ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)

第1部 本

動く&錯視錯覚の本

錯視錯覚絵本

ふしぎなえ

『ふしぎなえ』1971/3
安野 光雅 (イラスト)


(感想)
 簡単に言うと、エッシャーのだまし絵風の、とても楽しい絵本です。この本に出会って、すっかり安野光雅ファンになってしまいました。そしてよく考えると……この本には立体的なしかけはありませんが、やっぱり「しかけ絵本」の一種と言っても良いでしょう。
 エッシャー(Maurits Cornelis Escher)は、流れる水が上→下→上……と無限に循環する建築不可能な構造物や、平面を次々と変化するパターンで埋め尽くしたもの、などの非常に独創的な作品を描き出した画家(版画家)ですが、安野さんのこの絵本も、同じように、常識ではありえない世界を描いています。
 昼と夜を同時に描いた『光の帝国』などの作品が有名なシュルレアリスムを代表する画家ルネ・マグリットや、エッシャーなどは、「頭脳で描く画家」だと思いますが、安野さんにもそういう側面があるのを確かに感じます。マグリットの絵画は、画家自身の言葉によれば、「目に見える思考」だとか。この『ふしぎなえ』も、どうやったら多方向からの視点を違和感なく一つの絵に押し込めるか、という思考追及(思索先行)型の絵本です。
 とは言っても、安野さんらしい優しいユーモアにあふれているので、ただのエッシャー風だまし絵ではない、「不条理☆楽しい」という不思議な世界を作り出しています。ヘンテコかわいい小人さんたちが織り成す、あがってもあがっても下へいく階段などの、デコボコ歪んだ構築物を存分にお楽しみください☆
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 安野光雅さんのその他の本、『旅の絵本』、『きつねがひろったイソップものがたり (1)』、『きつねがひろったイソップものがたり (2)』、『ふしぎなたね』、『空想の絵本』、『安野光雅の世界―1974→2001』に関する記事もごらんください。
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 安野光雅さんには、この他にも素晴らしい絵本が多数あります。『さかさま』、『ふしぎなサーカス』は、不思議な世界に誘い込まれてしまう楽しい絵本、『もりのえほん』は、森の木々のなかに隠れている動物などを探す隠し絵の絵本、『ABCの本』と『あいうえおの本』は、木片を加工したふしぎ文字の絵本です。
 その他、逆さ絵も楽しめる『さよならさんかく』、おもしろ安野商店街『あいうえおみせ』、さらに花の妖精を美しく描いた『野の花と小人たち』なども、安野光雅さんの多彩な世界を堪能できる本です。

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