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第1部 本

地質・地理・気象・地球環境

異常気象の科学(今田由紀子)

『異常気象の科学 猛暑・豪雨・大雪のしくみと将来予測 (ブルーバックス B 2332)』2026/6/18
今田 由紀子 (著)


(感想)
 命を脅かすような酷暑、頻発する豪雨や洪水、大型化する台風……毎年のように報道される異常気象が発生するメカニズムから、最新のシミュレーション研究で見えてきた日本の将来の気候予測までを、基礎から分かりやすく解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 異常気象の時代――世界で多発する異常気象
世界中の異常気象/日本の異常気象/異常気象とはなにか
第2章 猛暑――日本が灼熱化するメカニズム
データで見る日本の気温上昇/局所的な猛暑をもたらす要因 /日本に猛暑をもたらす大気の流れ/地球規模の気候変動と日本の猛暑
第3章 豪雨――梅雨前線・線状降水帯・台風が発生するしくみ
豪雨をもたらす梅雨前線/台風による大雨/豪雨の地域要因と長期変化
第4章 冬の異常気象――寒波と大雪をもたらすもの
地球規模の変動と冬の気象/冬の異常気象とテレコネクション/大雪をもたらすメカニズム
第5章 地球温暖化と異常気象――異常気象の「犯人」は誰なのか
異常気象の原因をさぐる/異常気象の発生確率と温暖化/異常気象の強度と温暖化
第6章 未来の異常気象――これから日本はどうなるのか
将来の気候予測/2100年の猛暑/未来の豪雨/台風と冬の異常気象の変化
   *
「第1章 異常気象の時代――世界で多発する異常気象」には、2023年に観測された主な猛暑の記録が世界地図上に書いてありましたが、そこから高温の順に二つ紹介すると、7月アメリカ・デスバレーで53.3℃、7月中国・新疆ウイグル自治区で52.2℃……なんと米中は、猛暑でもトップ2なんですね!(凄い気温だ……)
 ところで異常気象というのは……
「(前略)気象庁では原則として「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」を異常気象と呼ぶ、としています。」
 ……だそうですが、最近は頻発してしまっているような気がします。
 続く「第2章 猛暑――日本が灼熱化するメカニズム」では、日本の暑さについて……
「日本の昇温ペースである100年で1.4℃という値は、世界平均気温の昇温のペースである100年あたり0.77℃の約2倍になっています。日本が位置する北半球の中緯度域は、地球温暖化による気温の上昇率が大きいことが知られています。
 その理由の1つが、陸と海が占める割合の違いです。北半球の中緯度域は陸域の占める割合が他の緯度域よりも大きくなっています。一般的に、陸域の方が海域よりも地球温暖化に伴う気温の上昇が大きいことが知られています。(中略)海に比べて陸域では水分の量が限られているため、蒸発に使われるエネルギーが小さく、その分、気温上昇に使われるエネルギーが相対的に多くなります。」
 ……うーん……北半球の中緯度域が全体的に暑くなっているんですね。
 暑さをもたらす要因としては、「フェーン現象」、「ヒートアイランド」、「気温と気圧の関係」などがあり、それぞれ分かりやすい解説がありました。
 例えば「気温と気圧の関係」では……
「「高気圧」は言葉の通り、周囲よりも気圧が高い場所のことを指します。空気は気圧の高いところから押し出されて気圧の低いところに流れようとしますので、高気圧からは風が外に向かって吹き出します。その吹き出した分を補うように上空から空気が降りてくるため、高気圧の上空では下降気流が形成されます。また、高気圧から吹き出した風はそのまま放射状に外に向かって吹くわけではなく、地球の自転の影響を受けて、北半球では高気圧の中心の周りを時計回りに回転するように、南半球では逆に反時計回りに吹きます。」
 ……これが「コリオリの力」と呼ばれています。
 そして高気圧のでき方には、次の2種類のメカニズムがあるようです。
1)背が低く中心部の気温が低い寒冷高気圧
(地上付近で気温が下がると、空気の体積が減るため、単位面積当たりの空気の重さが重くなる。空気が下降し地上付近で周囲に吹き出すので、失われた空気を補うため上空から空気が降りてきて高気圧になる。地表付近で生まれて上空に向かって形成されていく)
