ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
生物・進化
大地球史(ジャブル)
『大地球史 生命が地球をつくった 46億年の新しい進化史』2026/5/21
フェリス・ジャブル (著), ヤナガワ智予 (翻訳), ナショナル ジオグラフィック (編集)

(感想)
地球は生きている……生命は岩石をつくり替え、水を循環させ、大気に酸素をもたらすことで地球と共に進化し、地球そのものを巨大な生命システムにした……生命と地球の「共進化」を、まったく新しい視点で描いた、まさにタイトル通りの『大地球史 生命が地球をつくった 46億年の新しい進化史』。主な内容は次の通りです。
はじめに
第1部 岩石 -ROCK-
第1章 地下深くに息づく生命:地殻を変化させる微生物たちの世界
第2章 マンモスステップと生態系:大型草食動物が作り出した豊かな大陸
第3章 地球という共同庭園:人間が可能にする、生命による土壌再生計画
第2部 水 -WATER-
第4章 海に漂う細胞:すべての源である華麗なるプランクトン
第5章 海の中の大森林:地球を棲みやすくするケルプの驚くべき力
第6章 プラスチックまみれの星:地球の長い旅路のなかで人類ができること
第3部 大気 -AIR-
第7章 空の錬金術:安定した大気が生んだ複雑な生命たち
第8章 火の起源:太古から続く火と生命の密なるつながり
第9章 変化の風:居住可能な星を維持する私たちの選択
おわりに
謝辞 著者あとがき 参考文献 索引
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地球46億年の歴史に関する本は何冊も読んでいるので、この本もその一冊なんだろうと復習感覚で読み始めたのですが、最初の「はじめに」で、もう「えっ?」という驚きを感じさせられました。
アマゾンの熱帯雨林では毎年2500ミリメートル近い雨が降るのですが、その半分を、なんと「アマゾンの森林が自ら生み出している」というのです。
「(前略)微生物や有機残留物を多く含んだ森林の湿潤な息吹には、雨を生むのに理想的な条件が詰まっているのだ。空気中に水分が豊富にあり、かつその水分の凝結を助ける微粒子が非常に多いため、雲がすぐに形成される。浮遊細菌の中には水滴が凍るのを促進するものもあり、それによって雲はさらに大きく重く成長し、決壊しやすくなる。」
……この本は、生命が地球に「圧倒的な地質的影響」を与えてきたことを具体的に描きだしていきます。
・「(前略)ダーウィンの進化論以来、時代時代で主流となった科学的概念においても、環境からの刻々と変わる要求が、生命の進化のしかたに大きく影響することが協調されてきた。生育環境の変化にうまく順応できる種が最も多くの子孫を残し、できない種は絶滅する。
しかしながら、この真実には、あまり評価されていないもう1つの側面がある。それは、生命もまた環境に変化をもたらす、というものだ。」
・「(前略)長年の定説とは裏腹に、生命は地球の歴史を通して圧倒的な地質学的影響力となっており、氷河や地震や火山に匹敵する、あるいはそれを凌ぐ威力を発揮してきたのだ。」
・「(前略)およそ25億年前、シアノバクテリアという海洋微生物が光合成を始めたことにより、地球は一変した。大気が酸素で満たされ、空がおなじみの青い色調になり、有害な紫外線を吸収するオゾン層が形成され始めたことで、生物が海から陸へと進出できるようになったのだ。」
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シアノバクテリアが酸素を大量につくり出して地球の大気組成を変えたことや、石灰岩層が生物由来であることは知っていましたが、生命が地球に与えてきた影響は、そんな程度ではないそうです。
実は、地殻の構成要素を変化させる細菌はたくさんいるのだとか。
・「(前略)そうした細菌は岩石中の水素を食べ、硫酸塩を吸って硫化水素を吐き出し、「愚か者の金」とも知られるパイライト(黄鉄鉱)に似た硫化鉱物の鉱床を新たに作り出すのである。それと同じようなプロセスを通して、微生物は金、銀、鉄、銅、鉛、亜鉛など、さまざまな金属鉱床の形成を助けてきた。地下微生物が岩石を分解することにより、岩石中に閉じ込められていた金属が遊離するのだ。微生物が排出する化学物質の中には、硫化水素のように、遊離金属と結合して新たな個体化合物を形成するものもある。」
・「微生物による地殻改造は、陸上に限ったことではない。海底や、その下でも起きている。ある地域では、海洋地殻に生息する微生物が硫黄を硫酸塩に変えていた。硫酸塩は水溶性なので、海中に溶け出し、ほかの生物が摂取しやすい栄養源となる。」
