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第1部 本

ビジネス・管理&人事

問題解決の思考技術―できる管理職の条件

『問題解決の思考技術―できる管理職の条件 (日経ビジネス人文庫)』2001/3
飯久保 広嗣 (著)


(感想)
 問題解決の思考技術を教えてくれる本です。
 いまどきの管理職に何より要求されるのは、直面する問題を自らの判断で的確迅速に解決できることだと思います。
 問題解決には二つのアプローチがあり、その一つは「非分析的アプローチ」、過去の例や体験を参考に人間的な知恵を主にして状況に従って適宜に対応するやり方で、力関係で強引な結論に持っていくなどの方法もこのアプローチの一つです。人間がらみの問題は、この日本的方法とも言えるような「非分析的アプローチ」を使ったほうが効率的で有効だそうですが、この本は、もう一つの思考技術で対応する「分析的アプローチ」を主に教えてくれます。
「分析的アプローチ」では、問題解決を4つの領域で考えます。その4つとは、「状況分析」、「原因分析」、「意思決定分析」、「リスク分析」で、この本の中で、それぞれ、どのような手順で実行していくのかについて解説してくれます。
 とても参考になったのが、「さばく質問」という考え方。
 質問には、「こなす質問」と「さばく質問」があり、「こなす質問」は「知識そのものを得るための質問」だそうですが、「さばく質問」は、「目標にそって論理的プロセスを進めるためにする質問」なのだそうです。
 ある商品が売れていないという問題に対処する場合、「こなす質問」としては、「その製品の特長は?」などがあげられますが、「さばく質問」ならば、「その製品と類似のもので、売れているのはないのか?」「売れた時期は?」になるそうです。(なるほど……)
 そして「こなす管理職」が、自分の専門知識や過去の経験から問題を解決する一方で、「さばく管理職」は、自分の専門領域以外の問題でも適切に処理できるのだとか……。
 うーん……出来るだろうか(汗)と不安になりましたが、この本では、ビジネス現場での5つのケーススタディがあるので、自分ならどうするかを具体的に考えやすいと思います。
 また、管理職として言ってはならない禁句も紹介してくれるのですが、それは、「情報収集せよ」「状況を説明せよ」「きみはこの結果をどう受け止めるのか」「この案には賛成できないのか」「だいじょうぶかね」「問題はないね」など、けっこうよく聞くような質問でした(汗)。だた、部下の立場でこの質問をされたなら、やっぱり少し困惑してしまいそうです(汗、汗)。これらの質問は、質問が具体的でなくて何をしたらいいのか分からない、のだとか。しかも期待される答え(大丈夫です)がすぐに思いつくので、もともと「質問の形はしているが、実は質問ではない文章」なのだそうです……。
 残念ながら、この禁句をどのように言い換えるべきかについての明確な教えはないものもありましたが、それは「自分で考える」べきなのでしょう(汗)。
 技法を教えてくれるだけでなく、さまざまなことを考えさせてくれるので、問題解決技術を向上させるのに役に立つ本だと思います。
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 飯久保さんは、他にも『問題解決力―仕事の鬼ほど失敗ばかりする理由』、『質問力―論理的に「考える」ためのトレーニング』などの本を出しています。

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