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第1部 本

自己啓発・コミュニケーション

相手の本音を引き出す会話の正解(デュヒッグ)

『相手の本音を引き出す会話の正解』2025/10/22
チャールズ・デュヒッグ (著)


(感想)
「それ、こうしたらいいんじゃない?」とアドバイスをしてあげたのに、相手からは「共感が欲しかった(本当はただ聞いて欲しかっただけ)」と言われてしまう……その原因は会話の種類のズレにあった、などの多数の事例とともに、「伝わる会話」とは何か? について語ってくれる本で、主な内容は次の通りです。
序文/人と人が真につながるためのスーパーパワー
プロローグ
コラム 三種類の会話 概要
第一章 調和の原則 スパイのリクルートになぜ失敗するのか
これらのアイデアを使うためのガイド パート1 意義のある会話のための四つのルール
コラム 「何をどう話すか」についての会話 概要
第二章 すべての会話は交渉である ルロイ・リードの審判
これらのアイデアを使うためのガイド パート2 質問をしてヒントに気づく
コラム 「どう感じるか」の会話 概要
第三章 聞くことで癒される 気まぐれなヘッジファンドのスポンサー
第四章 誰も声にしない感情をどうやって聞けばいいのか
第五章 対立の中で心を通わせる 銃について意見が違う人と話をする
これらのアイデアを使うためのガイド パート3 感情的な会話 実生活とオンラインの世界
コラム 「私たちは何者か」の会話 概要
第六章 社会的アイデンティティが自分の世界をつくる ワクチン反対派にワクチンを
第七章 特に難しい会話を安全にするためには ネットフリックスにつきものの問題
これらのアイデアを使うためのガイド パート4 難しい会話をもっと容易に
後 記
   *
 冒頭の、けんすう(古川健介)さんによる「序文/人と人が真につながるためのスーパーパワー」には、次のように書いてありました。
「AI時代には、「正しい回答を出す」ことや「当たり前のことを言う」ことの価値は相対的に下がっていきます。OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏は、近い将来、「ChatGPTの一日の会話量が、人類全体の会話量を超えるようになる」と語りました。「つまり、AIで解決できることはAIとの対話で事足りる世界が、もう目の前まで来ているのです。
 こうなると、もともと人間の主な活動であった「会話」の役割がさらに重要度を増す一方で、その会話も単に正しいことを言うだけでは、もはやAIにすら劣ってしまう状況になっているのです。」
 ……うーん、確かにそうですね。これからは新入社員には、「有能な人」よりも、一緒に働きたくなるような「感じのいい人」が、よりいっそう求められるようになりそうな気がします。
「プロローグ」には次のように書いてありました。
「(前略)何よりも、会話のいちばん重要な目的は、気持ちを通じ合わせることなのである。」
 ……そして「コミュニケーションがうまくいかない理由と、それを改善するための重要な考え方」として、次の3つがあげられていました。
1)何をどう話すか
2)どう感じるか
3)私たちは何者か
   *
 有意義な議論を行うために目指すは、「学習する会話」をすることで、そのためのルールは……
ルール1:どんな種類の会話が行われているかに注意を向ける。
ルール2:目標を共有し、他の人たちが何を望んでいるか尋ねる。
ルール3:他の人たちの気持ちについて尋ね、自分の気持ちも話す。
ルール4:この話し合いにおいて、アイデンティティが重要かどうかをさぐる。
 ……なのだとか。この本は、これらのルールがなぜ必要で、どのようにすればいいのかを、じっくり解説してくれます。
 まずルール1では、相手に「何か解決策を提案した方がいい? それともただ吐き出したいだけ?」と尋ねてみても良いそうです。
「第二章 すべての会話は交渉である」では、交渉はゼロサムゲーム(勝ち負け)ではなく、交渉人の目的は「選択肢を広げること」(互いに折り合いをつける協力的な方法を見つける。新しい解決策を発見する)ことであるとして、目指すものは、全員が共有する目標や価値観を決めることだと書いてありました。
