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第1部 本

ビジネス・仕事力向上

デザイン思考が世界を変える

『デザイン思考が世界を変える―イノベーションを導く新しい考え方』2014/5/10
ティム ブラウン (著), Tim Brown (原著), 千葉 敏生 (翻訳)


(感想)
 イノベーションで有名なIDEO社のCEOが、現代におけるデザインとイノベーションの必要性や、組織を蘇らせる方法を明かしてくれる本です。
 IDEOについては、あまり知らなかったのですが(汗)、アップルのマウスなどの画期的なプロダクトを手掛けてきたデザイン・ファームだそうです。
 さて、「デザイン思考」とは、人々が気づいていないニーズを探り出し、飛躍的な発想で生活を豊かにすることを目指す考え方で、ブラウンさんは、これを研究・開発部門だけでなく全社的に浸透させれば、組織は持続的にイノベーションを生み出すことができると言います。
 残念ながら、この本は、読むだけで「デザイン思考」がすぐに身に付くようなハウツー本ではありません。それはデザインというもの自体が、インスピレーション(着想)やアイディエーション(発案)などの実体不明なものを含んでいるからだと思います。
 でも、この本全体を読み進めていくと、「より良いデザイン」を生む方法については、ある程度つかめそうな気がします。
 たとえば、成功するデザイン・プログラムには、互いに相乗効果を持つ三つの要素(「インサイト(洞察)」、「オブザベーション(観察)」、「エンパシー(共感)」)があるといいます。
 まず「洞察」では、現場で実際の行動を観察することで、満たされていないニーズを明らかにすることから始めます。そして「観察」では、人々のしないことや、言わないことにまで目を向けようとします。たとえばマニアの人のやることや、本来の製品のターゲット・ユーザー以外の人の製品の使い方などを観察して、ヒントを得ようというわけです。 最後に「共感」では、実際に自分自身がその現場を体験してみることで、観察対象の人々とつながろうとすることです。
 すなわち、デザイン思考の方法を使うことで、観察から洞察を得て、洞察から実際の生活に役立つ製品やサービスを生み出していくことが出来るのです。
「デザイン思考」とは、製品のスタイリッシュな外観を創り上げることではなく、製品やサービス全体を通して、より快適に役に立つものを生み出していくことにあるのだと思います。
 この本では、上に紹介した「成功するデザイン・プログラムの三つの要素」以外にも、多くの事例が紹介されています。数多くの示唆に富む内容がありますので、この本から、製品やサービスのデザインや改良の方法、組織の改善方法などについて、さまざまなヒントが得られるのではないかと思います☆
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 デザイン・ファームIDEO関連の本には、他にも『発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』などの本があります。
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 別の作家の本ですが、『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』、『システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」』など、デザイン思考の本は、他にも多数あります。

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