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第1部 本

作文技術

日本語の作文技術

『日本語の作文技術 (朝日文庫)』1982/01
本多 勝一 (著)


(感想)
 読む側にとって分かりやすい文章を日本語で書くための技術を教えてくれる本です。1982年発行の古い本ですが、今でもとても役に立ちます。中学生以上の方には、せひ一度は読んで欲しいと思いますので、ここで紹介させていただきます。
 日本語は曖昧な表現が出来るので、同じ文章について、二通りの解釈が出来ることがよくあります。例えば、「渡辺刑事は血まみれになって逃げだした賊を追いかけた。」という文章では、血まみれになったのが刑事なのか賊なのか分かりません。これを分かりやすくするためには、句読点を打ちます。上の文章に関して言えば、「渡辺刑事は、」の位置で句読点を打てば、血まみれになったのは賊だと分かりますし、「血まみれになって、」の位置に句読点を打てば、血まみれなのは渡辺刑事だということが明快に分かるようになります。
 この本は、このように豊富な具体例を駆使して、自分の言いたいことを誤解されることなく、相手に分かりやすく伝えるために、「修飾語の語順」や「句読点の打ち方」、「段落の区切り方」などをどう使うべきかについて、新聞の原稿などの具体例を使って詳しく解説してくれます。
 これは小説や詩などの芸術的文章を書く技術を教えてくれる本ではありません。小説や詩は「芸術」なので、読む人が独自に解釈できるよう、わざと複数の解釈が可能な表現をすることがあります。つまり「日本語の作文技術」には実は二通りあり、一つは、報告書や論文などの「実用語としての作文技術」で、もう一つは小説や詩などの「芸術としての作文技術」です。そして、この本が教えてくれるのは、「実用語としての作文技術」、自分の言いたいことを明確に伝える技術です。
 言語の最も重要な機能は、「意志の疎通(コミュニケーション)」にあるのだと思います。日本文化には、「あまり断定的に話すのは、ぶしつけなことで望ましくない」と、曖昧さを残して相手に裁量の余地を与えるのを良しとしてきた側面がありますが、自分が伝えたいことを誤解なく正しく伝えることは、それ以上に重要なことだと思います。
 ……なんて、柄にもなく真面目に書いてしまったのは、やっぱりこの本の影響でしょうか。分かりやすい文章を書くよう、自分も努力していきたいと思います(汗)。
   *   *   *
 本多 勝一さんは、『新装版 日本語の作文技術』、『中学生からの作文技術』などの本も出しています。
 また中村 明さんの『悪文―裏返し文章読本』は、悪文とは何かに始まり、用字・用語の間違いなど、悪文に陥りやすいポイントをまとめて、日本語を書く際の問題点をユーモラスにわかりやすく解説したものです。
 さらに、他の著者の本ですが、日本語の作文技術の基本を学ぶ本には、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける 87の法則』、『20歳の自分に受けさせたい文章講義』、『文章力の基本』などもあります。さらに文章力を向上させる本には、『一瞬で心をつかむ 77の文章テクニック』、『伝わる・揺さぶる!文章を書く』などもあります。

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