 続く「第三章 聞くことで癒される」では、他人の弱さを認め、自分も弱さを見せることで、信頼、理解、つながりを築くことができるとして、「深い質問(感情的つながりを引き起こす質問)」をすることが大事だという解説がありました。
「(前略)誰かとつながりたいなら、その人が感じていることを尋ね、自分自身の感情を明かすことだ。他の人が痛ましい記憶や、歓喜の瞬間について語り、自分が失望したことや誇らしいことを明かせば、親密さを感じられるよう進化した神経化学物質を活用するチャンスを与えてもらえる。情動が伝染する機会が生まれるのだ。」
 ……つながりが築かれると、より良い会話にもつながるのです。
 そして「第四章 誰も声にしない感情をどうやって聞けばいいのか」では……
「(前略)心の知能を発揮するには、他人の気持ちを聞くだけでなく、それを聞いたことを見せる必要があるのだ。」
 ……さらに「第五章 対立の中で心を通わせる」では、銃の保持について意見が対立している人々と話をする事例を通して……
・「ではどうすればこのような相互理解に至るのか。最初のステップは、それぞれの戦いの中に対立が一つだけでなく、最低でも二つあると認識することだ。まず表面的な問題があり、それで互いの意見が対立する。そしてその下には感情的な対立がある。」
・「大事なのは、人々が自分の感情を表現するように仕向け、どう感じるかの会話をして、けんかをヒートアップさせる原因となっている傷や疑念を表現できるようにすることだ」
・「(前略)有意義な議論において、目指すべき重要なことは、感情を表に出すことである。」
 ……「感情を表に出す」のは、むしろ「慎むべきこと」と考えていて、まして対立する議論の中で「感情を表に出す」なんて……と驚いてしまいましたが、その方が、より相互理解が進むようです。ただし「激しい感情をむき出す」のではなく、相手の話を聞き、それを理解しようと努めていることを示すという状況のなかで、自らの本音としての「感情を表に出す」ということのようですが……(会話の目的は「勝利」ではなく「理解」なのです)。
 さらに「第六章 社会的アイデンティティが自分の世界をつくる」では、「何か社会的アイデンティティが重なっていることがわかると、つながりやすくなる」ということで、「私たちは何者かの会話」を成功させるものに必要なものは……
1)会話の相手から複数のアイデンティティを引き出すよう努める
2)全員が対等な立場であると全員に確認させること
3)すでに存在する社会的類似性を探す
   *
 最後の「第七章 特に難しい会話を安全にするためには」では、さらに難しい会話をするときの教訓について……
・難しい会話をするときに役に立つ教訓
1)会話をする前に準備する(障害を予測し、それが起きたときにどうするか。自分は何を言いたいか、他の人にとって何が重要かを考えておく)。
2)会話について心配なことがあっても、会話を避けるべきではない。
3)会話がどのように行われるか考えることは、特に私たちは何者かの会話において、何を言うかと同じくらい重要。誰が先に話すか、どんな障害と対策があるか、対話からどのような恩恵が期待できるか。
4)特に私たちは何者かの会話では、一般化を避けて、自分自身の経験や感情について話す。
   *
『相手の本音を引き出す会話の正解』……会話で「相互理解を深める」方法について、詳しく語ってくれる本で、とても参考になりました。「後記」には次のようにあります。
「(前略)大切なのは、誰かとつながりたい、誰かを理解したい、深い会話をしたいと思うことだ。」
 ここでは概要を紹介しましたが、本書では、スパイのリクルート、精神障害のある人が起こした犯罪行為への審判、銃について意見が違う人との対話、ワクチン反対派にワクチン接種の説得をする、などの多数の事例とともに会話のルールが解説されていくので、とても具体的で参考になる考え方を知ることが出来ます。みなさんも、ぜひ読んでみてください☆

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『相手の本音を引き出す会話の正解』