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第1部 本
社会
シン・SNS論(米田智彦)
『シン・SNS論 テック・ファシズムの支配に、どう立ち向かうか?』2026/1/7
米田 智彦 (著)

(感想)
初期のmixiやFacebookにあった黎明期の希望、Twitter(X)が「公共空間」として果たした役割、YouTubeやInstagramが広めた承認と比較の文化、そしてTikTokに象徴される「注意の奪い合い」まで……SNSの光と影を立体的に描き出し、現在起こっている「なぜ有害な情報を止められないのか」「なぜ言論の自由が制約されるのか」という、相矛盾する、かつ根源的な問いを投げかけ、さらにテック・ファシズムの支配にどう立ち向かうべきかへのヒントも与えてくれる本です。
「プロローグ」には次のように書いてありました。
「SNSは“つながり”のために生まれた。だが今や、つながりは「依存」に、共感は「監視」に、通知は「操作」に変わりつつある。」
続く「02:構造」では……
・「(前略)SNSを運営する企業は、ユーザーのあらゆるオンライン行動(クリック、スクロール、位置情報、投稿内容など)を収集・解析し、そのデータから興味関心や購買意欲を予測して、ターゲティング広告として売買する。(中略)
この段階において、SNSは単なる「つながるための道具」ではなく、ユーザーの人格や社会的関係、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)を「資源」として収奪する装置となっている。」
・「(前略)SNSのアルゴリズムは「時系列」や「事実性」「重要性」ではなく、「エンゲージメント(感情的反応の大きさ)を最優先に情報を最適化している。「怒り、喜び、驚き、不安」といった感情に訴求する投稿は、「事実」や「重要」な投稿に比べてより多くの滞在時間と反応を生み出すことができるからだ。」
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さらにSNSには「教育を瞬間的な快感として消費させる構造」があるとして、「3分でわかる相対性理論」、「1分で理解する近代史」を事例としてあげていました……これは本当の学びではなく、「わかった気になる」という錯覚だけを残すという指摘に、耳が痛かったです……。
「この構造は、思考様式を変える。学びは本来、困難な理解を乗り越えて得ることのできる知的報酬だが、今は娯楽的没入の中で得られる即時の快感へと置き換わっている。」
……確かにその通りですね。「3分でわかる○○」、すごく好きなんですが……。
そして、さらに考えさせられたのが、「03:統制」。ここでも……
・「民主主義は、熟議の上に成立する制度である。異なる価値観や立場を持つ人々が、時間と労力をかけて他者の意見に耳を傾け、文脈と前提を共有し、合意や妥協を形成する。この熟議のプロセスこそが、対立を単なる衝突に終わらせず、社会を持続的に運営するための知的インフラであり、民主主義の核心である。」
・「複雑な社会的課題(移民政策、気候変動、財政再建など)は、前提知識と文脈の共有なしには説明や理解が困難であり、長文の読解や対話の時間を必要とする。しかしSNS上では、こうした「複雑でわかりにくい情報」は届くことなく淘汰される。代わりに流通するのは、刺激的で敵味方を分断し、怒りや不安、憎悪といった即時的な情動を煽る投稿だ。」
・「感情ポピュリズムに飲み込まれず、短期的な共感や怒りに流されず、「対話を続ける力」を重視する社会設計が不可欠だ。民主主義を守るとは、単に制度を維持することではない。考え続ける共同体としての社会を、自らの手で再構築することこそが、その本質なのである。」
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そして「Part2 思考」では、生成AIが取りあげられていました。
・「(前略)生成AIはフェイクニュースや偽情報を瞬時に大量に生成することが可能であり、それが拡散されることで、真偽の判別は一層困難になっている。」
・「生成AI時代の情報環境において、真に必要なのは、「情報を生み出す能力」ではなく、「情報を見極め、選び取る力」である。」
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生成AIツールは、これまでSNSが担ってきた「情報検索」「発見」「共有」の機能を吸収してもいます。なぜなら生成AIツールは、検索クエリに対して最適な答えを要約して提示してくれるので、「リンクをたどる前に、もう答えが画面にある」……私たちは情報を探す努力をする必要がないのです。
また「メール」でも、生成AIが私たちらしい文体を学習して自動で返信文を生成してくれる……こうして、どんどん「思考のアウトソーシング」が進んでしまうのかもしれません(それも私たちが気がつかないうちに)。さらに……
「(前略)SNSプラットフォームは有害コンテンツの監視・フィルタリングにAIを活用しているが、その基準は一部非公開であり、何を「健全」「有害」とするかはプラットフォーム設計者や政策の枠組みによって左右される。AIエージェント+SNSは、情報流通のゲートキーパーとして振る舞い、特定の話題や視点を選別的に可視化または抑制する強力な統制装置へと変貌していくのではないか。」
……私たちは知らず知らずのうちに、生成AIの掌の上だけで生活するようになるのかもしれません。
でも「Part3 再生」では、私たちがどのように対処すればいいのかについてのヒントがありました。
例えば、有名人を装ったフェイクニュースや詐欺の横行で起きているSNSの信頼性の揺らぎへの解決策としては……
「(前略)SNSで発信された内容や投稿そのものをブロックチェーンでトークン化し、本人であるかどうかの認証システムと連携させることによって、投稿者は自分の発言がいつ、どこで、誰によって発信されたのかを、科学的かつ論理的に証明することができる。」
……なるほど。影響力の大きい有名人の公式表明には、このような仕組みが必要かもしれません。
「(前略)SNSによる操作に対抗するには、技術的な防御だけでなく、教育、法制度、個人の行動変容、そして社会的連帯の総合的なアプローチが不可欠である。」
……これも確かにそうだと思います。
「インターネットと情報資本主義の進展は、ビッグデータに基づくアルゴリズムがユーザー行動を制御し、巨大SNS企業が利用者の注意・収益を独占する構造を作り上げた。しかし、その背後にはプライバシー侵害、データ漏洩、フェイクニュースの拡散、言論の恣意的制限といった、コミュニティの健全性を損なう深刻な問題が潜んでいる。」
……このような状況に対処するため、人間がやらなければならないことは次の二つだそうです。
1)状況認識:“本当の世界”を見抜き続ける
2)意思決定:自分の手で未来を選ぶという行為
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『シン・SNS論 テック・ファシズムの支配に、どう立ち向かうか?』……ここで紹介した以外にも、米上院でのテック企業CEOへの追及や、子どもの依存や自死をめぐる問題、日本で施行された「情報流通プラットフォーム対処法」などなど、SNSについて深く考えさせられる内容が満載です。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『シン・SNS論』