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第1部 本

文学(絵本・児童文学・小説)

絵本・児童書(海外)

宝島

『宝島』1951/4/3
スティーヴンソン (著), 佐々木 直次郎 (著), 稲沢 秀夫 (著), & 1 その他


(感想)
 血湧き肉躍る王道の少年冒険小説です☆ 1883年に出版された古い物語ですが、今でもじゅうぶん読み応えがあります。
 物語は、海辺のさびれた宿屋に、顔に刀傷がある謎の老船乗りが、大きな箱を抱えて現れるところから始まります。この老船乗りはなぜか「片足の男」にひどく脅えていて、主人公のホーキンズ少年に「現れたらすぐに知らせろ」と言いつけます。
 この男は、怪しい盲人が訪ねてきた直後に、宿賃や食事代を未払いのまま卒中で死んでしまうのですが、ホーキンズ少年と彼の母親は、代金を回収するために、宿屋に賊が襲ってくると知りつつも危険を冒して彼の残した箱をあわただしく探り、宿賃とその不足分として油布の包みを持ち去ります。
 でも実は、その包みこそが、賊の真の狙いだったのです。包の中には、海賊が盗んだ財宝を隠した宝島の地図が入っていたのでした……。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
 もう冒頭からスリリングな展開の連続に、目が釘付けになります☆。
 こうしてホーキンズ少年は、地元の郷士のトレローニとリヴシー医師とともに、帆船で財宝を探しに行くことになるのですが、このリヴシー医師がただものではありません。めったにいないほどの「立派な大人」そのものです(笑)。味方側は紳士だらけ(言葉づかいも丁寧です)、敵側はごろつきばかり(言葉づかいも乱暴)という、分かりやすい陣営での冒険の旅が始まります(もっとも敵側は、最初は、猫をかぶっていますが……)。このあたりが、この小説が、「伝統的には教養小説として捉えられている」と言われる所以でしょう。
 でも、「教養小説」などという、つまらない(汗)ジャンルの作品には到底思えません。
 船長や医師たちの高潔さと芯の通った頼もしさ、ホーキンズ少年の機転と勇気、対する海賊たちの低能な悪辣さ、知恵ある悪党シルバーの二枚舌……はらはらする展開に手に汗握り、苦闘の末に宝島を去っていく彼らに思わず拍手喝采してしまいます。
 もちろんこの有名な本は、子供の頃にすでに一度読んだことがあったのですが、紹介のために読み直しても、やっぱり楽しめました。何度読んでも楽しくて、さまざまな教訓も得られる素晴らしい少年小説です☆
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 スティーヴンスンさんの他の本、『ジーキル博士とハイド氏』に関する記事もごらんください。
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『宝島』は安価な文庫本の他、子どもが読みやすい『宝島 (岩波少年文庫)』もあります。

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