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第1部 本
健康&エクササイズ
知の巨人、腎臓移植をする(佐藤優)
『知の巨人、腎臓移植をする (インターナショナル新書)』2025/8/7
佐藤 優 (著), 石田 英樹 (著)
(感想)
長年にわたる激務と512日にわたる獄中生活のために発症した末期腎不全。当初は人工透析を受けつつ遺された余生を生ききるつもりだった佐藤さんは、なぜ生体移植を受けるに至ったのか? 生体移植の実態、さらには日本の医療をめぐる問題を「日本で最も腎臓移植を手がける名医」である石田英樹教授(東京女子医大)と語り尽くしている本で、主な内容は次の通りです。
はじめに 私はなぜ「決断」したのか 佐藤優
第一章 手術直後、「世界」が変わった
第二章 患者学のすすめ
第三章 執刀医から見た「患者・佐藤優」 石田英樹
【インタビュー】移植コーディネーターという仕事
第四章 エキスパートに求められること
第五章 日本の医療は「持続可能」か
第六章 生体腎移植にもっと光を
*
「はじめに」には次のように書いてありました。
「私(佐藤優)は、二〇二三年六月二七日に東京女子医科大学病院(以下、女子医大)で腎臓移植手術を受けた。手術は成功した。腎臓移植には、健康な親族が腎臓を提供する生体腎移植と脳死または心停止後の他人からの献腎移植がある。私の場合は生体腎移植で、ドナー(提供者)は妻だ。」
……えっ? ドナーは奥様だったんですか。実は、生体腎移植のドナーになれるのは日本移植学会のガイドラインでは、六親等以内の血族と三親等以内の姻族なのだとか。そしてかつては多かった拒絶反応が起きるケースは、免疫抑制剤の進歩と血漿交換という治療法のおかげで大幅に減っているそうです。安全性が増し、ドナーの手術も内視鏡手術で済むようになったので術後の痛みが大幅に減り、現在は高齢者でもドナーになれるのだとか……。
そして移植手術を行うまでは、佐藤さんは人工透析をしていたそうです。
「(前略)末期腎不全の患者は血液透析(人工透析)か腹膜透析を選択して体内の毒を出すのが普通だ。
腹膜透析とは自分の腹膜(肝臓や胃、腸などの内臓や腹壁を覆っている膜)を使う方法で、腹腔の中に透析液を入れておくと腹膜が交換膜となって、血中の老廃物や余計な水分が投石液の中に移動する。その透析液を体内に入れたカテーテルという管で一定時間ごとに取り出す。
腹膜透析は大きく複雑な機械を使わないことがメリットだが、一定の期間が経つと腹膜の交換膜としての機能が劣化するのは避けられず、いずれは血液透析に移行する。
血液透析とは別名の「人工透析」が表すように、ダイアライザーと呼ばれる機械を用いる方法である。
ダイアライザーは人工腎臓で、生体の腎臓と同じように血中の毒物や余分な塩分、水分などを取り除く。」
……ダイアライザーは大きい機械なので病院で行う必要があり、週に三回、毎回四、五時間はダイアライザーに繋がれ、その間は何もできないそうです……。
続く「第一章 手術直後、「世界」が変わった」では……
「結果はきわめて良好で、麻酔から覚めてふと気づいたとき、それまでずっと頭の中にたちこめていたモヤが消えていました。自分でも驚くほど、頭の回転が速くなっていたんです。身体もすばらしく軽くなりました。」
……腎臓移植前はとてもつらかった低体温と低血圧が、手術直後から完全になくなったそうです。食事制限と塩分制限もなくなりますが、免疫抑制剤を飲み続ける必要があるので通院は必要だそうですが。
なお今回の腎臓移植では、佐藤さんの腎臓はそのまま残して、奥さんの腎臓を別の場所につける方法をとったようです。
この腎臓移植手術は成功でしたが、移植前の検査で前立腺癌が見つかって、まずそれを手術したとか、移植手術の合併症として腹膜ヘルニアによる再手術も必要だったとか、手術後に菌血症になって入院が二日延びたとか、退院後すぐに腸閉塞になって緊急手術になったとか……さまざまな問題も起こって、その都度対処していたようです。実体験に基づくこれらの情報も語ってくれているので、腎臓移植を考えている人にとっては、とても参考になるのではないかと思います。
また「第三章 執刀医から見た「患者・佐藤優」 石田英樹」でも、移植の前後で行うことについて……
・移植の準備で最初に行うのは、レシピエントの血管の中に腎臓をうるおす十分な血液が流れているかどうか(移植した腎臓に十分の量の血液を送れるポンプ機能があるか)の確認
・移植後は、尿量のチェック、血圧のチェック、ドレーン(血液やリンパ液の排液のために腹部に入れている管)からの液体の量と性状(出血していないか)のチェック、血流エコー検査(拒絶反応が出ていないか)など
……など具体的に教えてくれるので、これもとても参考になると思います。
とても問題だと思ったのが、「献腎を取る手術では医師は無報酬」だということ! 病院には研究費などにあてられるお金が入るようですが……これは持続可能なのでしょうか……。
えーと、その他にも移植コーディネーターさん自身が、移植コーディネーターという仕事について詳しく紹介してくれています。
『知の巨人、腎臓移植をする』……知の巨人として有名な佐藤さんが、ご自身の腎臓移植体験と、腎臓移植にまつわる問題を詳しく教えてくれる本で、とても勉強になりました。佐藤さんは、ご自身の慢性腎臓病が悪化した原因は、過食と不摂生な生活と考えているようですが……腎臓病にならないよう、私はこれからも運動・食事・睡眠に気をつけていきたいと思います。
臓器移植に興味のある方、健康に不安を感じている方は、ぜひ読んでみてください。
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『知の巨人、腎臓移植をする』