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第1部 本

防犯防災&アウトドア

防災

新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている(山村武彦)

『新・人は皆「自分だけは死なない」と思っている 』2015/4/3
山村 武彦 (著)


(感想)
 地震や火事などの緊急事態における人間の行動と心理を解明し、地震の時にどう行動すべきかを教えてくれる本です。
「人は皆「自分だけは死なない」と思っている」とか(汗……私もです)。日本人は、地震列島に住んでいて、防災意識は比較的高い方なのかもしれないのですが、「小さい地震が頻繁に起きる」ことは、むしろ防災意識を低くさせてしまう危険性もあるようです。「地震慣れ」が、「あの時も大丈夫だったから、今度も大したことはない」と思うことにつながるから……。
 この本では、東日本大震災・阪神・中越・スマトラ沖など数々の災害現場を見た山村さんが、災害時の心理を具体的に解説してくれます。「懐中電灯」「軍手」「水」「長期保存食料」などを防災袋に準備することも大切ですが、この本を読んで、防災心理と、災害時に取るべき行動も学んでおきたいと思いました。
 なかでも参考になったのが、「大勢でいるほど避難が遅れる傾向があること(集団同調性バイアス)」を明らかにした実験の話。火災報知器が鳴って煙が充満する実験では、部屋に一人でいた学生は全員がすぐに行動、二人でいた学生は一組だけが行動、それに対して、集団でいた学生は3分の間何もしなかったそうで……あー、自分もそうなるかも、と思ってしまいました。火災報知器が鳴っても、周りの人が誰も立ち上がらなかったら、煙が見える・臭いがするなどの具体的な危険のサインがあるまで、そのまま座っていそうな気がします(汗)。
 また、判断がつかなかったのは、「エキスパート・エラー」の話。2003年の韓国の地下鉄火災では、「小さな事故なので、少しの間お待ちください」という放送を信じて、多数の乗客が死亡したそうですが……、放送を信じずに逃げ出して、本当に危険に巻き込まれる可能性も高いと思うので、どちらの判断が正しいとは言えないのではないかと思いました。
 さらに、自分が防災担当だったら、ぜひ参考にしたいと思ったのが、「パニックは簡単には起こらない」という話で、「パニックを恐れた情報隠しの方がむしろ危険」という教訓について、よく考えたいと感じました。
 この本は、このように災害時の人間の心理や行動を具体的に教えてくれるので、とても参考になると思います。特に、本の終りの方では、『災害時!とるべき行動』について、「専門家が大丈夫と言っても、危険を感じたら逃げる」などの一般的な心得の他、「車に乗っている時に地震に遭ったら」などケース別の具体的な行動も教えてくれます。
 また「水・食料の備蓄は3日分あればいいと考える人が多い」などの『知っておきたい心の防災袋』に関する記述もあります(最低でも7日分備蓄しておくべきだそうです)。
 最後に、この本にあった「防災常識の三大ウソ」を知っておくことは、とても重要だと思ったので、以下に少し詳しく紹介させていただきます。
・「地震!机の下にもぐれ」は間違い。(家の倒壊時には机も壊れます。机の下にもぐると、かえって危機回避対応が遅れるそうです)
・「避難所に必ず非難する」は間違い。(災害時に身の安全が確認できた元気な人は、その場にとどまって消火活動するなど、被害を最小限にすべく闘うべきだそうです)
・「停電の時は非常用ローソク」は間違い。(ガス漏れなどの可能性があるので、特に地震直後は絶対に火を使っていけないそうです)
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 さて、私は地震国の日本に住んでいるというのに、うっかり戸棚の上などに物を置いて暮らしています(汗)。防災袋は用意しているので、防災意識が低い方ではないと思ってはいるのですが……。「まず突破しなくてはならない防災の壁は、「まだ大丈夫」という先送りの心」だそうです。普段から、「家の中の物を減らす」「食料などを備蓄する」ことを心がけたい……と思います(汗)。
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 山村さんは、他にも『もしものときに役立つ わが家の防災ハンドブック』、『スマート防災―災害から命を守る準備と行動』、『みんなの防災事典』などの本を出しています。

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