ちょき☆ぱたん お気に入り紹介 (chokipatan.com)
第1部 本
脳&心理&人工知能
はじめてのオープンダイアローグ(浅井伸彦)
『はじめてのオープンダイアローグ: 対話がもたらす回復の力』2025/8/29
浅井 伸彦 (編集, 著), 白木 孝二 (編集, 著), 八巻 秀 (編集, 著)

(感想)
困難な人生の局面において効果的な支援の方法と言われている「オープンダイアローグ」について、「フィンランド等で行われてきた実践」「国際トレーナーズトレーニングで学んだこと」「起源の一つの家族療法からの発展」という3つの観点から総合的に解説してくれる本で、主な内容は次の通りです。
1章 オープンダイアローグって何?
2章 オープンダイアローグの基本的ルール,実践のためのエチケットとマナー
3章 オープンダイアローグの主要7原則
4章 オープンダイアローグの対話実践において守るべき鍵となる12要素
5章 ダイアロジカル・スペース(対話的空間)の創造
6章 ポリフォニーをポリフォニックに
7章 リフレクティング
8章 「今,ここにいる」ということ
9章 受け継がれる言葉と,内的・外的なダイアローグ
10章 オープンダイアローグの歴史
11章 未来語りのダイアローグ:Anticipation/Future Dialogues
12章 早期ダイアローグ&自分の心配事を取り上げること
13章 オープンダイアローグの取り組み方のまとめ
14章 オープンダイアローグについてあらためて検討する
15章 オープンダイアローグに関する対談(八巻 秀×浅井 伸彦)
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「オープンダイアローグ」とは、1984年にケロプダス病院で始められた精神医療の対話実践のことです。当初のメインは統合失調症だったのですが、その後、あらゆる精神疾患や問題へと広げられ、実践されてきました。この療法は、もともとは「家族療法」を起源としていて、複数人が対話の場にいることが前提となっています。
オープンダイアローグには、次の7つの原則があります。
1)すぐに対応すること(相談の連絡受理後、24時間以内に対応。ただし不可能なことも多いので「可能な限り」そうするようにする)
2)社会的ネットワークの視点をもつこと(看護師、介護士、ソーシャルワーカーなど、当人のネットワークにある人たちを招く)
3)柔軟にフットワークを軽くして対応すること
4)要求に応え、引き受けること
5)出来る限り同じ人が関わり続けること(担当者を理由なく変更しない)
6)あいまいな状態への耐性(答えが出ない状態を許容する)
7)対話を続けること(多様性のある声を歓迎すること)
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そしてオープンダイアローグの基本姿勢は、次の通りです。
ルール1)本人(や家族)がいないところで、スタッフだけで彼らの話をしない、物事を決めない
ルール2)複数のチーム(職種の違う専門家など)でミーティングに臨むこと
ルール3)治療のプロセスをクライアントや家族にオープンにすること
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またそのミーティングのあり方に関するマナーとエチケットは、次の通りです。
1)「聴く」と「話す」を分ける(誰かが話しているときは、他の全員が耳を傾ける)
2)全員の声が重要だと考えること(全員が平等に重要)
3)ハーモニーよりもポリフォニーを
4)できるだけ、アイ(私)・メッセージで話し、話してもらう
5)ミーティングの設定に関するルールとマナー(場所・時間・頻度・参加メンバーはニーズに応じて設定、テーマ、話題、内容は自由に設定)
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オープンダイアローグは、クライアントに隠し立てをせず透明性を保った状況で、関係者が互いを尊重して対話し合うことで、困難な問題に対処していこうという活動のようです。
他のセラピーでは、問題や症状は「個人のもの」として解決しようとしがちですが、オープンダイアローグでは、問題や症状は「個人のなか」ではなく、「関係性」の間にあると考えることにも特徴があるように感じました。
また「よくある誤解」として、オープンダイアローグさえ実践していれば、他のセラピーや向精神薬は必要ないと思われがちなようですが、必要な場合は、並行して行われることがあるそうです。
『はじめてのオープンダイアローグ: 対話がもたらす回復の力』……対話の力で、精神的な問題を解決していこうとするオープンダイアローグについて、歴史的な経緯も含めて、総合的に解説してくれる本でした。
教育現場で使われる『未来語りのダイアローグ:Anticipation/Future Dialogues』というオープンダイアローグと類似している方法についても、詳しい解説があります。
また「13章 オープンダイアローグの取り組み方のまとめ」には、「オープンダイアローグを行う上でのチェック項目」が一覧でまとめてある他に、「オープンダイアローグで使える質問の例」も書いてあるので、実際に「オープンダイアローグ」に参加している方々にとって、とても実践的に役に立つと思います。
「オープンダイアローグ」は、クライアントの家族と関わる人たちのネットワークが参加して「対話する」という健康的な方法で、困難な状況を徐々に改善していくことが出来る素晴らしい療法だと思います。精神医療に携わっている方はもちろん、一般の方もぜひ読んでみてください。
なお、本書には、姉妹編の『はじめての家族療法―クライエントとその関係者を支援するすべての人へ―』、『オープンダイアローグとコラボレーション―家族療法・ナラティヴとその周辺―』もあります(以下の商品リンクで紹介しています)。
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『はじめてのオープンダイアローグ』
『はじめての家族療法』
『オープンダイアローグとコラボレーション』