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第1部 本

 IT

仮想通貨革命

『仮想通貨革命---ビットコインは始まりにすぎない』2014/6/6
野口 悠紀雄 (著)


(感想)
 ビットコインをはじめとする「仮想通貨」が、世界で注目を集めています。いま、起こり始めている通貨革命のインパクトと現代の通貨の問題点、そして通貨革命によって経済・社会がどう変わっていくのかを解説してくれる本です。
 正直言って、ビットコインに関しては「うさんくさい」としか感じていませんでした(汗)。そして2014年2月に起こったマウントゴックスの破綻のニュースで、「やっぱりね」と、そのうさんくささを確信してしまいました。そもそも「マイニング(金の採掘)」行為などで供給総量が増えるという通貨に信頼性など感じられるものか、と……。ビットコインの将来は危うい、手を出してはならない、と思っていたのです。
 でも、この本を読んで、その確信が揺らいだどころか、今後は「仮想通貨」との関わりを避けて通れないのだろう、とまで感じるようになりました。事実、マウントゴックスの破綻の後でも、ビットコインは衰えていません。マウントゴックスは、ビットコインの一両替所に過ぎなかったからです。また、この本の解説で「マイニング」の仕組みを知り、作業の正当な報酬としてビットコインを受け取っていたのだということも理解も出来ました。ビットコインは、意外にもかなり健全な「仮想通貨」のようです。
 ただ、ビットコインを手放しで受け入れる気持ちには、正直言って、まだなれません。ビットコインは、その取引を特定の個人や組織に関連づけるのが難しいので、社会的に認められない裏取引に利用されかねないと思うからです。
 それでも利便性は大きいので、eコマース決済や国際送金の時には利用したくなるかもしれないとも思います(汗)。
 おそらくビットコインのような「仮想通貨」は、今後、いっそう利用が促進されていくことでしょう。
 この本では、経済の専門家の野口悠紀雄さんが、「仮想通貨」の種類や技術の概要、歴史、現状、一般通貨との比較と問題点、将来展望など、「仮想通貨」について、総合的・網羅的に、とても分かりやすく解説してくれています。この本を読んで、そもそも通貨とはどういうものだったのか、その本質についてまで深く考えさせられました。現在では、普通の「通貨」も情報に過ぎず、金と兌換できるなどの実質的な裏付けがないので、「仮想通貨」とあまり変わらないのかもしれません……。
 今後の「仮想通貨」がどうなるのかは、まだ分かりませんが、希望を言わせてもらえば、「誰がどんな取引をしたかの履歴」が残り、取引実績を保証して、盗難時には補償もしてくれる機関があると良いなと思います。
 そして自衛のために、少なくとも当面は、「仮想通貨」の保有は可能な限り短時間にして、決済の手段としてだけ利用することにしようと思いました(貯蓄には利用したくありません)。
「仮想通貨」は、将来、すべての人が利用することになるかも知れません。「仮想通貨」革命がもしも起こるとしたら、その影響力はとても大きいと思います。「仮想通貨」の仕組みや問題点などの知識を身につけて、近い将来の「仮想通貨革命」に備えたいと思います。ぜひ一度、読んでみてください。
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 野口さんの他の本、『世界史を創ったビジネスモデル』、『仮想通貨革命で働き方が変わる』、『AI入門講座 人工知能の可能性・限界・脅威を知る』、『ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現』、『データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か』に関する記事もごらんください。
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 野口さんは、他にも『1500万人の働き手が消える2040年問題--労働力減少と財政破綻で日本は崩壊する』、『「超」整理法―情報検索と発想の新システム』などの本を出しています。
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 別の作家の本ですが、『決済インフラ入門』は、フィンテック、電子マネー、ビットコイン、仮想通貨、日銀ネット、全銀システム、ATM、SWIFTなど、決済に関する基礎がすべて網羅された本で、金融の基礎を知りたい方に、すごく参考になります。金融の用語辞典としても使える本だと思います。

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