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第1部 本

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続・あしながおじさん

『あしながおじさん (続) 』1961/8/8
ジーン ウェブスター (著), Jean Webster (原著)


(感想)
『あしながおじさん』の続編ですが、今度の主人公は、ジュディの友人のサリー。若くて美しい彼女が、孤児院の院長として奮闘するお話です(若い女性らしいロマンスもあります)。
 前作と同じく、手紙形式でお話が進んでいく、とても楽しいお話で……というか、理想的な家庭でのびのび育ったサリーが主人公なので、前作以上にパワーアップしたお話だと思います☆ またジュディのその後の生活も、垣間見ることが出来ます☆
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 ストーリーは、「あしながおじさん」と結婚したジュディ(ジルーシャ)が、夫からクリスマスに、彼女が育ったジョン・グリア孤児院を、理想的に改造するための莫大な資金を贈られたことから始まります(なんという素敵なプレゼント☆)
 そこでジュディは、大学時代の親友のサリーに、新院長になってくれるようにお願いしました。それで仕方なく(?)新任院長として赴任したサリーが、毎日の出来事をジュディに手紙で書き送っていくことになるのです。
 でも、なにしろ「理想とはかけはなれた」孤児院なので、新任のサリーには驚くことばかり。こんな世界があったことを、彼女は初めて知ったのでした。
 毎日のように騒動が起こる中、サリーはとにかく奮闘します。孤児院の子どもたちがお金を使ったことがないことを知って、村のお店にお願いに行き、子どもたち自身が孤児院のお金を使って店で買い物できるように交渉したり、孤児院を改築する時には、外へ働きに出た孤児たちが戻ってこられる場所を作るために(!)客室を作りたいと考えたり、と、孤児たちを単純に養うのではなく、のびのび育てようと、一生懸命心を尽くすのです。
 素直な彼女は、まわりの人にも協力を求め、色々なことを教えてもらいます。例えば、最初の評議員会での演説の前には、若き政治家に、「いかに聴衆を惹きつけるか」の教えを受けます。それは「面白おかしくすべし」「話題は具体的、かつ聴衆の知能の程度に適応させるべし」「聴衆を得意がらせるべし」「高度の道徳に哀愁を加味すべし」だそうで……これ、今でも、プレゼンテーションに役立ちそうな教えだと思いませんか?
 それはともかく、孤軍奮闘するサリーを、ジュディはあまり助けてくれなくて、ちょっと薄情なような気もしました(汗)が、サリーの誠実な性格を知り尽くしているジュディだからこその策略だったのでしょう。楽天的な性格のサリーが苦労に潰れるはずはありませんし、院長として頑張っているうちに、孤児たちに情が移って辞められなくなるはずだと……。
 前回の『あしながおじさん』では、サリーに自分が孤児だったことを打ち明けなかったジュディですが、どうやらこの依頼をするにあたって打ち明けていたようで、ホッとしました(でも……そんな打ち明け話をされたら、ますます孤児院の院長を引き受けないわけにいかないですよね、サリーの性格からしたら)。
 それに、ジュディには孤児院への感情が強く残っていると思われるので、頻繁にここを訪れると、自分ではそのつもりがなくても、サリーの邪魔をしてしまうかもしれません。それを避けるためにも、サリーに完全に任せ切ってしまったのは賢明だったと思います。
 ところで、この物語では、サリーの素晴らしさが、とにかく際立っています。あのジュディの親友だけあって、かなり悲惨な境遇にもかかわらず、手紙は最初からユーモアに溢れています。(あしながおじさんと文通(?)していたのは、ジュディだけで良かったね。サリーも文通していたら……あしながおじさんのハートを射止めたのは、サリーだったかも)と密かに思ってしまうほど、無敵な人なのです☆(友達にして欲しいほどです。)
 自分のことを「孤児院のようなところで働くにはちょうどいい程度に無知で楽天家だ」とか、「ここでは毎日とても新しいことをたくさんおぼえますので、毎週土曜日の晩に前の土曜日のサリーを、彼女がどんなに無知であったかに呆れるのです」なんて言うのです☆ 素敵な人すぎます……。
 それに、たまにはピクニックで気晴らししたり、友人たちに協力を求めたりと、頑張り過ぎないところも、彼女の魅力の一つです。
 物語の終り頃、孤児院はたいへんな試練に見舞われますが、村人たちがみんな、とても親切に助けてくれたのも、彼女が院長として頑張ってきたからなのだと思いました。
 爽やかで、元気になれる、とても素敵なお話です☆
 なお、この物語だけでも、たぶん楽しめるとは思いますが、「続編」なので、『あしながおじさん』を読んでからの方が、いっそう楽しめることは間違いありません。
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 ウェブスターさんの『あしながおじさん』に関する記事もごらんください。
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『あしながおじさん(Daddy-Long-Legs)』と『続・あしながおじさん(Dear Enemy)』の両方が収録された『Daddy-Long-Legs and Dear Enemy (Penguin Classics)(英語)』という洋書もあります。

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