ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
脳&心理&人工知能
フューチャー・オブ・マインド(ミチオ・カク)
『フューチャー・オブ・マインド―心の未来を科学する』 2015/2/20
ミチオ・カク (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
(感想)
テレパシー・記憶の増強・AI……まるでSFが現実になったみたいな話が満載! 「心」をめぐる科学の最前線と驚愕の未来図について、理論物理学者のカクさんが語ってくれます☆
MRI(磁気共鳴画像法)や脳スキャナーの登場で神経科学が飛躍的に進んで、脳のことが明らかになってきつつあることは知っていたのですが……こんなところまで来ているとは知らなかった(汗)……この本には、一見するとトンデモ科学としか見えないのに、すでにその一部が現実化している研究がたくさん掲載されています。
例えば「光遺伝学」。魔法の杖のように、これを利用して、脳に光線を当てることで、行動をコントロールできる経路を、活性化できるようになるそうです(!)。
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「信じられないかもしれないが、細胞を活性化する光感受性のタンパク質を、遺伝子操作の手法によってきわめて高い精度でニューロンに導入することができる。そのタンパク質に光線を当てると、ニューロンが活性化されるのだ。それどころか、これによって脳神経の経路を刺激させられるので、スイッチを切り替えることでなんらかの行動のオン・オフができるようになる」
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すでにこの手法を利用して、ショウジョウバエやイモムシ、マウスの行動をコントロールすることに成功しているそうです……ちょっと怖いですね……。
その他にも「透明な脳(脳を透明にして神経経路が肉眼で見えるようにする)」という新技術の研究でも、マウスの脳をまるごと透明することができたとか……まるでSFアニメみたいです。
このようにSFとしか思えないような驚きの新技術が紹介されていますが、これが現代(2015年)の脳科学最前線、現実の科学研究なのです。科学者は電磁気の力を借りて、人々の思考を探り、テレパシーのようにメッセージを送り、念力のように周囲のものをコントロールし、記憶を記録し、場合によっては知能を高めることも出来る……興味深い記述があまりにも多すぎて、読みながら、わくわく・はらはら・どきどきが止まりません。ちなみに、誰かが離れた場所から思考を読もうとしてきても、それを防ぐ手段もあるそうです。それは電気が金属カゴの周りに散らばる性質を利用する方法で、テレパシーのシールドは頭のまわりに薄い金属箔を巻きつければOKとか……すごく見た目がアレ(マッド・サイエンティスト風)ですね。将来的には、帽子やVR等のヘッドセットに、この機能が組み込まれるかも(笑)。
脳研究に関する、すごく理論的な解説とともに、脳科学を題材にした映画や文学(例えば、映画『マトリックス』、『サロゲート』、『アバター』等)についても言及しているので、興味をそそられて、どんどん読み進んでしまいます。
もちろん「人工知能」についても解説されていますが、どちらかというとメインは「人間の脳研究」に関するもので、意外にも人工知能やロボットに関する解説はそれほど多くはありません。
コンピュータで記憶や技能をダウンロード、作り物の記憶の脳への挿入、夢の撮影、脳自体のリバースエンジニアリングによる意識の転送、肉体を超越した脳……未来の脳科学研究はどのように進んでいくのでしょうか?
すでにアメリカでは脳の電気的経路をマッピングする「BRAINイニシアチブ」が、ヨーロッパではコンピュータで人間の脳をシミュレートする「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト」が動き始めています。
見えない電磁気の力に操られたくはないなあ……と不気味に感じる面もありましたが、認知症などの精神疾患の治療への応用には大いに期待したいとも感じます。
「意識」や「脳」に興味のある方だけでなく、SF好きの方にとっても、すごく面白い上に、脳科学の最前線を知ることのできる本だと思います。ぜひ読んでみて下さい☆
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カクさんは、他にも『サイエンス・インポッシブル―SF世界は実現可能か』、『パラレルワールド―11次元の宇宙から超空間へ』などの本を出しています。
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別の作家の本ですが、『メカ屋のための脳科学入門-脳をリバースエンジニアリングする』、『脳と心の秘密がわかる本』など、脳科学関連の本は多数あります。
なお脳科学やIT関連の本は、変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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