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第1部 本
健康&エクササイズ
心の病気はどう治す?(佐藤光展)
『心の病気はどう治す? (講談社現代新書)』2024/1/18
佐藤 光展 (著)
(感想)
患者の「こころ」と向き合い続けた精神医療界のオールスターチームによるメンタルヘルス向上のためのガイドブックです。「回復に役立つ知識から社会的課題を解消するヒントまで、ありったけの情報」が盛り込まれていて、主な内容は次の通りです。
第1章 依存症「ヒトは生きるために依存する」
松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長)
第2章 発達障害「精神疾患の見方が根底から変わる」
原田剛志さん(パークサイドこころの発達クリニック院長)
第3章 統合失調症「開かれた対話の劇的効果」
斎藤 環さん(筑波大学医学医療系社会精神保健学教授)
第4章 うつ病・不安症 「砂粒を真珠に変える力」
大野 裕さん(国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター顧問)
第5章 ひきこもり「病的から新たなライフスタイルへ」
加藤隆弘さん(九州大学大学院医学研究院精神病態医学准教授)
第6章 自殺「なぜ自ら死を選ぶのか」
張賢徳さん(日本自殺予防学会理事長/六番町メンタルクリニック院長)
第7章 入院医療「新時代を切り拓く民間病院」
堀川公平さん(のぞえ総合心療病院理事長・院長)
渡邉博幸さん(千葉大学社会精神保健教育研究センター特任教授)
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「第1章 依存症「ヒトは生きるために依存する」」には、日本はアルコールには規制が緩く、迷惑な酔っ払いにも寛容なのに、薬物には厳しくて、大麻や覚せい剤の所持が見つかると、仕事も功績も人権までも失いかねないと書いてありました。そして……
「最も有害なアルコールが野放しになっていることからも分かるように、よい薬物、悪い薬物という分け方に科学的根拠はありません。ですが、薬物の悪い使い方をしている人は、ほぼ間違いなく他に困りごとを抱えています。『困った人』は、『困っている人』なのです。」
……しかも驚いたことに、2010年の調査では、薬物依存症の患者たちが使用する薬物の中で、医師が処方する抗不安薬・睡眠薬(ベンゾジアゼピン系薬)が、覚せい剤に次ぐ第2位(全体の17.7%)だったそうです。もっとも現在では、是正されている(ベンゾを漫然処方したり何種類も重ねてつかったりすると処方料や処方箋料が減額されることになった)ようですが……。
薬物依存症やアルコール依存症患者には……
「(前略)必要なのは、苦しいこと、辛いこと、困っていることに医療者が向き合う姿勢です。信頼関係を築き、途切れない支援を続けることが大事です。」
……ということで、医療で負の連鎖を止めるプログラムのSMARPP(複数の患者と医療者によるグループで定期的に行う集団療法。覚醒剤への渇望が高まった時の対処法などを、話し合いながら学ぶ)などの取り組みが紹介されていました。
また「第3章 統合失調症「開かれた対話の劇的効果」」では、日本でも統合失調症に一番有効だと分かった「オープンダイアローグ」という手法について……
「統合失調症などの精神症状を、対話の力で消失(寛解)させたり、治癒させたりするこの手法は、フィンランド・西ラップランド地方の精神科病院ケロプダス病院で生まれ、「オープンダイアローグ」(開かれた対話)と呼ばれています。」
……オープンダイアローグの手法には、幻聴が消えるなどの目覚ましい効果があったそうです。
さらに「第4章 うつ病・不安症 「砂粒を真珠に変える力」」では、認知行動療法が紹介されていました。
・「認知行動療法は、日本では、うつ病、不安症(パニック症、強迫症、社交不安症、PTSD)、神経性過食症に有効な治療法として保険適用されています。効果は薬物治療と同等か、疾患によってはそれ以上という報告もあり、高い予防効果が期待できます。さらに、この療法のスキルは精神疾患の有無を問わず役立つため、企業や教育機関、スポーツ分野などでも活用されています。」
・「認知行動療法は、思考のバランスをとってこころを軽くする「認知再構成法」、行動を通して心を軽くする「行動活性化法」、問題を上手に解決する練習「問題解決技法」、期待と現実とのギャップを埋める「状況分析」、自分の気持ちを上手に伝える練習「アサーション」、自動思考の背景にある考え方のクセを変える「スキーマ修正」、筋肉を意識的に緊張させた後に力を抜く漸進的筋弛緩法などの「リラクゼーション法」、といった技法を組み合わせて行います。面談で進める方法だけでなく、患者自身が感情などを書き出していく方法も用います。」
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そして「第5章 ひきこもり「病的から新たなライフスタイルへ」」では、九州大学病院の取り組みの解説とともに、「ひきこもり研究ラボ@九州大学」というWebサイトで公開されている質問票などが紹介されていました。
1)ひきこもり評価用自記式質問票(ひきこもり尺度)
2)新型うつ傾向の有無評価用の自記式質問票
3)オンライン家族向け教室
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「「本人が困っていなければ病気ではない」という条件は、あらゆる精神疾患に共通します。」……精神疾患は、そういうものだったんですか……。
この本では、薬物ではない治療法が多数紹介されていますが、「はじめに」にその理由が書いてありました。
「(前略)治療を担う精神医学や精神医療は世界的に行き詰っています。動物や細胞を用いた長年の生物学的研究の甲斐もなく、精神疾患の多くは今も原因不明で、有効な検査法すら見つかっていません。どの精神疾患なのかを判断する診断基準も曖昧で、過剰診断や誤診とみられる被害が絶えません。頼みの綱である向精神薬もエセ薬との効果の差が出にくく、副作用の方が大きいことが珍しくありません。」
……薬物治療が必要なこともありますが、薬物以外の治療法にも効果があることは、患者さんの身体の健康を守るためにも良いことのような気がします。
『心の病気はどう治す? (講談社現代新書)』……精神医療界のオールスターチームによるメンタルヘルス向上のためのガイドブックです。回復に役立つ知識や社会的課題を解消するヒントを教えてくれるので、とても参考になりました。みなさんも、ぜひ読んでみてください。
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『心の病気はどう治す?』