で、これも素晴らしい本です。
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