2)背が高く中心部の気圧が高い温暖高気圧
(大気の流れによって対流圏の中でも高い位置に強制的に空気が集められる。空気は、対流圏の上の成層圏との境界を横切ることが難しいので、集まってきた空気は下降気流となる。空気が下降すると気圧が上昇するため、圧縮された空気の温度が上昇する。)
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 また地球規模の気候変動をもたらすエルニーニョとラニーニャは……
(※エルニーニョ=ペルー沖の熱帯太平洋東部で海面水温が平年よりも高くなる現象。(逆に通常よりもさらに冷たくなるのがラニーニャ)
「(前略)日本付近に注目すると、エルニーニョ発生時の冬には高気圧偏差が上空を覆っています。ラニーニャ発生時の冬には逆に、低気圧偏差が上空を覆います。エルニーニョ時の高気圧偏差はジェット気流を日本付近で北上させますので、日本付近は南側の暖気に包まれ、通常よりも暖かい冬になります。逆にラニーニャ時はジェット気流が南下するため寒気に覆われやすくなり、寒冬傾向になることが知られています。
 では夏の時期はどうでしょうか? エルニーニョ発生時の夏には、冬と似たような波列パターンが見られますが、日本付近に限っては高気圧偏差の中心の位置が東にずれており、日本付近はジェット気流が南下しやすく、冷夏になる傾向があります。ラニーニャ時はその逆で、ラニーニャが日本の猛暑を底上げすることが知られています。」
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 そして「第5章 地球温暖化と異常気象」には、極端な気象現象には必ず、地球温暖化以外の原因が存在することが書いてありました。
「日本の猛暑の場合は、高気圧の張り出し、黒潮の蛇行、フェーン現象など、大雨の場合は、気圧の谷、水蒸気の流れ込み、前線、線条降水帯、台風などです。そして、その背景には、ジェット気流の蛇行という大きなスケールの変動が関係していることも紹介しました。」
 ……異常気象の極端な事例としては、2020年9月7日、コロラド州都デンバーで30℃を超える猛暑だったのが、翌日8日の朝には気温が2℃まで急降下して雪が降った(!)などというものがあるそうです。この原因は「ジェット気流の蛇行南下」によるものと言われているそうです。ジェット気流は、南の暖気と北の冷気を隔てながら走る気流だそうですが……その南と北で、こんなにも気温差が起こるんですね!
 またこの章では、地球温暖化が異常気象に関係していることについて……
「この章で紹介したイベント・アトリビューションを通じて、現在進行している地球温暖化が実際に日本で発生した猛暑や一部の大雨の発生確率を大幅に上昇させているだけでなく、雨量や台風そのものの強度といった異常気象の「量」にも影響していたことがわかりました。」
 ※イベント・アトリビューション=目の前で実際に発生した異常気象(イベント)が何かのせいであることを証明するアプローチのこと。
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 そして最終章の「第6章 未来の異常気象」では……
「第6章では、将来起こりうる日本の異常気象について見てきました。すべての異常気象が深刻化するわけではありませんが、猛暑や熱帯夜についてはほぼ確実に日本全国で深刻化が予測されていることがわかりました。
 大雨については一概には評価できず、梅雨前線や台風などの要因や、台風の強さによって変化傾向が異なることがわかりましたが、概して、特に極端な大雨をもたらすものほど将来激甚化する可能性が示唆されました。
 雪については、全国的には予想通りの減少傾向でしたが、極端な大雪に注目すると、一部の地域で現在よりも激甚化する可能性があるという驚きの結果も示されました。」
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『異常気象の科学 猛暑・豪雨・大雪のしくみと将来予測』……増加の一途をたどる異常気象のしくみから将来予測までを分かりやすく解説してくれる本で、とても勉強になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『異常気象の科学』