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第1部 本

社会

絶滅しない環境学(石井徹)

『絶滅しない環境学 (朝日選書)』2026/4/10
石井 徹 (著)


(感想)
 40年近く環境問題を取材してきた元朝日新聞記者の石井さんが、私たちにとって、とても身近な地球の健康・人の健康・動植物の健康が、もれなく関連し合っていることを教えてくれる本で、主な内容は次の通りです。
はじめに
【第1章】終わらない公害と地球環境問題
【第2章】ごみとプラスチック
【第3章】激変する気候と国際会議
【第4章】生物多様性の危機と追いつめられる生命
【第5章】環境正義と市民参加
【追 記】世界はどう変わったのか 「正しい方向とスピード」
おわりに
主な参考文献
関連年表……巻末
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「【第1章】終わらない公害と地球環境問題」の冒頭には、次のように書いてあって驚かされました。
「「人間の脳には、マイクロプラスチックが蓄積される」2025年2月3日、米国ニューメキシコ大学の研究チームによる報告書が医学誌「Nature Medicine」に掲載された。人間の遺体の脳を調べたところ、直径5ミリメートル以下のマイクロプラスチックやそれよりさらに小さい1000分の1のナノプラスチックが、腎臓や肝臓より7~30倍という高濃度に蓄積されていた。2024年の遺体の脳と肝臓のサンプルの濃度は、2016年の遺体に比べて50%も高くなっており、因果関係は証明されていないが、認知症と診断された人の脳サンプルの濃度はそうでない人に比べて3~5倍も高かったという。」
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 さらに「【第2章】ごみとプラスチック」でも……
・「米コロンビア大学の研究チームは2024年1月、1リットルのペットボトルの飲料水に平均24万個のプラスチックが入っていると発表した。9割は100万分の1ミリ以下の「ナノプラスチック」で、残りはそれよりは大きいが5ミリ以下の「マイクロプラスチック」だった。飲料水をペットボトルに入れる際、浄化するプラスチックフィルターから水に混じったものが多いと見られている。」
・「プラスチックが混ざっているのは、もちろんペットボトルだけではない。水道水からも、ビールからも、肉や魚、野菜など食べ物からも、そして空気中からも、私たちはプラスチックを摂取している。しかも細かければ細かいほど、排出されにくく、危険性は増す。それは、血液を通して私たちの体の隅々にまで届けられるからだ。脳や心臓、肺、母乳、精液など、体内の様々な場所から検出される。」
・「安さと便利さから大量に使われているプラスチックが、海を脅かしている。プラスチックごみが紫外線などで劣化して細かく砕けた主に5ミリ以下の粒「マイクロプラスチック」が、海の生態系に影響を及ぼすと心配されている。」
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 環境問題というと、地球温暖化や、不法投棄やダイオキシンなどの問題が気になっていましたが、マイクロプラスチック問題は、もっと身近な問題のようです。それでもマイクロプラスチックをすべて取り除くことは不可能なようです……。
「取り除けないなら、出さないようにするしか解決策はない。CO2と同じように減らし、ゼロにしていくしか道はない。」
 ……その通りだと思います。少なくとも「減らそうと努力すること」が必要なのでしょう。
 そして「【第4章】生物多様性の危機と追いつめられる生命」にも恐ろしい現実が……
・「世界保健機構(WHO)の報告によると、1980年以降、SFTSなどの新興感染症は急増している。エボラ出血熱、エイズ、西ナイル熱、SARS(重症急性呼吸器疾患群)、鳥インフルエンザ(H5N1)、MERS(中東呼吸器疾患群)、新型コロナ(COVID-19)……。新興感染症の75%は動物由来感染症(人獣共通感染症、ズーノーシス)と言われる。その主な原因として指摘されるのが、生物多様性が急速に失われつつあることやグローバル化で人やモノの移動が急激に増えたこと、そして深刻化する気候変動だ。」
・「SFTSウイルスを持つマダニは、生態系の変化によって全国的に増えて生息域が拡大している。シカやイノシシなどの野生生物に寄生し、これらの移動に伴って広がっていると見られている。」
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 そして、これに対応するためには……
・「地球上からウイルスをなくすことはできない。本当の『共生』は、彼らのすみかである野生の世界と、人間の世界をゾーニング(分断)して、彼らの世界をこれ以上、荒らさないようにすることです。」
・「(前略)問題は、希少種が絶滅するほど環境が劣化すると普通の生物も数を減らし、生態系機能がまひすること。」
・「微生物の多様性は、生態系の安定性や回復力(レジリエンス)も高める。土壌や腸内の微生物叢が多様であれば、環境変化(気候変動や病気など)に対するバッファー(緩衝装置)となり、生態系全体のバランスを保つ。」
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 微生物と農業や食糧生産の関係で、「耕さない農業」や「不耕起栽培」が注目されているようでした。
 耕さない農業の経験から学んだブラウンさんの「土の健康6原則」とは……
1)土をかき乱さない(耕さない)
2)土を覆う(被覆作物を植える)
3)多様性を高める(数十種の野菜や穀物、花を一緒に育てる)
4)土のなかに「生きた根」を保つ(一年中、何かしらの植物を育てる)
5)動物を組み込む(農場での放牧)
6)背景の原則(それぞれの自然条件や経済状況に合わせたやり方を取り入れる)
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 この他、国際会議では、京都議定書などの環境に関する目標などが迷走してきたこと(それでも少しずつは進みつつあること)、その一方で、「気候正義」などを訴える市民運動は活発化していることについても知ることができました。
『絶滅しない環境学』……公害病、大気汚染、有害化学物質、さらには地球温暖化、生物多様性が失われた大量絶滅時代について幅広く解説してくれる本で、とても参考になり、考えさせてもくれました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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 なお社会や科学、IT関連の本は変化のスピードが速いので、購入する場合は、対象の本が最新版であることを確認してください。

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『絶滅しない環境学』