ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
脳&心理&人工知能
ネイチャー・エフェクト(バーマン)
『ネイチャー・エフェクト: シカゴ大学神経科学者が教える自然と脳の驚異的な関係』2026/5/13
マーク・G・バーマン (著), 栗木 さつき (翻訳)

(感想)
最新科学でわかった「自然のもつ究極の力」を教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1部 環境神経科学の根幹にある「注意力の危機」
第1章 人間の性質
第2章 危機に瀕する注意力
第3章 公園を散策する
第4章 自然を分解する
第2部 自然の処方箋
第5章 メンタルと認知機能の健康のための処方箋
第6章 身体の健康のための自然の処方箋
第7章 ソーシャルウェルビーイング(人間関係)のための処方箋
第8章 悲嘆のための自然の処方箋
第3部 自然革命
第9章 空間デザインを自然化する
第10章 自然と都市計画
第11章 子どもと自然
第12章 環境神経科学の未来
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ちょっとした自然との触れ合いで、私たちの心と脳と身体は改善するそうです。「はじめに」によると……
「(前略)自然が私たちの脳や身体に作用した結果、認知機能が向上し、悲嘆が癒され、うつ状態や不安を改善する一助となるのだ。さらに、もっとも重要なことに、せわしない現代社会で注意力や集中力が低下している数百万もの人たちに希望を与えられる事実が判明したのだ――自然には、集中力を回復させる独特の力があることが。」
……しかもなんと「フェイクグリーン」でも良いのだとか!
「(前略)私たちが研究したところ、なんとフェイクの観葉植物を身近に置くだけでも、健康増進効果があることがわかったのだ。(中略)また、さらに調査を進めたところ、1本の樹木を眺めたり、鳥のさえずりに耳を澄ましたりするだけでも、学校の成績から犯罪発生率、術後の回復の早さといったあらゆるものに良い影響が及ぶことがわかった。
要するに、自然は生活を快適にするための贅沢品ではない──必需品なのだ。」
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さて私たちは日頃から多すぎる情報を浴びているせいか、注意力がどんどん下がっています。本書でも次のように指摘されていました。
「こうしたすべての研究結果が示しているのは、あまりにも多くのものが注意を引こうと競いあっているために、私たちはいま気が散ってばかりで、いわば注意散漫という病が世界中で流行しているということだ。しかし、私たちは環境神経科学という新たな分野の研究を通じて、その治療薬になりうるものを発見したと考えている。」
……うーん、私自身にとっても耳が痛い指摘です。
注意力には、「受動的注意:環境の急激な変化に反応する能力」と「選択的注意:集中する対象を選ぶ能力」の二種類がありますが、「選択的注意」は特に重要なようです。
「(前略)注意力は最後までやり遂げたい作業に集中するときだけでなく、抑制制御――衝動的な行動をとらないように自制する――においても役に立つ。」
……この「選択的注意」は疲労にとても敏感で、注意力が枯渇した状態で作業を続けると広範囲に悪影響が及ぶ(学習能力が下がるだけでなく、心理・感情・身体の健康に対する悪影響がドミノ倒しのように広がっていく)そうです。
そして注意力を補充できる唯一の方法は「睡眠」だと考えられてきましたが、実は「自然」にも注意力を休ませる力があるようでした。本書は、多くの実験や研究結果で、「自然のもつ力」を明らかにしています。
例えば「公園散歩」実験では、精神的に疲労した被験者を「自然の公園」と「市街地の繁華街」を歩くグループに分けて、散歩の前後に記憶力と注意力のテストを実施しました。すると、自然の中を歩いたグループのみ、テストの成績が20%も向上したそうです。しかも気温マイナス6度という、誰も散歩を楽しめない極寒の日でも、同じように認知機能が改善したのだとか……自然のもつ力は凄いですね!
しかも自然との触れ合いは、うつ病や不安の軽減といったメンタルヘルスの改善にとどまらず、がん治療後の回復や認知症リスクの低減など、身体的な健康にも大きく寄与していました。さらに衝動性を和らげ犯罪を減らすといった社会的な人間関係の改善や、愛する人を失った深い悲嘆を癒す過程においても、不可欠な役割を果たしていることが、多くの実験や研究で明らかにされていました。
そして本書は、環境神経科学の知見を実生活や社会に実装する「自然革命」を提唱しています。建築やインテリアにフラクタルなどの自然のパターンを取り入れるバイオフィリックデザインから、都市計画を通じた地域社会の健全化、そして子どもの認知機能や免疫力を高める教育環境の構築まで、幅広い応用例が紹介されていました。
例えばバルセロナの小学生を対象とした研究では……
「(前略)自宅や学校の周辺にグリーンスペースが多い子どもほど、記憶力や注意力が向上していることがわかった。興味深いことに、この研究モデルに大気の質を加えたところ、グリーンスペースの利点の一つが大気の質であることがわかった。」
……またフィンランドの研究では……
「(前略)保育園児が園庭や草地や木立の下のブルーベリーの茂みといった場所で遊ぶと、免疫系がたった28日間で有意に向上することを発見した。」
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都会に住んでいる方は、お子さんを時々自然豊かな公園などに連れていって遊ばせると、選択的注意力だけでなく、免疫機能を高めるのにも役立ちそうです。
『ネイチャー・エフェクト: シカゴ大学神経科学者が教える自然と脳の驚異的な関係』……自然環境に身を置くことで、疲弊した注意力が劇的に回復することを教えてくれる本で、とても参考になりました。本物の自然に触れることが難しい場合は、自然の写真や絵画、フェイクグリーンでも効果があるそうです。集中力が続かないなど、疲れている方は、試してみる価値がありそうですね。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。
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『ネイチャー・エフェクト』