・「地球最古の土壌は、ほぼ鉱物のみでできていて、おもに砕けた岩石と、空気と水で満たされた穴で構成されていた。それとは対照的に、今日の地球の土壌は大部分において、空気、水、鉱物粒子、有機物で構成される複雑な混合物である。有機物という用語には、生物と、生物が出す炭素量豊富な分泌物および残骸(排泄物や生物遺体)が含まれる。」
・「森林伐採、農業、食料生産をはじめとする、人間が行ってきた地球の地表の改変は、在来生物の生息地を奪い種の絶滅を加速させただけでなく、毎年、世界の温室効果ガス排出量の約3分の1の原因にもなっている。」
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生物は地球環境を大幅に変えてきましたが、現在、それを人間が加速させているのです。しかもそのスピードは危険な臨界点を超えてしまうかもしれないほどなのです。それに対して……
「地球の肌、呼吸、骨のバランスを回復させるには、迅速かつ根本的な改革が必要だ。この壮大な取り組みの柱のひとつは、森林や草原、泥炭地、湿地などの生態系、特に、深い土壌に植物が繁茂する生態系の再生と保護である。もうひとつは、世界の食糧の生産、輸送、消費のしかたを変えることだ。」
……最小限の耕起や生物多様性の促進なども地球の回復に役立つようです。
「第2部 水 -WATER-」では、プランクトンの増減で窒素とリンの比率が安定するとか、プランクトンは、炭素を隔離し地球の気候を安定させるためにも不可欠な要素だとか、プランクトンの重要性を知ることが出来ました。
・「アルプス山脈の大部分を含む地球上の白亜層や石灰岩層のほとんどは、プランクトンやサンゴ、貝・甲殻類、そのほかの石灰質の海洋生物の遺骸だ。」
・「(前略)プランクトンは死んだあともずっと、海や砂漠やジャングルに必須の栄養素を循環させて、地球の状態を整え、支え続けている。浮遊する細胞だったものが岩石の一部となり、風に吹かれて飛ばされる塵となり、また元の姿に戻っていくという、果てしない歳月をかけたプランクトンの七変化は、生命と環境との相互関係、そして止むことのない地球の再生を体現している。」
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この章ではその他にも、海藻の重要性や、海洋に漂う大量のプラスチックごみについて等、いろいろなことを知りました。
そして「第3部 大気 -AIR-」では、水を氷に変える生物(多くの種類の細菌、藻類、地衣類、プランクトン)がたくさん発見されていることが書いてありました。
・「(前略)氷を形成する異なる細菌の進化的関係に目を向けると、氷核タンパク質は少なくとも17億5000万年前には誕生しており、もともとは水生だった現代の植物が陸上に進出し始めるずっと前から存在していたことがわかる。」
・「(前略)大気中に漂う実に雑多な生命とその名残の集合体は、雲と氷の両方のタネになり、降水の可能性を高めて水循環のペースを速める。アマゾン熱帯雨林の上空では、浮遊する粒子全体の80%をバイオエアゾルが占め、塵や煤よりも量がはるかに多く、降水に非常に重要な役割を果たしている。」
・「植物は、地球の地殻と大気を大きく変えた。シアノバクテリアが作り出す酸素はすでに成層圏にオゾン層を形成し始めており、有害な紫外線から生命を守っていた。そして、陸上植物がオゾン層をさらに厚くし、新たな陸上進出の波を後押ししたのだ。大陸の緑化は水循環を劇的に加速させ、その結果、岩石の風化も速めた。」
・「陸上植物も、地球の長期的な炭素循環と温度調節機構になくてはならない要素となった。陸上植物、真菌類、微生物を合わせたすべての成長と活動が、雨や風や氷による作用よりも5倍の速さで岩石を分解し、その過程で空気中から炭素を吸収し、地中への隔離を加速させた。生物風化と呼ばれるこの分解作用は、強力な温室効果ガスを大気から除去するため、地球の気温を下げる効果があった。」
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太古から、地下深くの微生物は地殻の化学組成を変え、海中のケルプの森は沿岸の生態系を支え、マンモスなどの大型草食動物(メガファウナ)は大陸全体の植生と気候を形づくってきました。そして現在、人類が、化石燃料の燃焼や大規模農業、都市化で、気候を変え、海を酸性化させ、土壌を疲弊させています。
でも人類は、地球の精緻な循環の仕組みを理解し、それを正しく活かすことで、未来の軌道を変えうる唯一の存在でもあり、地球の再生へと舵を切る力も持ってもいるのです。
『大地球史 生命が地球をつくった 46億年の新しい進化史』……生命がいかに地球をつくり替えてきたか、そして私たちはどうしたらいいのかを深く考えさせてくれる本でした。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆
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『大地球史』