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第1部 本

描画参考資料

不朽の名画を読み解く

『不朽の名画を読み解く』2010/7/21
宮下 規久朗 (著, 編集)


(感想)
 『最後の晩餐』や『ラス・メニーナス』など、西洋の代表的な名画70点を簡潔に解説し、西洋絵画の基本的な見方を紹介してくれる本です。西洋画鑑賞が好きな方はもちろんのこと、これから西洋画鑑賞を始めたいと考えている方の入門書としても最適だと思います。
 この本の中で紹介しているのは、14世紀以降の、西洋絵画の父ともいえる巨匠ジョットの『キリストの捕縛』から、ドイツの画家リヒターの『1977年10月18日』まで70点で、かなり高精細な写真で掲載されています(この本は普通の単行本サイズなので、もちろん写真のサイズも大きくはありませんが……)。
 取り上げられているのは非常に有名な作品が多いのですが、必ずしも代表作ではないこともあります。(例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチの場合は『最後の晩餐』。でも一応、『モナ・リザ』も、写真と簡単な解説があります。またフェルメールも、解説対象は『絵画芸術の寓意』ですが、代表作の『青いターバンの少女』と『デルフトの眺望』についても写真と簡単な解説があります)。
 また、一部については、解説対象以外の作品についても写真と簡単な解説がありますが、不朽の名作のすべてが網羅されているわけではありません。たった70作ですので、もちろんすべてを網羅するなど無理なのですが(汗)。
 逆に言うと、70作も解説されているので、解説も一作あたり2~6ページ程度しかないとも言えますが(汗)、名画の写真と解説(名画の理由と主題)、作者の簡単な紹介があり、簡潔なのにポイントをおさえていて名画鑑賞に役に立つ内容だと思います。
 内容は、「第1章 14~16世紀(ゴシックからルネサンスへ)」、「第2章 17・18世紀(バロック)」、「第3章 19世紀絵画」、「第4章 20世紀絵画」の4章からなり、各章の最初に、その時代の絵画の特徴とキーワードの簡単な解説があり、その後に各名画の解説があります。
 名画の解説は、全体図の写真の他に、部分の拡大写真があることもあります。例えばミケランジェロの『アダムの創造』は、システィーナ礼拝堂天井画の一部で、最初のページには『アダムの創造』部分だけが大きく表示されていますが、その先には、なんと嬉しいことに、システィーナ礼拝堂天井画の全体図(各部分の名称つき)の写真があります☆(ミケランジェロの場合は、彫刻の『ピエタ』の写真もあります)。
 また関連する絵画の写真と簡単な解説がある場合もあります(例えば、ボスの『快楽の園』の場合は、左翼パネル『楽園』と右翼パネル『地獄』があります)。
 さらに巻末には、掲載作品の主な所蔵先一覧表があり、リキテンスタインの『ヘア・リボンの少女』が東京都現代美術館にあるということなどが分かるので、気になった作品の実物を見に行くことも出来ると思います。
 正直なところ、美術作品は、単純に「好き・嫌い」で鑑賞すればいいのではないかと思っていますが(汗)、ある程度の知識があると、より深く、もっと楽しく鑑賞できるような気がします。
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 宮下さんは、他にも『モチーフで読む美術史 (ちくま文庫)』などの本を出しています。   *    *    *
 別の作家の本ですが、『巨匠に教わる絵画の見かた』、『Art 1 誰も知らない「名画の見方」 (小学館101ビジュアル新書)』、『これだけは知っておきたい「名画の常識」 (小学館101ビジュアル新書)』、『名画は嘘をつく (ビジュアルだいわ文庫)』なども参考になると思います。

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