ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

しかけ絵本(海外の作家)
 ※日本語の本(翻訳版)もあります

その他の海外の作家

Popville

『洋書:Popville(英語)』2010/5
Anouck Boisrobert (著), Louis Rigaud (著)


(感想)
 最初のページをめくると、並木のある草原にぽつんと一軒、赤い屋根のかわいい家と、そこに向かう一筋の道路。
 次をめくると、あら? 隣に小さな二世帯住宅風の家が! 道路も増えたし、草原にクレーンが動いて、まだまだ街づくりは進みそう。
 こうしてページをめくるごとに、だんだんと建物が増えていき、道ができて、しまいに送電線が並んで、鉄道まで走り出します☆

 これは「変化(都市化)」を味わう絵本。もちろん子供にとっても、とても楽しいのですが、イラストの柔らかい色合いも内容も、どちらかというと大人の方が、より深く味わえると思います。特に、ゲーム『シムシティ』好きの人は、この時間経過をより楽しめるのではないでしょうか。

 最初の赤い屋根の家が、最後まで「そのまま」建っているのは、単純ながらも意外に珍しいしかけ技法なので、それも必見です。
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 同じ作者には、『Wake Up, Sloth!(和書名:ナマケモノのいる森で)』などの作品もあります。この『Wake Up, Sloth!』は和書が他の作者名で登録されていたので、最初は同じ作者と気づかなかったのですが、その内容を見てから、この『Popville』を見直すと、ちょっと複雑な気持ちになります。なぜなら『Wake Up, Sloth!』は、環境破壊でナマケモノの森が消えていく……という問題を提起している絵本だからです。そしてその環境破壊の部分はこの『Popville』にちょっと似ていて……この2冊の本は「都市化」の持つ光と闇を反対側の立場から絵本化しているのです(とは言っても『Wake Up, Sloth!』では、森消失後に都市は出来ないので、「都市化」のための環境破壊ではなく、森林伐採だけのようですが……)。『Popville』は2010/5に発売され、『Wake Up, Sloth!』は2011/9なので、作者に心境の変化があったのかもしれません。
 どちらを購入しようか迷っている方には、個人的には『Wake Up, Sloth!(和書名:ナマケモノのいる森で)』の方をお勧めします。しかけ技法的にも、『Popville』と同様の変化(ただし方向的には逆方向の変化で、ページをめくるたびに構造物が減っていきます)を楽しめますし、最後の4ページは、ちょっと感動的です(ありがちな展開ではありますが……)。この最後のページに到達する前のページのしかけは、読者自身の手で引き起こす必要があることにも、意味を感じてしまいます。同じ作者は、『オセアノ号、海へ!(Under the Ocean) 』で、ふたたび自然への讃歌と敬意をこめた絵本を作っていますので、作者の気持ちも『Wake Up, Sloth!(ナマケモノのいる森で)』と同じ方向に向かっているものと思われます。
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 ボワロベールさんとリゴーさんの『Wake Up, Sloth!(ナマケモノのいる森で)』の詳細が知りたい方は、下の商品リンクから見ることが出来ます。
 また、このような建物系のしかけ絵本は少ないのですが、他の作家の本(洋書)で、『The Treasures of Venice Pop-up(英語)』、『The Modern Architecture Pop-Up Book(英語)』などもあります。

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