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第1部 本
文学(絵本・児童文学・小説)
絵本・児童書(日本)
冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間
『冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫 (044))』
2000/6/16
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)
(感想)
素敵な仲間たちと冒険の旅をするリアルなドラゴン・クエスト物語です(笑)。
というのは、この冒険の旅の舞台が中世ではなく現実的な世界に設定されているのに、おとぎ話みたいに、仲間のピンチに、勇者が颯爽と大空から翼にのって駆けつけるからです。……実は……物語の主人公はネズミで、退治するドラゴン(?)はイタチです。
(※ここから先は、物語の核心にふれるネタバレを含みますので、結末を知りたくない方は読み飛ばしてください)
台所の床下の貯蔵穴で暮らしているドブネズミのガンバは、友達のマンプクに誘われて海を見にいきます。港で威勢のいい船ネズミたちと知り合って酒盛りをしていると、そこに重傷を負った島ネズミの忠太がやってきます。島ネズミの住む夢見が島は、悪賢い白毛のノロイとその部下のイタチたちに攻撃され、ネズミたちが次々殺されているというのです。
助けを求めてやってきた忠太に、最初は応じようとした船ネズミたちでしたが、戦う相手がノロイと聞いて、みんな怖気づいてしまいました。船ネズミの中でも勇敢なヨイショ、一番賢いガクシャの二匹がノロイに散々な目にあわされたことがあり、その怖ろしさをよく知っていたからです。
義侠心にかられたガンバは、「忠太を助けて島に行こう!」と演説をぶちますが、船ネズミたちだけでなく、マンプクすら去っていってしまいます。意地になったガンバは、忠太と二匹だけで夢見が島へ乗り込むことにしました。
ところが、夢見が島行きの船に、なんと船ネズミたちも乗っていました。ヨイショ、ガクシャ、そしてマンプクもです! 15匹もの仲間が、ガンバと忠太と一緒に、島ネズミたちを苦境から救うためのイタチとの戦いに行ってくれるというのです☆
力強く感じたガンバですが、詳しく話を聞くほど、白毛のノロイ率いるイタチたちの怖ろしさがよく分かってきます。そして到着した島では、イタチたちが猛威をふるっていました。ガンバたちは苦難の末に、忠太の家族が逃げ込んだ北の海岸近くの山までたどり着きますが……。
あまりにも絶望的な状況に、忠太はガンバに、「みんなに何といっていいかわからない」と謝ります。するとガンバは言います。
「そんなことはないさ。自分で選んだ道だ、文句のつけようがないよ。それになあ、この景色……。」
町ネズミのガンバはこんなに美しい景色を見たことがなかったのです。そして、
「こんど帰ったらな、おれはもうひまな時に考えるものがいくらでもできたからな。海のこと考えるだけで、数年は持つぜ。」
と、のんびりした口調で言うのです。
……なんというポジティブ思考! そして思いやり! さすがは勇者です☆
それでもイタチたちとネズミたちには圧倒的な戦力差があります。その上、白イタチのノロイには、不思議な魔力のような力すらあるのです。ガンバたちは、北の海岸の先の小島へ逃げようと考えるのですが……。
最後の決戦の時、ガンバたちの行く末はどうなるのでしょう?
素晴らしい友情と冒険の物語です。
* * *
ガンバと15ひきの仲間には、『ガンバとカワウソの冒険』という物語もあります。
また斎藤さんは、他にも『グリックの冒険』、『哲夫の春休み』、『現在(いま)、子どもたちが求めているもの―子どもの成長と物語』などの本を出しています。
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