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第1部 本

生物・進化

絵でわかる光合成のしくみ(藤田祐一)

『絵でわかる光合成のしくみ その起源、進化、喪失に迫る (絵でわかるシリーズ)』2026/4/30
藤田 祐一 (著)


(感想)
 生態系を支える光合成は、きわめて複雑な物理化学反応の連続で成り立っています。そのしくみをじっくり解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
プロローグ すべては光合成が支えている
PART 1 しくみ・はたらき・設計図
CHAPTER 1 これがヒトの生きる道
CHAPTER 2 光のエネルギーを使うには?
CHAPTER 3 アンテナのつくり方
CHAPTER 4 二酸化炭素のいただき方
CHAPTER 5 食べたい分子の集め方
CHAPTER 6 生物の設計図
PART II 起源・進化・喪失
CHAPTER 7 光合成の起源
CHAPTER 8 光合成をはじめる生物
CHAPTER 9 光合成をやめる生物
エピローグ 夢の光合成生活
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『光合成のしくみ』という本なので、植物の中で光合成がどのように進んでいるのかだけの解説本かと思っていたのですが、なんと人間の栄養の取り方から始まることに驚きました。この本は光合成について、その仕組みを多数の化学式を使って詳細に教えてくれるだけでなく、光合成がどう始まって進化してきたか、さらに光合成が進化に与えた影響、しまいには光合成をやめた生物まで……ものすごく幅広く総合的に解説してくれる本でした。
「CHAPTER 1 これがヒトの生きる道」によると「光合成」は……
「植物は光合成によってグルコースをつくり、それらを連結させて、葉っぱの葉緑体の中やジャガイモの塊茎などの貯蔵組織でデンプンとして蓄えます。」
 ……というものですが、その仕組みは多数の酵素などが関わる、とても複雑なものです。どうしてこんなに(無駄に?)複雑になっているんだろうなーとうんざりしてしまいましたが(苦笑)、それには意味があったことを知りました。
「(前略)グルコースは分子の中に化学エネルギーという形でエネルギーを蓄えていて、燃焼とはこの化学エネルギーを一気に熱エネルギーに変換する過程です。(中略)このエネルギーが細胞の中に一気に放出されると、細胞が大火傷してしまいます。そこで、細胞の中ではグルコースの分解を何段階にも分割し、少しずつエネルギーを取り出すしくみがはたらいています。分割された分解反応は、それぞれ異なる酵素のはたらきで進みます。また、核反応で取り出されたエネルギーは、ATPという形で蓄えられます。細胞にとって、ATPは使いやすいエネルギーの形なのです。」
 ……ああー! 確かにその通りですね! 化学反応が一気に進み過ぎると、エネルギーどころか大火傷になっちゃうんだ……無駄どころか、賢い仕組みだったんだ……。
 そしてこの後は、光合成について多数の化学式でみっちり教えてもらえるのですが……とても覚えきれない(涙)……本書内に概略があったので、それを紹介すると……
「(前略)光合成は多数のタンパク質が関わる複雑なプロセスです。つまり、光エネルギーを吸収するための色素クロロフィルをつくる生合成システム、クロロフィルを使って光エネルギーを集めて移動させるアンテナ系、アンテナが吸収したエネルギーを使って最初の電子伝達反応を開始する光化学系システムとそれに続く電子伝達システム、H+の濃度勾配を使ってATPを作るATP合成酵素、安定な還元力とATPを利用してCO2を固定し糖を生産するカルビン回路――これらすべてがそろって初めて、光合成が成立したことになります。」
    *
 さて「エネルギーの程度がちょうどいい可視光のエネルギーが主に光合成に使われ」、光合成を主に行っているクロロフィルは、青と赤の光を吸収して緑はあまり吸収しないので、植物の大半は緑色に見えるそうです。そして光合成生物が緑以外にも色々な光合成色素(オレンジ、黄色など)を持っているのは、棲む環境によって光の波長が異なるからなのだとか。
 そして「CHAPTER 7 光合成の起源」によると、植物細胞には、進化的起源の異なる3種類のリボソーム(細胞質、葉緑体、ミトコンドリア)があるそうです。進化初期に、真核生物の祖先生物がプロテオバクテリアの一種を細胞に取り込み、それがミトコンドリアになっていったようです。そしてその一つの系統が、さらにシアノバクテリアを細胞に取り込んで、それが葉緑体になっていったのだとか。
『絵でわかる光合成のしくみ その起源、進化、喪失に迫る』……生物進化が編み出した光合成という「妙技」をカラー図解でじっくり解説してくれる本でした。名古屋大学農学部での授業が元になっているそうで、とても勉強になります(ぜんぜん覚えきれませんが……)。植物や生物に興味のある方は、ぜひ読んでみてください☆
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『絵でわかる光合成のしくみ』