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第1部 本
科学
地味な元素のはなし(斎藤恭一)
『地味な元素のはなし』2025/10/23
斎藤 恭一 (著), 浅井 志保 (著)

(感想)
身のまわりにあるのに意外に知られていない6つの元素を中心に、20元素の性質・利用について紹介してくれる本で、主な内容は次の通りです。
第1章 アンチモン
友達元素:ヒ素、ポロニウム、ゲルマニウム、ホウ素
第2章 ヨウ素
友達元素:銀、フッ素
第3章 バナジウム
友達元素:カドミウム、ウラン
第4章 ガドリニウム
友達元素:ウラン、トリウム、ネオジム、鉄、ホウ素
第5章 セシウム
友達元素:ストロンチウム、ナトリウム、塩素
第6章 ルテニウム
友達元素:イリジウム、オスミウム、白金、ロジウム、パラジウム、銀、金
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「はじめに」には次のように書いてありました。
「本書では、地味な元素として、アンチモン(Sb)、ヨウ素(I)、バナジウム(V)、ガドリニウム(Gd)、セシウム(Cs)、そしてルテニウム(Ru)という6つを取りあげ、私たちの体験を紹介しながら、地味な元素の活躍を書きました。」
そして「第1章 アンチモン」によると、なんとPETボトルには、アンチモンが含まれているそうです。どんな混ざり方をしているかと言うと……
「エチレングリコールとテレフタル酸を混ぜて水分子が抜けると、つながってエステル構造ができる。これが繰り返し起きると分子量が大きくなって、やがて高分子になる。このように2つの分子から脱水した分、縮みながら交互に重なっていく。こうした高分子のできかたを縮合重合、縮めて縮重合と呼ぶ。この重合反応を速めるために、触媒として三酸化二アンチモン(Sb2O3)というアンチモン化合物を使うことが多い。この触媒はモノマー液に投入されるので、縮重合反応しながら製品である粒状のPET樹脂(「ペレット」と呼んでいる)に混ざっていく。
PET樹脂を成型してつくったPETボトルには250ppmのアンチモンが含まれている。」
……触媒として混ざっていたんですね。このPETボトルの一部は「ケミカルリサイクル」されるそうですが、これはなんと、「縮重合によって生成したPETの重合を解いて、原料であるモノマーに戻す」ものだそうで、同じようにポリエステルとポリアミドも元のモノマーに戻せるそうですが、ポリエチレンは戻せないのだとか。
「ポリエステルもポリアミドも水分子が抜けながら成長していく。そこで、水を加えて反応を逆に進めれば、結合が解け、もとの分子(モノマー)に戻せるわけだ。
これに対して付加重合によって生成したポリエチレンでは水を加えても反応を逆に進めることはできない。」
……へー、そうだったんだ。化学って、なんか凄いですね……。
でも一般的には、アンチモンは難燃剤としての使い方の方が有名なようです。
「(前略)アンチモンの用途の第一は難燃剤である。スマホのケースにもアンチモンが含まれている。」
……あまり聞き覚えのない名前の元素でしたが、こんなに私たちに身近なものだったんですね……。
そして続く「第2章 ヨウ素」では……
「日本が世界第2のヨウ素の生産量(特に、世界のヨウ素の4分の1が千葉県産)、埋蔵量なら世界一」
……えー! 千葉県ってヨウ素の世界的な産地だったんですか! これは関東ガス田(メタンガス)に関係しているようでした。
ヨウ化銀は、人工降雨剤としても利用されるそうで……
「2008年8月8日、北京オリンピックの開会式の早朝、北京は曇り空だった。その雲に向かって、ヨウ化銀微粒子を詰めたロケット弾、約1000発が発射された。その後、雨が降り、雲が消えて青空となった。」
……あの日、そんなことが行われていたんですね。ヨウ素は、世界中の雨が少ない地域で、人工降雨を発生させているそうです。
さらになんと「導電性高分子」を作るのにも利用されているようです。ポリアセチレンは、一列につながった炭素原子に一個ずつ水素原子が結合した構造をしているのですが、この状態では、一個の炭素原子につき一個の電子が詰まっているため電流は流れません。でもヨウ素のような不純物が加わって電子を奪うと、順送りに電子が動けるようになるそうです。ヨウ素にはいろんな活用法があるんですね……。
こんな感じで、一見「地味な元素」が大事な働きをしていることを、数多くの事例で知ることが出来ました。
『地味な元素のはなし』……元素の研究のなかで、ご自身たちが実際に経験された体験も紹介してくれるので、とても興味津々でした。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『地味な元素のはなし』