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第1部 本
脳&心理&人工知能
認知症とはどのような病気か(伊古田俊夫)
『認知症とはどのような病気か 脳の構造としくみから全体像を理解する (ブルーバックス B 2294)』2025/5/22
伊古田 俊夫 (著)

(感想)
「脳の機能低下」はなぜ起こり、それがどう病気につながるのか? 認知症とはどのような病気かについて、脳の構造としくみから全体像を解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
序章 「認知症の人が減る社会」を目指して
第1章 認知症を知ろう
第2章 認知症とはどういう病気か?
第3章 アルツハイマー型認知症の新薬「レカネマブ」と「ドナネマブ」──その効果と副作用、費用……
第4章 記憶や言語はどう蝕まれるのか──認知症の中核症状(1)
第5章 人の気持ちを理解する、自分を知る──認知症の中核症状(2)
第6章 認知症はなぜ嫌われるのか?──暴言や徘徊を生み出す「行動・心理症状」を理解する
第7章 「納得のいく診療」を受けるために
第8章 認知症を予防するには?──すべきこと、してはいけないこと
第9章 認知症の人に優しい社会へ
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「第2章 認知症とはどういう病気か?」によると……
「認知症は、いったんは正常に発達した知的能力が、病気や事故などによって損なわれ、仕事や家庭生活に支障をきたした状態を指します。じつは、認知症という言葉は単一の病気を示す病名ではなく、共通の症状でまとめられた「状態像」を指す言葉です。」
そして「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM第5版)」が示した中核症状と新しい診断基準によると、次のなかの1項目以上があてはまると認知症が疑われるようです。
1)学習と記憶の障害
2)言語機能の障害
3)実行機能の障害
4)知覚-運動系の障害(視覚認知、視空間認知の障害など)
5)複雑性注意の障害(集中力散漫)
6)社会性認知の障害(他人の気持ちが理解できず対人関係で衝突)
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診察に使用される画像検査には、「CT(X線コンピュータ断層撮影)」「MRI(核磁気共鳴断層撮影)」「SPECT(単一光子放射断層撮影)」「PET(陽電子放射断層撮影)」などがあり、MRIでは異常が見られなくても、脳血流SPECTで脳血流量の低下が分かることがあるようです。
いつまでも元気でいたいと願っている私は、もちろん認知症にもなりたくありませんが、「はじめに」で紹介された次の事実に、とても励まされました。
「「認知症高齢者はこの10年間で19万人減少した。高齢者は524万人増えたが、認知症の有病率が約3%低下し、認知症の人は減った。」
2024年5月、政府の認知症施策推進関係者会議での二宮利治・九州大学教授(令和5年度老人保健事業・研究代表者)の報告は、認知症の医療に携わる人たちに大きな驚きを与えました。」
……それは嬉しいですね☆
実は、欧米の研究でも、「認知症は減り始めている」「認知症の有病率や発症率は下がっている」という論文が相次いで発表されているそうで、減少した原因としては……
「二宮教授は2024年の第二次報告において、認知症の患者数が大きく減少した理由について、「成人の喫煙率減少や血圧のコントロールなど、健康的な生活習慣を意識したことにより、認知機能の低下が抑えられたのではないか」と分析しています。欧米の研究でも同様の結果が指摘されています。」
……また第二の要因として、終戦をはさんで、青少年時代の教育が大きく改善されたことも影響しているようで……
「青少年時代の教育や学習、知的訓練が充実すると、脳内神経回路の発達が促され、認知機能の大きな予備能・予備力を築くと考えられています。高齢期に脳が衰えて病的な変化が生じても、認知予備能があると脳の耐久力が発揮され、認知症になりにくいという学説があり(「認知予備能学説」とよばれています)、注目されているのです。」
さらに高齢者の就業率の上昇も、第三の要因になっているようでした。
そして個人的に参考になったのが、「第8章 認知症を予防するには?」。なんと次のような、常識的な意味での健康的な生活が、認知症の予防につながるそうです。
・運動をしましょう、歩きましょう
・健康的でバランスのとれた食事を!
・禁煙、禁酒・節酒
・読書や映画鑑賞
・積極的な社会参加(定年後も働くなど)
・「趣味は、認知症の療養生活のなかでも大いな支えとなります。ぜひ継続しましょう。」
・「眠りは体を休めるだけでなく、知的な衰えを予防するうえでも重要な営みです。」など
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……これらの健康生活は、すでに実行中なので、安心しました(笑)。
さて「第9章 認知症の人に優しい社会へ」によると、わが国は認知症の人とともに暮らす共生社会に向けた方向性と施策を示しているそうです(共生社会=認知症を含むすべての国民がその個性と能力を十分に発揮し、相互に人格と個性を尊重しながら支え合い、ともに生きる活力ある社会)。
「2024年12月、認知症基本法に基づく「認知症施策推進基本計画」が発表され、4項目の重点目標が定められました。」ということで、その重点項目は次の4つです。
重点目標1:国民一人一人が「新しい認知症観」を理解していること
重点目標2:認知症の人の生活においてその意思等が尊重されていること
重点目標3:認知症の人・家族等が他の人々と支え合いながら地域で安心して暮らすことができること
重点目標4:国民が認知症に関する新たな知見や技術を活用できること
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誰もが発症する可能性がある「認知症」なので、この共生社会をめざすことは現実的な施策だと思います。
また「第7章 「納得のいく診療」を受けるために」では、認知症の診断や処方される薬、医療体制についての解説もあり、これもとても参考になりました。
『認知症とはどのような病気か』……認知症について総合的に解説してくれる本で、とても勉強になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『認知症とはどのような病気か』